・ 目次 / 第16話「キャラクターショー」 (前のページ/次のページ) ・
客席で、なおみ〜う、はしゃぐ。
奈緒「おっ、出て来た!正義の味方・仮面のふたりはプリQレンジャー!」
美羽、ちょっと不審顔で、
美羽「でも、なんか違くない?着ぐるみじゃないみたいだし・・・」
美羽にそう言われて奈緒も一瞬訝しげな表情になったが、すぐに明朗な笑顔に戻り、
奈緒「第二部はそういう演出なんだよ、きっと」
舞台。
すでに、キャントビーとプリキュアのふたりが対峙している。
キャントビー「ふふ。待っていたぞ、伝説の戦士・・・プリキュ(ァ)」
ラピッド「あああ!キュウウウ〜ウ!レンジャアアー!」
ラピッド、会場のちびっこにプリキュアとバレないように、キャントビーの言葉を大声でかき消して、プリQレンジャーのふりをする。
となりのルミナスは、ラピッドの意図が理解できずに、戸惑うばかり。
ルミナス「え、えッ(汗)?」
さしものキャントビーも圧倒されてしまい、
キャントビー「うう、な、なんだ?」
ラピッド、仮面の中でニヤッと笑って、ちょっと籠もった声で、
ラピッド「あなた、この舞台に立ったからには、覚悟は出来てんでしょうね?」
キャントビー、ラピッドの挑発を真に受け、戦闘用意の険しい表情に変わり、
キャントビー「む?覚悟?それはこっちのセリフだっ。てえええッ!」
キャントビー、そう唸ると、手からいきなり白羽のような鋭い衝撃波を放つ。
≪ズポン!≫(衝撃波の音)
客席の奈緒、感激して、
奈緒「わッ、第二部って迫力が全然違う〜!」
不意をつかれたL&R、これを避け切れなかったが、衝撃波はギリギリではずれ、代わりに風圧で、ふたりとも、仮面が脱げてしまう。
L&R「あっ!」
客席のちびっこたち、驚く。
ちびっこたち「キャア!」
美羽も、
美羽「あっ、仮面が取れたよ!」
奈緒、笑顔で、
奈緒「第二部はそういうシナリオなんだよ、きっと。それに、あの子達、結構可愛いジャン。仮面つけてるの勿体ないよ」
舞台上では、ラピッドが、ちょっと怒って、
ラピッド「ちょ、ちょっとッ!いきなりなにするのッ!?段取り無視しないでよ!」
キャントビー「段取り?そんな時の流れに支配されたものなど、無に等しいな。私のドラマにシナリオなぞありえぬあああ〜い!」
L&R、キャントビーの凄んだ声でのおかしなセリフに、
L&R「うッ・・・」
と気圧される。
しかし、ラピッド、すぐ気を取り直して急に和んだような声になり、段取り通り、
ラピッド「ではなぞなぞでーす」
客席のなおみ〜う。
美羽「来たああー!」
奈緒「わくわくするジャンジャン!」
舞台。
ラピッド「第一問。えっと・・・(そう言ったところで言葉に詰まり、ルミナスのほうへ向いて、話を振る。急かすように)はいっ!なんかいいなぞなぞ出してっ」
ルミナス、急かされてアセアセしながら、
ルミナス「え?なぞなぞ?えっと・・・じゃ、じゃあ、寒ければ寒いほどあつくなるものなあに?」
客席にて、美羽、
美羽「寒ければ寒いほどあつくなるもの〜?う〜ん」
と腕を組んで、真剣に考え込む体勢に。
ところが、美羽が考える暇もないほどの速さで、舞台上のキャントビー、
キャントビー「氷・・・」(低く抑揚のない声で)
ラピッド、ルミナスのほうへバッと振り返って、
ラピッド「ルミ・・・じゃない、ピンク、どうなのっ?」
ルミナス、警戒しつつ驚くように、
ルミナス「せ、正解です・・・」
客席の美羽、
美羽「あ〜、そっか、アツいってそっちの厚いか」
舞台上で、ラピッド、キャントビーの即答に度肝を抜かれ、押され気味ながら、
ラピッド「じゃ、じゃあ次行ってみようか。はいっ、ピンクううー!」
ルミナス「え?ええ〜、では〜、五本より二本が強いもの、なあに?」
客席にて、美羽、
「五本より二本が強い?それってまさか、プリキュー5より、ふたりはプリ・・・」
ところが、舞台上で、キャントビー、また素早く不敵に、
キャントビー「じゃんけん!」
ルミナス、顔をこわばらせながら、
ルミナス「あ・・当たり・・です・・・」
客席にて、奈緒が、美羽に、
奈緒「なんか今度の怪人さん、頭いいね」
美羽「でも、つまんないよ〜」
美羽は、考える余裕も与えてもらえないので、フテてそう不平を述べた。
舞台上では、ラピッドたじろぐ。
ラピッド「う、つ、強い・・・!」
キャントビー、不敵に笑み、
キャントビー「このキャントビーに、なぞ、なぞありえぬあああ〜い、のだ」
