・ 目次 / 番外編「よりみち?ミルキーウェイシップ」 (前のページ/次のページ) ・
ネメシスと共に地上に戻ったプリキュア。
波しぶきがなるべく立たないように、なるべくゆっくり浮上するネメシス。しかしやはり…
ミンツ「きゃあー!」「助けてー!」「怖いよ~!」
ひかる「(驚かず、唖然としている)うわぁ…」
なぎさ「あ、あれが、ネメシス…!」
ミンツ達は怯えて大騒ぎ。みんななぎさ&ひかるの後ろに隠れてしまう。
事態を説明するため、ルミナス&ラピッドがネメシスの上に乗り、声をかける。
ルミナス「なぎささーん、ひかるちゃーん!!」
ラピッド「大丈夫です、ネメシスは敵じゃありませーん!!」
驚くなぎさ達。
数人のミンツもなぎさの髪からひょこっと顔を出す。その姿はリボンのようで妙に可笑しい。
メアリの地上に降り立ったルミナス&ラピッド、なぎさにネメシスの事情を説明する(説明シーンは省略)。
なぎさ「…ふうん、そういう事だったんだ。よかったじゃん、アンタたち」
ネメシス「うむ。皆を怖がらせてしまって、申し訳ない…」
と言いかけたところで、またしても『グオオオン!』という腹の音。
地上にいたみんなはひっくり返り、ミンツたちは怯えて隠れてしまう。
ルミナス「あいたたた…(力尽きているため、もう立てない)」
ラピッド「んも~、それ何とかなりません~?」
ネメシス「うむむ…こればかりは、私には何ともしがたいな」
ラピッド「あっ、そっか、ゴメンナサイ」
ミンツ「あのう…」「ネメシスさん、ちょっとお口を開けてもらってもいいですか?」「あーん、ってして、あーん」
ネメシス「んん?こうすればいいのか~い?」
ミンツたちに言われたとおり、大きな口をゆっくり開けるネメシス。
そのあまりの迫力に、ミンツ達はまた『きゃー』と叫んで、なぎさ達の後ろに隠れる。
なぎさ「(唖然として)…。オイオイ君たち、それはちょっと失礼なんじゃありません?」
ラピッド「っていうか、何をしたかったのよ、アナタたち」
ミンツ「あ、あのう…」「これっ」「これなんですけど」
ミンツ達が、バスケットボール大の丸い玉を持ってくる。
ルミナス「ミンツちゃん、それはなあに?」
ミンツ「これは星の『種』です」「もうすぐ星になる、今メアリで一番大きな種です」「これを食べたら、ネメシスさん、元気になるかと思って…」
ラピッド「なるほど!じゃあちょっと貸して…(バスケのロングシュートの構えで)いくよ、シュートッ!!」
星の種が、ネメシスの口に吸い込まれていく。
ネメシス「ん?んんん~。(じっくり味わってから)おおっ、これは美味いっ!」
嬉しそうに星の種を味わうネメシス。
あまりの感動に大声になってしまい、またしても…。
ルミナス「うぅーん…(目玉をクルクル回して、気絶してしまう)」
なぎさ「あいったたたっ…もぅありえな~い!」
ラピッド「アンビリーバブルっ!だからもう、加減を覚えてくださいよぉ~!」
ネメシス「いやはや、またしても失礼。…しかしおかげで、随分と調子が良くなったよ。(ミンツ達の方を向いて)ありがとう!」
ミンツ「やったー!」「わーい!」「良かったですー!」
大喜びのミンツたち。
全員がクルクルと輪のように踊り出した。
ひかると実体化したセインフ&スワンフも、楽しそうにその輪の中に入る。
ルミナス「(座り込んだまま)アハハっ、可愛い~」
なぎさ「ホンっト調子いいんだよ、この子たちったら…」
ラピッド「でも、ホントに良かった…(ネメシスの方を向いて)後はあなたをこのメアリから引き揚げれば、コンプリートですねっ!」
ネメシス「うむ、ありがとう。すべて君たちのおかげだ。お礼といっては何だが、もし何かのきっかけで奴らの海に行くことができたなら、万難を排して君たちを助ける事を約束しよう」
ルミナス「そんな…。またお腹を空かせたら大変ですから、無理はしないでください」
ラピッド「それよりも、もう他の星に落ちないでくださいネっ」
ビシッと図星を突かれ、ちょっと口ごもるネメシス。
