・ 目次 / 第11話「盗まれた想い出」 (前のページ/次のページ) ・
変身バンク。
なぎさに変身を促されたひかゆと、それぞれのコミューンを、互いに向け合い、ボタンを押し合う。
距離は離れているが、互いに見えるくらいの位置なら、交感し合うのに支障はない・・・らしい。
ひかり&ゆとり「ツーショット・ハーモニック・レイディエーション!!」
* お互いのコミューンをお互いに向けて或るボタンを押す(ツーショット)。
すると、互いのコミューンから光線が発射され(レイディエーション)、ひかりの光線はゆとりに光の輝きのパワーを、ゆとりの光線はひかりに光の速さのパワーを互いに送り合い、それぞれに不足するパワー素を補い合い、「ふたりはプリキュア」へと、互いを互いに高め合う(ハーモニック)のである。
ルミナス、シャイニールミナス風に両手を広げ、髪の毛をたなびかせながら(両鬢の三つ編みは前方へたなびく)
キュアルミナス「とわに煌めく光輝の使者・キュアルミナス」
ラピッド、ホワイトのバンダナをたなびかせ、胸の前に両腕を交叉させ、両こぶしグーで、ボクシングのガードのようなポーズを取り、
キュアラピッド「とわに駆け巡る光速の使者・キュアラピッド」
ルミナス&ラピッド「ふたりはプリキュア!」
さらにラピッド、一回転して、胸のところでグッとしてた腕を突き出し、ビンと指差す(夏京の贋プリキュアの指差さし方参照)
ラピッド「時の流れを捻じ曲げるあなた」
ルミナスは、シャイニールミナスのように広げていた両の手を、交叉させるように胸に柔らかく宛がい、俯き加減に目を瞑ったかと思うと、カッと碧眼の目を見開き、
ルミナス「素直な心にお戻りなさい」
戦闘開始。
ムージョ、手刀でふたりを襲う。
ムージョ「はあっ! はっ!」
ルミナスは、両手を下げたまま、身を躱すだけでこれをよける。ラピッドから光速のパワーを分け与えられたルミナスは、もはやさきほどのひかりとは別人のような動きを見せている。
ルミナス「はっ、はあッ!」
ムージョ「むん! むうッ!」
ムージョの手刀が、ヒューヒューと空を切り、ルミナスの髪が揺れる。
ルミナスには余裕さえ感じられる。
一方ラピッドは、ムージョの手刀を肘でガードし、ガチンガチンと刀と刀の鍔迫り合いのようになる。肘と肘がクロスに衝突し、両者一歩も引かず、歯を食いしばり、必死の形相。
ラピッド「クウウッ!」
ムージョ「むッ!」
やがて、ルミナスは、ムージョが脳天カチ割りのように振り下ろして来た手刀を、真剣白刃取りのように、両手で華麗にパシッと受け止める。
ルミナス「はいいっ!」
ムージョ「んん・・・!」
ムージョ、コシャクな、といった風に顔を歪め、
ムージョ「ふんんっ!!」
と、ルミナスに鉄槌を食わせるように、手刀をさらに食い込ませ、ルミナスの白刃取りを突破しようとするが、ルミナスも踏ん張る。
ルミナス「ン・ン・ンッ!」
遠方で戦いを見ているなぎさの手にも力が入る。なぎさ、手をギュッと握り締めて、
なぎさ「ルミナス! がんばって!!」
なぎさの後援に勇気百倍のルミナスは、ついに、
ルミナス「ンン! やあああッ!」
そのまま両手でムージョの手首をひねって、宙へ投げ飛ばした。
なぎさ、両手をグーにして胸元に当て、
なぎさ「やったッ!」
向こうへ飛ばされたムージョは、かろうじて転ばずに着地するが、まだ片足しかついていない<おっとっと>の上体(状態)。
ムージョ「これはしたり・・・」
そこへ、ラピッドが全力疾走して駆け込んで来た。
ラピッド「とりゃああああ!!」
