・ 目次 / 第15話「午後のゆとり」 (前のページ/次のページ) ・
後日。ベローネ学院運動場。体育の時間。
体育教師「今日もまずストレッチから入るぞッ。二人組になれっ!」
なおみ~う、ともに目が合い、微笑み合う。
が、すぐさま、体育教師が語を継ぐ。
教師「おお、そうだ。今日も、いつもとは違う相手と組めよ!」
生徒ら「え~~?」(不満声)
教師「なんだっ、その声はっ!先生の言うことを聞かんかっ!」
生徒ら「はあ~ぃ・・」(トーンダウンした声)
なおみ~う、一瞬困ったように顔が曇る。
なおみ~う「・・・」
そのとき、美羽、奈緒の後方に、相手を探してウロウロしているひかりを発見。
ひかり「えっとお・・・」〔註:進歩ないですね・・・。したがって、ここは14話アバンのフィルム使い回しでOK〕
美羽「あっ!ひかり」
ひかり、振り向く。
ひかり「え?」
美羽、笑顔で、
美羽「こっち、こっち」(手招き)
ところが、それを遠方から、心配そうにジッと眺めている者がいた。ゆとり、である。
ゆとり「ha・・・」
・・・
ひかり、到着。
すると美羽は、ひかりに、笑顔で、
美羽「ひかりっ~、相手探してたんでしょ?」
ひかり、苦笑して、
ひかり「え、ええ」
美羽、依然笑顔で、隣の奈緒を指差し、
美羽「奈緒と組んだら?」
奈緒「えっ!!?」
奈緒、驚いた後、焦りながら笑顔で、
奈緒「いや、いいよ。美羽が呼んだんだし、ひかりと組みなよ」
美羽「な~お、遠慮しちゃだめだってえ」
奈緒「美羽こそ」
ひかり、ちょっと困ったように、両手をおなかのあたりで組んで、譲り合うなおみ~うを交互に見ている。
ひかり「あn・・・」
そのやりとりを遠方で見ていたゆとり、
ゆとり「ふふ(^-^)」
と安心して笑みを浮かべる。
そしてゆとりは、今度は自分自身の組む相手を探すべく、視線を周囲に転じる。
ゆとり「じゃあ、アタシはっと・・・」
そのとたん、ゆとりに向けて、声がかかる。
声「ゆとり~!」
ゆとり「えっ!?」
ゆとり、声のほうへ振り向く。奈緒が手を振っている。声の主は奈緒だった。
奈緒「一緒にしよお~よお!」
ゆとり、一瞬意外そうに奈緒のほうを見ていたが、奈緒の後ろで、すでにペアを組みかけていたひかりと美羽が、ペンディング状態のゆとりの顔を見て、笑顔でうなずいた。
ひかり・美羽「うん!」
それを見たゆとりの顔が、サアッとほころんだ。
ゆとり「はは・・・!」
昼休みの二年桃組教室内。昼食時間。
なおみ~うとひかりが、いつものように机を寄せ合っている。
ところがカメラはさらに、ひかりの隣に移動し、そこに机を寄せて腰掛けるもうひとりの姿をゆっくりと映し出した。
それは、ゆとりであった!
ゆとり、苦笑しながら、
ゆとり「なんか・・・窮屈じゃない?アタシがいたら?」
奈緒、笑んで、
奈緒「なに言ってるの?ぜんぜん窮屈なんかじゃないよ」
美羽も笑んで、
美羽「そうだよ。賑やかになって楽しいしぃ」
ひかりも微笑む。
ひかり「うふ」
美羽、ゆとりが焼きそばパンしか持っていないことを気にし始め、
美羽「それより、ゆとり、お昼それだけ?」
ゆとり「あ?うん。そだよ」
美羽「雪城先輩のおばあちゃんに頼めば、もっとちゃんとしたお弁当作ってもらえるでしょう?」
ゆとり、ちょっと苦笑して、
ゆとり「ま、まあそうだけど、わたし、お昼は抑えてるんだよね」
奈緒、疑問顔で、
奈緒「なんで?」
ゆとり、珍しくはにかむような笑顔で、
ゆとり「おなかいっぱいになったら・・・午後の授業、絶対居眠りしちゃうから」
奈緒、ちょっと呆れた顔になって、
奈緒「なんだ、そんな意味~?」
ここでひかりが、口を開く。
ひかり「でも、ちゃんと栄養のあるものを摂っとかないと、疲れて眠たくなるのは同じだから・・・」
ひかり、そう言うと、自分の弁当箱から箸でたこ焼きとマンゴーのようなフルーツをつまんで、自分の弁当箱の蓋の中に入れ、それをゆとりに差し出す。
ひかり「はい、ゆとりさん」
ゆとり「え、えっ?」
すると、奈緒も、
奈緒「じゃあ、あたしもあげるよ。ほいっ!」
奈緒は、唐揚を、投げるようにポンと、ひかりの弁当箱の蓋の中に入れる。
美羽も、
美羽「あたしは、じゃあ、ハンバーグね。はいっ」
奈緒、笑いながら、
奈緒「わッ、油コテコテの?」
美羽、屈託のない笑顔で、
美羽「そうよ。油コッテコテだから、一口ですごい満腹感だよ~」
ゆとり、大いに戸惑い、
ゆとり「え、本当にいいの?アタシ、なんのお返しも出来ないよ。これとこれじゃ」
