■ 劇場版「光の園から初日の出」・15

目次 / 第77話「光の園から初日の出」 (前のページ/次のページ) ・

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・第25幕

ときびとの庭。
もとの場所。すなわち、雪山ロッジの屋上バルコニー(第1部・第12幕まで遡る)。
ひかゆと、バルコニーの一角にボワンと出現。
≪シュワン・・・≫
ひかゆとの装束は、光の園の盛装ではなく、もとのスキーウェア。
気が抜けたように、キョトンとして周囲を見渡すひかゆと。
ひかり「ここは・・・」
ゆとり「戻ったんだね・・・」
ふたりが帰還を確認し合った直後、向こうから、なおみ~うたちの歓声が湧き上がった。
奈緒「ああ~! やっとこさ出て来たジャンジャン!」
美羽「きれい~。やっぱり見に来てよかった~」
英知香「っと。カッコいい!」(カメラを慌てて掲げ)
≪パシャ、パシャ!≫
アカネさんは、笑顔で双眼鏡を覗き込みながら、
アカネ「う~ん、やけに輝き方がすごいねえ。こりゃあ、きっと今年のデラタコは、幸先がいいよ! そう思うでしょ!? ひかり、ゆとり!」
アカネさんは、双眼鏡から顔を離し、ひかゆとがずっと前から隣にいたかのように、ふたりのほうへ振り向いた。
ひかゆと「え?・・・は、はいっ!」
ひかゆとは、いつのまにか、当たり前のように、アカネさんの隣に立っていた。ふたりが光の園に行っていたあいだ、ときびとの庭の時の流れが止まっていたのだった。初め戸惑っていたひかゆとは、アカネさんの自分たちへの当たり前の接し方を見て、そのことに次第に気づいて行く。それとともに、今、自分たちも、初日の出に間に合ったことを知って、徐々に笑顔に変わる。
ひかゆと「あはっ!」
そして、ふたりは、向こうの山の上に光り輝き出した初日の出を、満足そうに見上げたのだった。
ひかゆと「はああ・・・!」

・第26幕

フランス・マルセイユ。
海岸。ほのかと友だち(男性)が、笑顔で、初日の出を見ている。
友だち「C’est tres magnifique! Je n'ai jamais vu plus beaux 《Hatsuhinode》 que celui. (すげえ! 今までこんなにきれいな<初日の出>、見たことないよッ)」
ほのか、会心の笑顔で頷く。
ほのか「ふふ! Oui! C'est vrai.(ええッ。ホントね)」
そして、心の中で呟く。
ほのか<ひかりさん、ゆとりさん、ありがとう>

・第27幕

神社の高台。
藤Pのいい顔がいきなりアップで。
藤P「お、出て来たぞ! (隣に顔を向け)すごく綺麗だよ。・・・なぎさッ」
藤Pに見つめられたなぎさは、言葉の意味を一瞬曲解したのか、
なぎさ「え・・・」
と呟きながら、顔を赤らめる。
藤P、すぐに初日の出のほうへ、向き直る。
それを見たなぎさは、「あ・・・」とふと不安そうな顔になるが、自身もすぐに、前方の初日の出へと視線を戻して、清々しい笑顔になり、
なぎさ「うん! とっても綺麗だよ。・・・省吾さん!」
なぎさは、藤Pの晴れ着の袖に回した腕を一層深く回し、体をグッと凭せ掛けた。
そして、陶然(うっとり)した微笑のもと、心の中で呟いた。
なぎさ<ひかり、ゆとり、サンキュー>

・第28幕

雪城邸。
庭。雪に覆われている。さなえさんが、草履で雪を踏みしめながら、出て来る。
≪ザクザク≫
犬小屋の前では、忠太郎とひかるが遊んでいた(アカひかが雪山旅行中、ひかるは、さなえさんに預けられているらしかった)。
ひかるが、雪を丸めたボールを投げ、忠太郎がそれを取りに走る。
ひかる「それえ!」≪シュー≫
忠太郎「ブワン!」
忠太郎、走ってジャンプして、口で上手にキャッチ。
≪ジャッ!≫
ひかる「きゃはは。お上手うう!」
空を見上げるさなえさんが、
さなえ「ひかるちゃん、忠太郎、出ましたよ。はるか彼方から綺麗な初日の出が」
ひかると忠太郎、雪玉遊びを一旦やめ、さなえさんと一緒に空を見上げる。
ひかる「はああ・・・!」(あまりの輝きに呆気に取られたように)
忠太郎「ブワン、ブワン!」(活気づき)
さなえさんは、慈愛に満ちた笑みを湛え、心の中で語りかけた。
さなえ<みなさん、旧年中は本当にお世話になりました。そして、新年あけましておめでとうございます>

