・ 目次 / 第14話「喧嘩」 (前のページ/次のページ) ・
ナラクーダ。幽霊船ナラクーダ号甲板上。
リバーサスが洋上を見晴るかしている。纏っているマントが、風に揺れる。
その背後に、コツコツと足音を立てて、ムージョが現れる(ムージョは堅いブーツを履いている)。
ムージョ「リバーサスさま、お呼びでございますか?」
リバーサス、振り向かず、無表情で、
リバーサス「ムージョ、シスター・シーズンを炙り出したというのは本当か?」
ムージョ「はい。あのふたり組のうちのひとりがシスター・シーズンのものと思われる力を発揮し、ときびとの庭の海に、時の流れを回復させました」
前回(第13話)、キュアラピッドが、海中で旋回して渦巻きを発生させ、ルミナスを引っ張りあげながら渦巻きの中心から飛び出し、そのままムージョを回転技で跳ね飛ばしたシーンが回想される。
防波堤。
灯台の上に立って、頬に手を宛がいながら海の様子を見ていたムージョ、ハッとなる。
ムージョ「むっ!?」
L&Rが沈んだ辺りから、大きな渦潮が起きたのである。
そして、その渦潮は、ちょうどそのそばの海面に突き出ていた海坊主ムカツキーを一気に呑み込んで行く。
ムカツキー「ムッ!ムカツキイイイイ〜!?」
ムージョ「なんとっ!」
ムカツキー「ムカツ・・・〜!!(ゴボゴボゴボゴボ)」
ムカツキーは一瞬にして、海の藻屑と消えてしまったのであった。
その直後、渦潮の中心から、ラピッドがルミナスを手で引っ張りながら、飛び出して来た。
宙で、ルミナスの手をパッと離すと、ラピッド、ギュルルル!とまた物凄い独楽のような旋回をして、灯台上のムージョのほうへ突き進み、バチッと弾き飛ばした。
ムージョ「ウアアアア!」
リバーサス「ふむ。やはりそうか・・・」
ムージョ、辺りをキョロキョロして、
ムージョ「リバーサスさま、キャプテン・ニヒルーザは?」
リバーサス「うむ、シスター・シーズンがときびとの庭の海の時間を回復させたときの余波なのか、このナラクーダの海にも少し時の変化が萌(きざ)したらしい」
ムージョ「といいますれば?」
リバーサス「船室に浸水があった。つまり、この船が腐り始めたということだ」
ムージョ、少し驚きの目で(アイパッチで覆われていない片目のほう)、
ムージョ「なんと・・・」
リバーサス「キャプテン・ニヒルーザは、今、その船室で修繕作業に専念中なのだ」
その船室。
ニヒルーザが、トンカチで釘を木の板の上で叩いて、穴を塞いでいるシーン。
トンカチを揮うニヒルーザの顔アップ。
ニヒルーザ「ぐぬうッ!シスター・シーズンめ・・・!」
悔しそうな顔をしたニヒルーザ、作業に手間取り、油汗を垂らしている。
また画面甲板に戻る。
リバーサスは、相変わらず、ムージョに背を向け、海を見晴るかしている。
リバーサス「この船はもとからボロボロ。こんな船でも浮かび続けていられたのは、ナラクーダに時間がなく、これ以上この船が朽ち果てずにすんでいたためなのだ」
ムージョ、やや心配げに、
ムージョ「すると、このままではこの船は沈没してしまいますね」
リバーサスは、ムージョの不安を察知すると、一瞬押し黙ったが、ようやく口を開いた。
リバーサス「・・・そうだ。ナラクーダには陸地がない。この船が沈めば我らも船もろとも・・・」
ムージョの声に、不安と焦りが滲む。
ムージョ「そうなる前に、なんとしてもシスター・シーズンの力を封じ込めなくては・・・」
リバーサスは、声だけは落ち着いているが、ムージョに同意。
リバーサス「そうだ。季節の島があと9つ残っているからといって、うかうかしてはいられんぞ」
ムージョ、覚悟の決めたように、今度は落ち着き払ったような声になり、スッと腰を下ろし、片膝を甲板につけると、
ムージョ「わかりました。では今度こそこのわたくしめが、シスター・シーズンの息の根を止めて参りましょう」
リバーサスは、無言のまま、ピクリとも動かない。
ムージョは、そう述べると、リバーサスの返答を待たず、クルッとリバーサスに背を向けて、進もうとする。
そのとき、船の甲板がガタッと傾く。
リバーサス「むっ!」
ムージョ「おお!?」
リバーサス、甲板の下を見る。すると、そこからまた浸水している模様。
リバーサス、下の船員ムカツキーどもに声をかける。
リバーサス「おい、早く穴を塞いで、水を外に汲み出すんだ!」
船員ムカツキーA「わかりましたムカツキ〜!」
船員ムカツキーB「急げムカツキー!」
リバーサスの背後のムージョは、ナラクーダ号の危機を目の当たりにして唖然となってその場に立ち尽くしていたが、やがてキッと決然たる表情に変わり、スッと消えるように、素早く飛んで、ときびとの庭へと向かって行ったのだった。