キャントビーの相次ぐ不思議なリアクションに、L&R、さらにたじろぐ。
L「え、ええ・・・?」
R「シャ、シャレも、、、冴えてる・・・!」
キャントビー、また不敵な表情に戻って、
キャントビー「今度はこちらの番だ。いいか?」
L&R、警戒の色を強める。
L&R「m・・・!」
キャントビー「始まったとたんに終わるもの、それはなんだあ?」(脅迫するような問い方)
ラピッド「は、はじまったとたんに終わる・・・?ん〜、、、」
と素直に考え込んだラピッドだったが、次の瞬間、ハッと閃いたように、笑顔に変わり、
ラピッド「あッ、学校のテストッ!。。。って、これはわたしの願望です・・・えへへ」
舌を出して頭を擦るラピッドに、会場、大爆笑。
会場「キャハハハッー!」
その客席の一角。
例の幼い兄妹とその母。
兄「なんか、グリーンが面白いひとになってるう」
母「ほんとうねえ。どうしたのかしら。ピンクのほうが賢そう」
妹、泣きそうな顔になって、兄に、自分の手にするQグリーンのぬいぐるみを突き出し、
妹「お兄ちゃ〜ん、グリーンとピンク、取り替えっこしよ」
舞台。
依然会場は、Qグリーンに扮したラピッドのおちゃらけに、ワイワイと笑いの余韻を引き摺っていたが、
ルミナスだけは、真剣な表情で、声を震わせながら、
ルミナス「それは、『今』、ですか?」
すると、キャントビー、矢庭にニヤッとなり、
キャントビー「そうだ。よくわかったな」
ルミナス「・・・!」
キャントビー「一瞬一瞬の時は、今を迎えるや否や、次の今に取って替わられ、すぐ過去に沈んで行く。そして、時の流れはすべて、この今の連続からなる実体のない虚しい存在。つまり、今の一瞬だけでなく、時の流れそのものが、はかなくもせつない存在、すなわち、無!なのだ」
ラピッド「時の流れが無で、はかなくもせつない。なんじゃ、そりゃ?」
ラピッドは、すぐには理解できずとぼけた表情で応じるしかなかったが、そのとき同時に、会場の最後列あたりで舞台を遠巻きに望見していた者が、軽いショックを受けていた。その者は、さきほどの店のお手伝いの女の子であった。
その女の子の心の中で、キャントビーのセリフの一部が反復される。
女の子の心<時の流れそのものが、はかなくもせつない存在なのだ・・・!>
女の子の目が潤む。
女の子<ha・・・>
舞台に戻って、ラピッド、憤り、
ラピッド「時の流れがはかなくてせつない〜!?それはあなたの勝手な解釈でしょ!?そんななぞなぞなんて答えられなくて当然・・・って、あ、つい言い訳しちゃった。えへへ」
またとぼけた表情で頭をかくラピッドを見て、会場が大爆笑。
会場「キャハハハハー!グリーン、かわいい!」
舞台上。
キャントビー「ふん。だが、そいつ(ルミナスを目で指して)はちゃんと答えたぞ。そいつは、時の虚しさに気づいているのだ。時は、光の輝きと速さから成る一切の変化の源。しかし、その中で変わらないのは光の輝きだけ。だが、光の輝きは、絶えざる変化である光の速さと混ざり合うことで、みずからも変化を蒙り始める。すなわち、その永遠の輝きを放棄し、光の速さが増すにつれて、共に消滅へと向かう。永遠と瞬間とのありえない結合、それが時の流れだ。それは、そのままお前たちの運命をも意味している」
ルミナス、それを聞いて、目が潤み出す。
ルミナス「u・・・!」
また、会場最後尾の女の子の瞳も同じように潤む。
女の子「運命・・・」
舞台上、ひとりわからないのはラピッドのみ。
ラピッド「あなた、ここはちびっこの楽しいイベント会場なのよ!そんな難しいなぞなぞ出すなんて場違いもいいところよ。会場のみんなに謝りなさああ〜い!」
ラピッド、そう言って、会場をビュッと指差す。
客席のちびっこたち、すっかりラピッドのペースに乗るのを楽しんで、
ちびっこたち「あやまれ〜!」(冗談っぽく)
こうなると、キャントビーもやや居辛いものを感じて、多少及び腰になり、
キャントビー「ふん。まあいいだろう。このなぞを解けたということで、今日のところは勘弁してやろう。・・・あとで、謎の意味をそいつ(ルミナスを目で指し)によーく聞いておけ・・・シスター・シーズン・・・てぃええッ!」
キャントビー、そう言うと、背後の舞台袖に巻き込まれるように消えて行ってしまった。客には、素早く舞台裏に下がったとしか思えない。
ラピッドは、煮えきらぬ表情で、
ラピッド「え・・?シスター・シーズン?」
ルミナスは、不安そうな目で、キョトン顔のラピッドを見つめていた・・・
ルミナス「・・・・・」