・第29幕

デラタコカフェカー。
帰りの車内。
ハンドルを握る運転席のアカネさん、前を見ながら、助手席のひかりや後部座席のゆとり、なおみ~う、英知香に、
アカネ「結局あんたたち、誰もスキー、マスターできずじまいだったねえ」
ゆとり、不服そうに、
ゆとり「だって、アカネさん、初日の出を見た後、教えてくれるって言ってたのに、朝から早速デラタコの営業始めちゃったんだもん」
アカネ「あ? ああ~。あんまりにも眩しい初日の出だったでしょ? じっとそれ見てたら、お日様から、<商売繁盛!>っていう字が浮かんで来たような気がしてさ、こりゃ新年早々行ける!って思って張り切っちゃったんだよ~」
ゆとりたち、呆れ笑顔で、
ゆとり「それ、単に日差しが強すぎて目が眩(くら)んだだけじゃないの?」
奈緒「アカネさんは、やたらなんでもかんでもデラタコに結びつけすぎじゃんじゃん」
美羽「お日様までが、たこ焼きに見えてたりして」
アカネさんも、さすがに恥ずかしそうに自嘲。
アカネ「あはは。いや~」
ここで、ひかりが、微笑みつつも、真面目に諭す感じで、
ひかり「でもアカネさん、商売繁盛もいいですけど、まずは無病息災。今年もお体を大切に」
アカネさん、ちょっと答えに困って、
アカネ「あ・・・ああ。(すぐに明るく自嘲してみせる)いや~、あたしも、若い子に健康を気遣われるようじゃ、女としてもう斜陽かねえ」
ひかり「え、そんなつもりじゃ・・・ごめんなさい」
反省顔で俯くひかり。
アカネ「あはは。冗談。冗談。ひかりは、今年もお変わりなくさっそくジョークが通じないねえ」
ゆとりとなおみ~う、噴き出す。
ゆとなおみ~う「ぷふっ!」
ひかり「はあ・・・」
アカネ「ひかり、心配してくれて嬉しいよ。でも、大丈夫! わたしは今年も女としてさらに光り輝くよおおお~」
アカネさん、思わずアクセルを踏んで、スピードを上げる。
≪ブオン!≫
速度を上げたデラタコカーに興奮したゆとりが、声を高めて、
ゆとり「わっ、アカネさん、青春してるうう~! よお~し、このまま夕日に向かって突っ走れ~!」
前方を≪ビッ≫と指さすゆとり。
ここで、黙っていた英知香が、さりげなく小声で、
英知香「っと、まだお昼だけど・・・アレ」
と言って、真昼の太陽を指さす。
ゆとり、体裁悪そうに苦笑して声を潜め、
ゆとり「あ・・・ああっと、そうだね・・・」
ひかり、後ろに向いて、微笑みつつも、英知香を諭すように、
ひかり「えっちゃん、今のはたぶんジョークだと思うの。だから、真面目に突っ込んだら、ゆとりさんが気の毒じゃないかしら・・・」
ゆとり、完全にギブアップの苦笑。
ゆとり「ひかりに、そう言われるほうがよっぽど気の毒だよ~」
デラタコカー内が、一同の元気な笑いで満たされる。
全員「あははははっ~」

・第30幕

たぶん翌日。
ひかゆと・なおみ~う、英知香の五人で、晴れ着を着て、神社あたりに初詣。
賽銭箱。お金を投げ入れて、手を合わせ、願掛けする5人。
≪チャリン、チャリン。パンパン!≫
願掛けの後、手を下げ、奈緒が、左隣の美羽に、
奈緒「美羽、何お願いした?」
美羽、プイッと、
美羽「内緒!」
奈緒「ふ~ん・・・言えないんだ? てことは・・・」
美羽「む~?」
奈緒「どうせ、<今年こそ背が伸びますように>ってところじゃないのお~?」(最後はイヤミったらしく)
美羽「ああ! どうしてわかったのよ!?」
奈緒「あはは。図星ジャンジャン!」
奈緒の右隣から、英知香が、
英知香「っと。わたしは、もっと写真が上手になりますようにって。奈緒ちゃんは・・・?」
奈緒「ええ~? わたしはあ、やっぱバスケの試合でえ~・・・」
美羽「なんかありふれてる~」
奈緒「なによお・・・!」
奈緒ら背景に沈み、声も聞こえなくなる。
代わって、お香を手で寄せて身に浴びるひかゆとがアップになり、ふたりの会話。
ひかり「ゆとりさんは、何をお願いしたの?」
ゆとり「えへへ~。ひかりは?」
ひかり「うんとね。言ってもいいけど、なんか恥ずかしいな」
ゆとり「じゃあ、ひかり、一緒に言い合いっこしようか?」
ひかり「え? うん、それならいいよ」
ゆとり「行くよっ」
ひかり「せえの!」
ふたり、バッと向かい合い、
ひかりとゆとり「来年も、綺麗な初日の出が見られますようにっ!」
同じフレーズの願い事を言い合ったひかゆと、偶然の一致に驚き、呆気に取られた顔で、互いを見つめ合う。
ひかり「そ、そんなあ・・・」
ゆとり「あ、アンビリーバブル」
しかし、ひかゆとの顔には、次第々々に、以心伝心のような笑みが浮かんで来る。
ひかゆと「あ・・・ははッ」
そして、ふたりは、≪パシ、パシッ≫と互いの手と手を結んで、こちら(画面)のほうへ向くと、視聴者(観客)に元気にお辞儀して、言祝(ことほ)ぎを投げかけてくれたのだった。
ひかゆと「ア・ハッピー・ニュー・イヤ~ッ! 今年もよろしくうっ!!

劇場版、最後までお楽しみ頂きありがとうございました。
引き続き………いよいよクライマックス! 最終編をお楽しみください。

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