・ 目次 / 第17話「ライバル」 (前のページ/次のページ) ・
すると、スワンフがコミューン形態から、等身大形態になって現れる。スワンフ、優しそうな声で、ゆとりに語りかける。
スワンフ「ゆとりぃ、すごく嬉しそうなのスワン」
ゆとりは、視線を熊のぬいぐるみから、スワンフのほうへと移し、ハッとしたような表情で3秒ほどスワンフを見つめていた。
ゆとり「・・・」
が、やがてまた穏やかに微笑み出して、熊のウーさんに視線を戻し、
ゆとり「うん。嬉しいよ。ともだちが出来たんだもん」
そう言いながら、ゆとり、前回、遊園地のクレーンゲーム(UFOキャッチャ)ーで、美羽にこのぬいぐるみを貰ったときのシーンを思い出す。
ゆとりは、熊のウーさんのぬいぐるみを、うまくハンドでつかみ、徐々に落とし穴に近づける。
ゆとり「オーケー、オーケええ!」
なおみ〜う、おおはしゃぎ。
なおみ〜う「わあああ!」
しかし、なおみ〜うが騒ぎすぎたためか、穴のすぐ手前でポトッとすり落ちてしまう。
全員ガッカリ顔。
四乙女「ああ〜あ」
その直後、スタッフが来て、ぬいぐるみを穴の真横に調整してくれた。
スタッフ「これで大丈夫だよ」
ゆとり「あ、ありがとうございます・・・はは」
ゆとり、申し訳なさそうに照れ笑い。
ここからは美羽が挑戦。地面スレスレのところで開いたハンドがチョンと当たっただけで、ウーさんは穴に落ち、ようやくゲット。
なおみ〜う、大喜び。
なおみ〜う「やったああ!」
ゲットした熊のぬいぐるみを、美羽は、ゆとりにプレゼント。
美羽「はいっ! ゆとりっ!」
ゆとり「ええ? でも、取ったの美羽だしぃ・・・」
ゆとり、申し訳なさそうな躊躇い笑い。
美羽「あんなの取ったうちに入らないわよ。大部分、ゆとりが動かしたんだし。それに、熊のウーさんほしかったんでしょ?」
ゆとり、照れ笑いして、
ゆとり「う、うん、ありがと!」
ゆとり、そう言うと、今度は無邪気な笑顔でぬいぐるみを受け取って、可愛らしく両手で胸にしっかと抱いた。
ゆとり「へへ。可愛いっ」
ウーさんの頭をなでるゆとり。そのゆとりを微笑ましく眺めるなおみ〜う。
さらに、それらのやり取りを見ていたひかり、満足そうな微笑を浮かべる。
ひかり「ふふ」
回想を終えたゆとり、なお熊のぬいぐるみを上に掲げて見ながら、独り言をしゃべるように、
ゆとり「アタシ・・・過去のことがまだ思い出せないけど、でも、こんな幸せな気持ちになれたのって、たぶん、今が初めてみたいな気がするんだ〜」
横に立つスワンフ、ゆとりが何を言い出すのか注目するように、
スワンフ「ho・・・?」
すると、ゆとり、またスワンフのほうへ向いて、
ゆとり「スワンフゥ。アタシ、ここに来る前、一体どこにいて、どんなひとだったんだろうね?」
スワンフ「え? それは・・・」
スワンフ、ちょっと困惑顔になる。
しかしゆとりは、スワンフの答えは待たず、また熊のぬいぐるみに視線を戻す。
そして、微笑みながら、
ゆとり「初めは、過去のことを思い出して、おうちに帰れるまでちょっといるだけのつもりだったけど、今は、ずっとここに住んでいたいような気がするの。とわびとの庭とかプリキュアとか関係なく・・・」
スワンフ、心配そうな顔になり、
スワンフ「う〜ん・・・」
ゆとり、またスワンフのほうへ向き直り、
ゆとり「ねえ、スワンフ」
スワンフ「え?なのスワン」
ゆとり「わたし、プリキュアとかやめても、ここにいられるよね?」
ゆとりは、微笑んでいる。
スワンフ「そ、それは・・・う〜ん、なのスワン・・・」
スワンフ、答えられず、困り顔でゆとりを見つめるのみ。
ゆとり、また熊のぬいぐるみに視線を戻し、今度は真剣な顔でしばらくそれを凝視していたが、
ゆとり「ふああ〜」
と大きくあくびをして、そのままスウッと眠りに陥ってしまった。
眠るときゆとりは両手は下ろしたが、胸にはしっかりと熊を抱いていた。
すやすやと眠るゆとりの平和そうな寝顔を、スワンフは、心配そうな顔で見つめる。
スワンフ「uu・・・」
また、障子の向こうには、さなえさんが立ち、手にはお茶を載せたお盆を持っていたが、そのまま台所のほうへ後戻りして行ってしまった。
このあいだ、さなえさんの顔はスクリーンの外に出ていて、見えない。見えるのは、お茶を持つ手元のみ。
後日(翌日?)、ベローネ体育館にて、バスケ部練習中。
順番にシュートを打つ練習。三島由紀子先輩がトスしたボールを、各部員が走って来て、キャッチし、そのままボードにジャンピングシュート。
まずモブキャラ部員が、三島先輩のパスをゲットして、シュート。
モ部員「えいっ!」
容易く決める。
三島「よ〜し。次、奈緒ッ!」
奈緒「はい!」
奈緒、活発な声でそう返事しながら、タタタッと走って来て、先輩のトスしたボールをパシッと受け取り、ジャンプ、シュート。
奈緒「ヤッ!」
ボールは見事リングの中を潜り抜け、シュート成功。奈緒、安堵と自信の笑顔。
奈緒「ふっ」
三島「つぎっ、ゆとり!」
ゆとり、笑顔でタタッと走って来ながら、明るく返事。
ゆとり「はーいっ!」
ゆとり、三島先輩のトスを難なくキャッチすると、余裕の笑顔でジャンプ、シュート。
ゆとり「あ〜ら、よっとお〜!」
ところが、ボールはボードにバシッと当たったあと、リングにコンと撥(は)ね落ちてバウンドし、地上に落下。シュート失敗である。
しかし、ゆとり、相変わらず笑顔で、
ゆとり「あはは、しゅっぱ〜い!」
三島先輩が、生真面目そうな顔で注意。
三島「こら、ゆとり! 失敗して笑うんじゃないの!」
ゆとりは、頭を掻いて苦笑しながら、
ゆとり「あ、すみませーん」
ゆとり、また後ろに下がって、順番の列に並ぶ。ちょうど奈緒の真後ろになる。
奈緒、振り返って、ちょっと訝るような笑顔で、
奈緒「ゆとり、どうしちゃったの。3回連続ではずしてない?」
ゆとり、笑みながら、
ゆとり「あれ? そうだっけ?」
奈緒「ちょっと疲れ気味?」
ゆとり「ううん、サイコーに体調いいよ。バスケもこんなに楽しいって感じたことないくらい」
奈緒、心配そうな眉毛のまま笑んで、
奈緒「ならいいけど・・・」
なにか言いたげなまま、言葉を切る奈緒だった。