そう言って、ゆとりは、両手に持った焼きソバパンと牛乳パックを交互に見た。
奈緒「なに水臭いこと言ってんの?」
ゆとり「でも~」
美羽「<でも>ってなによ~?」
するとこのとき、さらにひかりが、笑顔で、
ひかり「そうよ。ともだちでしょ?」
ゆとり、ハッと驚いて、ひかりを見つめ、
ゆとり「と・も・だ・ち・・・!?」
ゆとりは、噛み締めるようにその言葉をゆっくりと呟いてみせたのである。
美羽「なに驚いてんの?」
ゆとり「いや、あの・・・」
ゆとり、体裁悪そうに、なおみ~うのほうも見る。
するとなおみ~うも笑顔でうなずく。
なおみ~う「うんっ!」
ひかりはさらに、しんみりとした口調で、
ひかり「ゆとりさんがいなかったら、あのときわたしたち、どうなってたか・・・」
ゆとり、ハッとなる。
ゆとり「あ・・・」
美羽「そうだよね。ゆとり、大活躍だったもんね」
ゆとり「わ、わたし、別にそんなつもりじゃ・・・」
ひかり、神妙な笑みを浮かべて首を振る。
ひかり「ううん。ゆとりさん、本当にありがとう」
ゆとり「ひかり・・・」
ゆとりは、ひかりに心を釘付けにされたような表情になった。
しかしやがて奈緒が、沈黙を破るように、困り顔で笑って、
奈緒「ひかり、いい加減、『ゆとりさん』って呼ぶのやめようよ~」
美羽もすぐさま呼応。
美羽「そうだよ。いつまで他人行儀でいるつもり?」
今度はひかりが、大いに戸惑ってしまう。
ひかり「え・・・だけど・・・」
それを見たゆとりが、ひかりを気遣って、笑顔で、
ゆとり「あ、いいよ、いいよ。そんな無理しないで」
美羽も、戸惑うひかりを気遣うように、
美羽「まあホントは呼び方なんて、なんだっていいんだけどね」
すると奈緒が、フォローするつもりで、変な遊びを思いつく。
奈緒「そうそ。なにも名前じゃなくったって、たとえば男の子みたいに、苗字で呼び捨てでも。なっ!加賀山(かっがやまあ)!」
奈緒、そう言って、美羽の肩を<ポン!>と叩く。
美羽、ちょっと痛がって顔をクシャッと顰めた後、笑顔に戻って奈緒の肩をポンと叩き返し、
美羽「そうだよな~、多幡(たばたあ)~」
奈緒も顔をしかめる。
奈緒「うっ!」
それを見たゆとり、悪乗りするように俄かにイタズラっ子の顔になり、ひかりに、
ゆとり「うまいたこ焼き、ありがとよ」
と言うと、さらにひかりの肩をかなり激しく<バチッ!>と叩きながら
ゆとり「なっ、九条(くっじょー)~!」
ひかり、ゆとりに肩をぐっと押さえつけられ、ちょっと体勢を崩しながら、
ひかり「ああ~!」
体勢を立て直したひかりは、叩かれた肩をそのまま小さく竦(すく)めさせ、恐縮したように小声で、
ひかり「いえ、どういたしまして・・・」
奈緒、笑顔で、
奈緒「はあ~?違うだろ?九条(くっじょー)~」
美羽「ちゃんとこうするんだよ、九条(くじょおお)~」
と言って、美羽は再度奈緒の肩をポンと叩き直す。
奈緒「いててっ。そ、そお」
奈緒、苦笑い。
ひかり「う、うん」
ひかり、そう頷くと、ゆとりのほうを見て、生唾をコクリと飲み込んでから、
ひかり「え、えっと」
ゆとり、えっへん顔で、<どうぞここを叩いて>といったふうに、ひかりに肩を差し出す。
ひかり、そっとゆとりの肩に手を乗せる。ゆとりは、真剣な眼差しになり、成り行きを見守るような目でひかりを見つめている。
ゆとり「・・・」
ひかり、ためらいがちに小声で、
ひかり「は、早瀬(はやせ)・・・え」
それを聞き届けたゆとり、太い眉をピクつかせ、じっとひかりを見て、嬉しそうに、
ゆとり「ひかりィ~~ッ!!!」
ゆとりが大声でそう叫んで、迫力ある顔をドッと近づけて来ると、ひかり、相手の気に障ったのかと勘違いし、すっかり恐縮。
ひかり「あっ!ごめんなさい。ゆとり・・・さん」
なおみ~う、ヘナヘナっと呆れ顔。
なおみ~う「ああ~あ」
でも、すぐ笑いが出た。
なおみ~う「・・・はははッ!」
ゆとりは初めから屈託なく笑い、
ゆとり「あははは。これがひかりだよ。ひかりはこれでいいんだよっ!」
奈緒も笑い、
奈緒「ははは。そうだよね。さすがひかり!ははは」
美羽も笑い、
美羽「ははは。結局ひかりには誰も敵わないってことよね。ははは」
3人、黄色い笑い声。
ゆとなおみ~う「あはははは」
ひかりは、はにかみながら苦笑い。
ひかり「はは、ふふふ」
午後の授業が始まっている。
英語のクラス。女の先生が教科書の英語を朗読している模様。
先生「Hope was all I had until you came.
