・ 目次 / 第12話「ほのかの誕生日」・4 (前のページ/次のページ) ・
ムージョ「誕生日なんて、暦(こよみ)の上の偶然の日付じゃございませんこと?」
ひかり「え?」
ムージョ「本当の誕生日なんて、生まれたその日一日だけ。ですけれども暦が繰り返されるものだから、あなた方、毎年毎年、過去に終わったはずのイベントを蒸し返すように思い出して・・・」
ここでムージョ、苦々しい表情に変わり、吐き捨てるように、
ムージョ「未練がましいったらありゃしませんわよ!」
ひかり、誕生日のことには疎いので、身構えながら、なぎさのほうへ向いて、
ひかり「なぎささん、そうなんですか?」
なぎさ、ちょっと気が抜けたように、
なぎさ「なっ・・・まあ、そういう理屈も確かにあるかな」(苦笑い)
ひかり「誕生日って、生まれたときに一回きり・・・そんなあ」
ひかり、落ち込む。
しかしそのとき、そばのゆとりが、
ゆとり「いいや、違う!」
と息巻いた!
ひかり、ゆとりのほうへはっと振り向く。
ひかり「えっ!」
ゆとり「季節は、時は! 実際に毎年繰り返されてるわよ。だから、春に生まれたひとは、毎年春が来たらなんだか自分の季節みたいで嬉しいし、夏に生まれたひとは、どんなに暑くても、そのときが待ち遠しかったりするでしょ!」
なぎさ、お調子者の笑顔で、
なぎさ「おお、いいね、その切り替えし!」
だが、ムージョはまだ余裕をたっぷりと残している。
ムージョ「ふん。時の流れに身を任せてしまったばっかりに、一生そうやって同じことの繰り返し。わたくしなら、うんざりですわ。本当はあなた方も、いい加減誕生日などなくなればいいと心のどこかで思っていらっしゃるんじゃないかしら?」
ゆとり「くっ。なんてことを・・・!」
ムージョ、急に片手を天に掲げ、
ムージョ「ムカツキー!! こちらへいらっしゃ~い!」
すると、空間がひび割れて出現した旋風、たこ焼き用鉄板に取り憑いて行く。
ひかり「ああ、鉄板が!」
3人の前で、鉄板がムクムクと膨張し始めた。それをなすすべなく見続ける3人。
なぎひかゆと「ああ・・・」
ついに巨大化したムカツキーが立ち現れる。
ムカツキー「ムカツキー!!」
その姿は、胴体が30個の穴から成るたこ焼き用鉄板から出来ており、しかも、そのそれぞれの穴に黄土色のたこ焼き風の弾が仕掛けられ、さらにそれぞれの弾の上に4月の日付が一日ごとに書き込まれ、カレンダー状になっている。複雑怪奇な多義的ムカツキーである。
ムカツキー「ムカツキー!!」
セインフ「ひかり~、変身するセイン!」
スワンフ「ゆとりもなのスワ~ン!」
ひかりとゆとり、互いに頷き合い、プリキュアに変身の構え。
ひかり&ゆとり「ツーショット・ハーモニック・レイディエーションンン!!」
* お互いのコミューンをお互いに向けて或るボタンを押す(ツーショット)。
すると、互いのコミューンから光線が発射され(レイディエーション)、ひかりの光線はゆとりに光の輝きのパワーを、ゆとりの光線はひかりに光の速さのパワーを互いに送り、それぞれに不足するパワー素を補い合い、「ふたりはプリキュア」へと、互いを互いに高め合う(ハーモニック)のである。
ルミナス、シャイニールミナス風に両手を広げ、髪の毛をたなびかせながら、
キュアルミナス「とわに煌めく光輝の使者・キュアルミナスッ!」
ラピッド、ホワイトのバンダナをたなびかせ、胸の前に両腕を交叉させ、両こぶしグーで、ボクシングのガードのようなポーズを取り、
キュアラピッド「とわに駆け巡る光速の使者・キュアラピッドお!」
ふたりともそれぞれそのままのポーズで、並んで映し出され(ルミナスが右、ラピッドが左)、
ルミナス&ラピッド「ふたりはプリキュア!」
さらにラピッド、一回転して、胸のところでグッとしていた腕を突き出し、ビンと指差す(夏京の贋プリキュアの指の突き出し方参照)
ラピッド「時の流れを捻じ曲げるあなたッ!」
ルミナスは、シャイニールミナスのように広げていた両の手を、交叉させるように胸に柔らかく宛がい、うつむき加減になって両目を一瞬聖母のように閉じたあと、カッと見開いて正面を向き直り、毅然とした落ち着きのある、しかし優しい声音で、
ルミナス「素直な心にお戻りなさい!」
プリキュアのふたり、グッとムカツキーと対峙。
その背後でムカツキーを見上げていたなぎさ、呆気に取られ、
なぎさ「なんで4月のカレンダーなの・・・?」
ほどなくなぎさ、ハッと或ることに気づく。4月4日用の位置の穴に入ったたこ焼き弾の上だけ、なぜか日付が書き込まれていないのである。
なぎさ「あっ!ほのかの誕生日の4月4日のところだけ、「4」の数字がないいいっ!」