ネメシス「う、む…そうだった。今度は気をつけるよ。…君たちの事は仲間にも伝えておく。今回のプリキュアも、勇敢でかわいらしい少女たちであるとな」
ラピッド「えっ、カワイイ?いや~それほどでも~♪(顔がニヤつく)」
なぎさ「こらこら、調子に乗らないの、ラピッド」
ネメシス「誇張ではないさ。先代のプリキュア・ブラックである、君も…な」
なぎさ「えっ、あたしも?いや~それほどでも~♪」
ラピッドと同じようにニマニマするなぎさ、ふと気づいて真顔にもどる。
なぎさ「…って、あれ?あたしが前のプリキュアだって事、あなた知ってるの?」
ネメシス「もちろんさ。『伝説の戦士・プリキュア』。君たちにとって伝説になってしまう時間は、我々にはわずか前の出来事にすぎない。…我々は長生きだからね。プリキュアとなった少女たちを、我々は何度も観て、そして伝えてきたのさ」
ルミナス「観て…伝えた…」
ラピッド「そうなんだ…プリキュアって、なぎささんやほのかさんの他にも、いっぱいいたんですね」
ネメシス「ああ。しかし、これだけ短い間に…(なぎさとひかゆとを見比べて)我々が瞬きする間にプリキュアが変わったのは、過去には存在しない。もしかしたら、君たちは何か『特別』の中の『特別』な存在かもしれないね…」
ルミナス「特別な…存在?」
ラピッド「プリキュア自体が、すでに特別な存在なのにネ」
ネメシス「そうだ。少なくともルミナス。私の眼光に耐えた存在は、おそらくこの世界ができてから初めてのことだろうね」
ルミナス「へっ?は、はいっ、恐れ入ります…」
急に褒められたため、真っ赤になって顔を伏せるルミナス。
そんなルミナスの頭を、ラピッドが嬉しそうになでる。
そして、お別れの時。
ふたりはネメシスに向けて、ギャラクシエンヌ・スプレッダーの発射態勢に入る。
ネメシス「…それでは、お願いするよ」
ルミナス「はいっ!…天(あめ)輝く時、プラス!」
ラピッド「宙(そら)翔る時、アルファ!」
ルミラピ「プリキュア・ギャラクシエンヌ・スプレッダー!!」
ふたりの手から発射されたビームが、ネメシスを宇宙へと押し上げる。
極太ビームの中を、まるで泳ぐように飛んでいくネメシス。
やがてその姿は小さくなり、見えなくなった。
メアリを離れるミルキーウェイシップシップ。
ミンツ達が泣きながら手を振って見送ってくれている。
ミンツ「ご迷惑をおかけしました~!」「お気を付けて~!」「航海の成功、お祈りしていま~す!」
手を振り返すひかり、ゆとり、セインフ、スワンフ、なぎさ、そしてひかるの6人。
やがてたこ焼型の惑星は見えなくなり、お別れは終わった。
寂しそうにしているひかるの頭を、なぎさがくしゃくしゃになでる。
なぎさ「あ~、面白かった!最初は航路が外れてるから…とか言われて不安だったけど、結構楽しかったよね」
ゆとり「アンビリーバブルっ!楽しくなんかありませんよ~。アタシたち、本気で危ないところだったんですから…ねっ、ひかり…?」
ゆとりが振り返ると、そこには甲板の上で丸まって眠っているひかりの姿が。
相当疲れてしまっているのか、気持ちよさそうにスヤスヤ寝息を立てている。
なぎさ「ありゃま、寝ちゃってるよ…」
ひかる「お姉ちゃん、こんな所で寝てると風邪ひくよ~」
ひかるがゆっさゆっさと体を揺らすと、ひかりが目を覚ました。
ひかり「ううん…ひかるちゃん?(ゆとりの方を向いて)ごめんなさい、こんな所で…」
スワンフ「たぶん、ネメシスとの睨み合いですごく消耗したのスワン。船室で少し休んだ方がいいのスワン」
ゆとり「そうしなさいよ。着いたら起こしてあげるからさ」
ひかり「うん。ありがとう、ゆとりさん…」
セインフ「僕が連れて行ってあげるセイン」
セインフに連れられて、ミルキーウェイシップの船室に入るひかり。
船室はほんのりとしたロウソクの明かりが付いており、隅にはフカフカのベットが用意してある。
力尽きたひかり、船室のベッドにゴロンと転がってしまった。
セインフ「ここで横になるセイン。すぐに毛布を持ってくるセイン」
ひかり「ゴメンね、セインフ…。わたしって、やっぱりダメだね。もっと頑張らないと…」