Maybe you can’t see how much you meant to me.
You were the dawn breaking the night…」(Carpenters “Only Yesterday”)
〔私訳<意訳>:
『あなたに会うまで、わたしは希望だけで生きていた
もしかしたら、あなた自身は、わたしにとってあなたがどれだけ大きな存在だったのか、わかっていないかもしれない
あなたは、闇夜を打ち破る夜明けの光だったの・・・』
カーペンターズ「オンリー・イエスタデイ<『もう昨日のこと』>」 [en.wikipedia.org] より〕
朗読の間、奈緒と美羽が、それぞれの机で、英語の教科書に目を落とし、まじめに授業を聞いている模様が順次映し出される。
奈緒「~」
美羽「~」
次に画面変わり、ゆとり、机につっぷして、微笑みながらすっかりお昼寝の模様。
ゆとり「ス~ハ~、ス~ハ~」
少し前の席に腰掛けるひかり、背後の微かな寝息に気づいて教科書から目を逸らし、居眠りしているゆとりのほうをチラッと見る。
ひかり「ha・・・?」
教室内では、生徒全員のよる教科書の復唱が行われている。
生徒ら「Hope was all I had until you came・・・」
なおみ~うも順次、いかにも日本語っぽい発音で、
奈緒「Maybe you can’t see(メイビー・ユー・キャント・シー)・・・」
美羽「how much you meant to me(ハウマッチ・ユー・メント・トゥー・ミー)・・・」
カメラ、ゆとりフォーカス視線に戻る。
ゆとり、寝言をむにゃむにゃ。
ゆとり「ユー・ゥワ・ズァ・ドーンヌ・ブゥレィキン・ズァ・ナイッ(結構いい発音で)・・・う~ん、アンビリーバボウ、むにゃむにゃ・・・」
ひかりは、ゆとりのその様子を見た後、前へ向き直り、微笑みながら、心の中で穏やかに呟いた。
ひかり<やっぱり寝ちゃった・・・午後の・・・ゆとり・・・>
そして、ひかりは、爽快な表情で窓の外を見上げた。
ちょうど窓外では、青空を背に、四羽の小鳥が仲良さそうに並んで飛んでいた。
タイムフルオルゴール~!
今なら12色のシーズニーラピス付き。
ゆとり「仮面のふたりはプリQレンジャー!」
ひかり「あ、それ、今小さい子たちのあいだで大人気の」
ゆとり「ひかり、よく知ってるね」
ひかり「うん、一応」
ゆとり「ならよかった。今度、遊園地行って、あたし達ふたりで、この番組のキャラクターショーに出演することになったんだよ」
ひかり「え、本当に!?なぞなぞ解けるかな~」
ゆとり「なんでそこでなぞなぞ?・・・な、なぞだ」
ひかり&ゆとり「ふたりはプリキュア ミルキーウェイ。第16話「キャラクターショー」」
ひかり「ゆとりさん、あの売店の女の子、なんでわたしがデラタコのお手伝いしてるってわかったんだろう?な、なぞよね」
ゆとり「それは全然なぞではありませ~ん。ひかりの顔には『たこ焼き娘』って書いてあるのですー」
ひかり「あれっ?ひかるちゃんにペンでいたずら書きされたの、洗い落としたはずなのに・・・」
ゆとり「えっ!?ホントに顔に描いてあったんだ。あなたたち姉弟っていったい・・・な、なぞは深まるばかりですなあ」
ひかり「あ、あと、なぞといえば、シスター・シーズンってなあに?」
ゆとり「コ、コホン!」