身構えるプリキュアのふたりも気づく。
ラピッド「あっ、ホントだ!」
ルミナス「でも・・・いったいどうして・・・」
ムージョ、にやつき、
ムージョ「ほほほほ。よくお気づきになりましたわね。あなた方のお友だちの誕生日はわたくしが消して差し上げましたのよ」
L&R&なぎさ「ええええ~!!?」(三者揃って驚天動地の驚きよう)
ムージョ「これで毎年、4月3日の次は4月5日に飛びますから、もうお友だちの誕生日プレゼントのことで、ない頭を悩ますこともなくなりましてよ。おっほほほほ」
なぎさ「ない頭~!?」
なぎさ、おとぼけと怒りの混ざったような表情で、とりあえず怒りを表明。
ルミナスは、悲しそうに目を潤ませ
ルミナス「ほのかさんのお誕生日がもうなくなるなんて・・・そ、そんなあ・・・」
一方ラピッドはすごい剣幕でムカツキーを指差し、
ラピッド「ひどい! 早く元に戻してよ!」
ムージョ「あ~ら、感謝してくださるかと思ったのに、とんだ恩知らずな方々ですわね。じゃあ、これでもお使いになったら?」
ムージョ、そう言って、懐からマジックを取り出し、コロコロとプリキュアの前へ放り投げる。
ラピッド「ンッ!」
ラピッド、ムージョにフェイントですぐマジックを引っ込められぬよう、ダダダダッと目にも留まらぬ俊足を飛ばして駆けつけ、それをガッと拾うと、即刻ビュィッとUターンし、バアアアッとムカツキーに飛び掛って行く。
ラピッド「やああああああ!」
ムージョ、まだニヤつきながらラピッドの行動を見上げ、
ムージョ「ふん。単純ですわね」
と呟く。
ムカツキーは、飛び掛って来るラピッドに対して、たこ焼き弾をボンボンと発射。
ラピッド「やあッ! てやああ!」
ラピッド、ジグザグによけつつ、よけきれないたこ焼き弾には足で玉乗りするなどして、どんどんムカツキーに近づいて行く。
ラピッド「ほいっ、ほいっ!」(玉乗りを軽快にこなすときの掛け声。もちろん、片手にはしっかりとマジックを握っている)
しかしラピッド、あともう少しのところで、ついに一つのたこ焼き弾にバチッと弾き飛ばされる。
ラピッド「ウン! ウウウぅ!」
下から見上げるルミナス、ハラハラ顔で、
ルミナス「ラピッド!」
ラピッドは、そのたこ焼き弾にしがみつく。
ラピッド「gうう!」
そのたこ焼きは、そのまま、戦況を見つめるなぎさのほうへ飛んで来る。
なぎさ「おっきいたこ焼き・・・」
なぎさ、しばし、うっとり見惚れていたが、
なぎさ「じゃなくって!アアアアア!」
間一髪で転がってよける。たこ焼き弾は地面で爆破し、
ラピッドは、地面に叩きつけられる。
ラピッド「ウアアアっ!」
なぎさ、ラピッドのそばに駆け寄り、
なぎさ「ラピッド、だいじょうぶ!?」
ラピッド、なんとか立ち上がり、搾り出すような声で、悲壮感を滲ませ、
ラピッド「ええ・・・なぎささん! わたしたちがっ、なんとしてもほのかさんの誕生日をっ、取り返してみせますからねっ!」
なぎさ、感激して、
なぎさ「ラピッドオオ~」
一方、ルミナスは、独り置き去りにされた形で、ムカツキーと対峙させられると、ムカツキーのたこ焼き弾を、ドンドンドーンと集中砲火される。
だがルミナスは、華麗な身のこなしで、それらをよける。
ルミナス「やあ! はっ! たっ!」
しかし、最後の一弾は、その前の弾をよけた反動でクルッと背を向けたルミナスを襲って来ており、よけきれそうもない。
そのときルミナス、振り向きざま、とっさにゴロンと仰向けに転ぶように後方回転し、
ルミナス「はあああっ!」
サッカーのキックさながらに、弾を蹴り返した。
その弾は、凄い速さでそのままムカツキーへとリターンし、ムカツキー、これをまともに食い、ドスンと尻餅を搗く。
ムカツキー「ムッ! ムカツキイイ~」
なぎさ、片手をギュッと握って、
なぎさ「やった!」
横にいたラピッドが、
ラピッド「よし、今だあ!」
そういうと、今度こそ俊足を飛ばして一気に駆け込み、まだ地面にへたり込んでいるムカツキーに、「やああー!」と飛び掛ると、4月4日の位置のたこ焼き弾に張り付くようにしがみつき、ムージョから差し出されたマジックで、手早くキュキュッと「4」の字を書き入れて行った。
ラピッド、まだたこ焼き弾に張り付いたまま、自分で書いた数字を確認しながら、
ラピッド「これでいいよね!」
ムージョ、無表情で、ラピッドの行動を見ている。
ラピッドは、確認がすむと、たこ焼き弾を避けるため、素早く反転してムカツキーのもとを離れ、ルミナスの横へスタッと降り立つ。
ムージョ、そのとき不敵に笑む。
ムージョ「ふふふ」
すると、ラピッドがせっかく書いた「4」の字が、スウッと消えて行ったではないか。
ラピッド「あ、なんで!?」