セインフ「そんな事全然無いセイン。それに、あのネメシスに褒められるなんて、僕はとっても鼻が高いセイン!」
ひかり「ありがとう、ゴメンね、セインフ…」
セインフ「ひかりは謝りすぎだセイン。ゆとりまでとは言わないけど、もっと自分に自信を持っていいセイン」
ひかり「うん、ゴメンナサイ…」
セインフ「また謝ってるセイン」
ふたりでクスクスと笑い合う。
セインフが持ってきてくれた毛布を掛けて、横になるひかり。
ふと、航路が外れてメアリに着いたことを思い出した。
ひかり「ねぇ、セインフ。ミルキーウェイシップが寄り道した、本当の理由って何だったのかしら…」
セインフ「それは…色々考えたけど、全然わからないんだセイン。本来ミルキーウェイシップは、ちょっとした理由では航路を変えるなんて事は無いはずなんだセイン」
ひかり「うーん…」
セインフ「もしかしたらあのネメシスは、シスターシーズンと知り合いなのかもしれないセイン。…ひょっとすると、超VIPだったりしたのかもしれないセイン!」
ひかり「ええっ?そうだったの!?」
セインフ「(ガクッと落ち込むように)それはわからないセイン。今のは僕の推測セイン」
ひかり「なぁんだ…ネメシスさんに、ちゃんと聞いておけば良かったね…」
セインフに合わせて落ち込むひかり。
その様子を見て、セインフが慌ててフォローする。
セインフ「でもあのままメアリを放っておいたら、後々大変な事になっていたのは間違い無いセイン。今回の事はプリキュアとして絶対正しい事だと、僕は思うセイン」
ひかり「うん…ありがとう、セインフ」
『おやすみセイン』と言って、セインフは船室から出て行った。
ボンヤリとした頭で、ネメシスとの会話を思い出す。
ネメシス「…プリキュアとなった少女たちを、我々は何度も観て、そして伝えてきたのさ。…もしかしたら、君たちは何か『特別』の中の『特別』な存在かもしれないね…」
特に印象の残った言葉を思い出しながら、ひかりは思う。
ひかり<もっと、いろいろお話したかったな…。わたし達、なぎささん達以外のプリキュアの物語。一体どんな姿で、どのように戦ったのだろう。そして、わたし達が『特別』の中の『特別』というのは、どういう意味なのだろうか。わたしがシャイニールミナスだった事と、関係があるのかな…>
目を閉じて色々と考えているうちに、ひかりの意識は甘い闇の中に溶けていく。
その感覚は、何故かわからないが、ネメシスとの睨み合いで力尽きた時と似ているような気がした。
6人を乗せたミルキーウェイシップは正規の航路に戻る。
時の航海の終わりまで、まだ、あと半分------。
※著:ライネス
番外編、最後までご覧頂き、ありがとうございました。引き続き、後編をお楽しみください!
ひかり「ほのかさんが、あさって帰国!」
ゆとり「いよいよかあ。早く会ってみたいな。・・・ひかりは、ほのかさんとどんなお話したい?」
ひかり「うん、えっと、プリキュアのこととか・・・」
ゆとり「ああ、あたしも! ・・・でも、ほのかさんは、まだわたしたちがプリキュアだってことを知らないみたいだよ。なぎささんが言ってないんだって」
ひかり「はあ・・・」
ひかり&ゆとり「ふたりはプリキュア ミルキーウェイ。第25話「前夜祭」」
ひかり「うふふ。じゃあ、ほのかさん、わたしたちがプリキュアだってこと知ったら、どんな顔するのか、ちょっと楽しみかも・・・」
ゆとり「あたしもすっごい楽しみー」
ひかり「ゆとりさんも?」
ゆとり「うん! だって、ひかりがプリキュアだなんて、ぜええったい想像できないもんね」
ひかり「え・・・わたしとプリキュアってそんなにイメージがかけ離れてますか・・・そうよね・・わたし、力、弱いし、積極的じゃないし、運動も苦手だし・・・」
ゆとり「ああ~! いやいや、プリキュアにもいろんなタイプがあるからね!」
ひかり「わたし、変わってみせますっ。そして、ほのかさんに、成長した姿を見てもらいます!」
ゆとり「ああ? ああ~。あんまり無理しないほうがいいと思うけど・・・」