・ 目次 / 第12話「ほのかの誕生日」 (前のページ/次のページ) ・
第2幕の続き。
時間が少し飛んで、同じゆとりの部屋にて、ゆとりとさなえさんが対座しているシチュエーションから。
まず、抹茶立てのシーンが詳しく描かれる。
畳の上に葛餅が置かれ、その横で、抹茶を立てるさなえさんの手先のみ映る。
茶碗に湯をコポコポと注ぎ、茶筅(せん)でシャカシャカッと混ぜたあと、その湯をチョロチョロと捨て、茶巾(きん)で内側を拭く。
次に、茶杓(しゃく)で抹茶の粉末を少量掬(すく)って茶碗に入れ、またお湯をコポコポと注いだあと、再び茶筅で混ぜ出す。
ここで、その前に正座させられたゆとりが映る。慣れぬ正座をさせられ、一応両手を膝上に乗せているが、かなりぎこちなく、首を竦めるような格好で、両肩が突っ張っている。
足も痺れ出して、不快げな顔。
ゆとり「ん、ぃッ・・・」
ゆとり、いよいよ顔をしかめ、心の中で、
ゆとり<ヒイッ。ビリビリ来ちゃう。もうダメッ〜!>
と、その不快が極まったころ、さなえさんが、涼しい顔で、
さなえ「さっ、出来ましたよ。召し上がれ」
ゆとり、やっと出来た〜といった感じで、ほっと一息。
ゆとり「はあああ〜」
そして、茶碗に手を伸ばそうとしたが、その瞬間、畳の上にドタッと顛倒。
さなえさん、ちょっと驚いて、
さなえ「ゆとりさん!だいじょうぶですか・・!?」
ゆとり、倒れたまま苦笑しながら、
ゆとり「だ、だいじょうぶ。ちょと、足がしびれただけ」
そう言って、しびれた足を擦(さす)ろうとして触ると、
ゆとり「ひえッ!来るゥ〜!」
また顔をしかめたゆとり。
さなえさん、笑う。
さなえ「まあ。ほほほ」
続き。
ゆとり、やっと足のしびれも収まり、再度片手を伸ばし、茶碗をつかみ上げ、
ゆとり「いただきまーす」(今度はリラックスの笑顔で)
しかしさなえさん、すかさずゆとりを制止する。
さなえ「あらあら、ゆとりさん、お茶はこうして飲むんですよ」
そう言って、両手のひらで添えるポーズをしてみせる。
ゆとり「えー?こうですか?」
ゆとり、見よう見まねで持ち替えてみる。
さなえさん、笑んで、
さなえ「そうそう」
ゆとり、真っ当な飲み方で、茶をズズッと一飲みした後、
ゆとり「おいしい・・・でも、さなえおばあちゃん、日本人ていろいろ面倒なことを考え出しますね。ただお茶を飲むだけでも、こんなにいろんなルールがあって」
さなえ「確かにそうですね」
ゆとり、茶碗を両手で支えながら、机の上のほのかの写真をじっと見る。
数秒後、さなえさんのほうへ向き直って、
ゆとり「さなえおばあちゃんは、ほのかさんにも、食事とかのいろんな作法をこうやって教えてあげたんですか?」
さなえ「そうですねえ・・・主に小学生のころですけど」
ゆとり「小学生のころに!?」
ゆとり、ちょっと驚いて、
その後、しみじみと、
ゆとり「あ〜あ、ほのかさん、今頃フランスで、日本の窮屈な食習慣なんかすっかり忘れて、清々してるんじゃないかなあ」
さなえ「それはどうでしょうね。三つ子の魂百までって言いますしね」
さなえさん、そう答えると、少し間を置き、はっとしたような仕草を見せて語を継ぐ。
さなえ「ああ・・・それはそうと、ほのかから連絡が来ましたよ」
ゆとり「え?」
第12話「ほのかの誕生日」!(ひかゆとの元気な声で)
デラタコカフェ。
カフェテラスにて。
なぎさが客として座り、たこ焼きを頬張っている。
その前に、アカネさんとひかりが立ち並んで、みんな笑顔で楽しく日常会話中。
笑い声が聞こえる。
ひかり「本当ですか、なぎささん」
アカネ「またひかりってば、そんな冗談本気にしちゃって」
なぎさ「ホント、ひかりは騙されやすいよね」
3人「ははははは」
(騙されたひかりも一緒になって笑っているところがポイント)
そこへ不意にゆとりが現れたのである。
ゆとり「やあっ!」
ゆとり、片手を挙げて挨拶。
ひかり、非常に意外な顔で、
ひかり「あ・・・」
ゆとり「ひかり、おっす!」
ひかり「こ、こんにちは。今日はどうしたんですか・・・」
ひかり、ゆとりが一人でデラタコカフェに来たことに対して、非常に違和感を覚えている模様。
なぎさは気にせず、笑顔で、
なぎさ「ああ、ゆとりじゃん」
ゆとり、偶然なぎさと会って、ちょっと驚くように、
ゆとり「あ、なぎささんも来てたんだ。ちょうどよかったー」
なぎさ「えっ!なに・・・?」
なぎさ、たこ焼きを突き刺した楊枝を指でつまんだまま、ゆとりの言葉が気になるといった表情に変わる。
みんな(アカなぎひか)、ゆとりの話を聞いている。
場面は、ゆとりの説明の途中から。
ゆとり「・・・てことで、アタシがさなえおばあちゃんに頼んで、パリのほのかさんに電話してもらって、それとなく、今、欲しいものは?って聞いてもらったら・・・」
なぎさ「ほのかは、『今すぐはっきりこれだ!とは言えないけど、日本にしかない懐かしいもの』って答えたんだ?」
ゆとり「そう。それから、こうも言ってたって。『なぎさと一緒に味わった想い出が一番懐かしいから、もしなぎさ自身が日本を離れたら懐かしく感じるはずものが、わたしにとっても懐かしいものだ』って」
なぎさ「アタシと一緒に味わった・・・想い出・・・?」
ゆとり「はい。アタシは、なぎささんとほのかさんの付き合いを全然知らないから、何も思い浮かばないけど、ひかりやアカネさんならわかるかもって思って、それでここに来てみたんですよ」
黙ってゆとりの話を聞くひかりの顔が映る。これはゆとり視線。
ひかり「・・・hu?」
その後ゆとり、なぎさのほうへ向き直って続ける。
ゆとり「そしたら、偶然なぎささん本人がいたから超ラッキーって思ったんですけど・・・何か・・・思い当たるものってないですか?」
ゆとりは、最後には、3人の顔をそれぞれ見渡しながら尋ねた。
アカネさん、自分にも向けられた質問として真面目に考える。
アカネ「なぎさとほのかが一緒に味わった思い出ねえ・・・」
なぎさ「あたしが外国に行ったら懐かしく感じるはずのもの・・・」
アカネ「一緒に味わった・・・一緒に味わった・・・」
そのとき、アカネさんがなぎさのほうへに目をやると、なぎさも考え込みながら、たこ焼きをパクっと頬張った。
なぎさ「(もぐもぐ)懐かひい・・・味・・・」
アカネさん、なぎさを見ているうち、何かあることに思い当たったらしく、
アカネ「んっ?」
一方なぎさ自身も、
なぎさ「んっ?」
ハッと或ることに思いを致したのであった。