ムージョ「むッ!? なんですって!?」
ムージョが、ラピッドの突進に気づいたときには、もうラピッドは目の前まで来ていた。
そしてラピッド、胸元で両手の平を結んだまま一回転すると、その勢いを駆って、ムージョの胸にグムと肘鉄砲を喰らわす。
ラピッド「ヤアッ!」
ムージョ「むオオオオオ!」
ムージョ、ズザーッと背中から地面を滑って行く。
なぎさ「ラピッド、ナイス!」
ムージョは土にまみれながら立ち上がり、
ムージョ「ほほほ・・・お強いお嬢さんたちですこと」
と零して、不敵にフッと笑むと、矢庭に両手を天に向けて広げて叫んだのだった。
ムージョ「ムカツキー、おいでなさいッ!」
ムージョは、ついにムカツキーを召喚したのである。
すると、空間の或る部分がバリンと割れ、不気味な旋回が起こると、写真アルバムタイプのムカツキーが出現し、プリキュアの前に立ち塞がる。
ムカツキー「ムカツキー!!」
ラピッド、ムカツキーの姿を目の当たりにすると、ちょっと変顔になって、ルミナスに、
ラピッド「ねえ・・・これって、何ムカツキー?」
ルミナスは、真顔で、
ルミナス「アルバム、みたいですね・・・」
ムカツキーの胴体に、『おもいであるばむ』と、小学生が書いたような平仮名文字列が浮かんでいるため、それは簡単にわかることだった。
ムージョ、少し離れたところから、不敵に笑って、
ムージョ「おほほほほっ。そのとおりですわ。この中に、あの!お嬢さんの失われた思い出が挿み込まれていますのよ」
ムージョは、「あの!」と言ったとき、向こうのなぎさのほうをザシッと指差した。
なぎさ「えええ!?」
ラピッド「うそお!?」
ルミナス「そ、それじゃあ手を出せない・・」
なぎさ、怒りながら、
なぎさ「ちょっとお、アタシの大切な想い出を、勝手にそんなセンスゼロのアルバムに入れないでよお!」
センスゼロの滑稽なアルバムムカツキーのアップ。
ムカツキー「ムカツキー!!」
なぜなぎさがセンスゼロと言ったかというと、『おもいであるばむ』という小学生のような文字もさることながら、さらにその下に、やはり小学生が描いたような女の子の下手なイラストが写っていたからである。しかし、その絵は、なんとなく、なぎさが描く絵に似ていなくもなかったのだが・・・
ルミナスは内心、
ルミナス<あ、あの絵は、なぎささんの・・・?>
だが、ルミナスがそのことを言わずにいると、ラピッドが怒って、
ラピッド「なぎささんが、あんな下手っぴいな絵を描くはずがなーい! 早く想い出を持ち主に返しなさーい!」
なぎさ、ちょっと変顔になって、
なぎさ「ラピッド、ありがと・・・はは」
ムカツキー「ムカツキー!!」
しかし、なぎさ、唸るムカツキーを見ると、再び怒りの表情で、
なぎさ「そうよ! アタシの想い出のアルバムはもっとプリティーでキュアキュアなのよおお!」
と、そのときなぎさの頭に閃光がよぎるように、或る記憶が蘇る。
なぎさ「あっ・・・!」
ここから、なぎさの脳裡に徐々に想い出が蘇って行くのである。
<今いる同じ河川敷にて。
なぎさとほのかが並んで座り、さらにメップル・ミップルもいる。なぎほのは、MH時、春用の普段着である。
ほのか、寂しそうに、
ほのか「そうなんだ・・・やっぱり帰っちゃうんだ・・・」
ミップル「ほのか、ずっと一緒にいたいけど、わたしたちがいないと光の園は守れないミポ」
なぎさも、シュンと俯いて、
なぎさ「そうだよね・・」
メップル「クイーンは、もうしばらくこっちにいてもいいって言ってくれたけど、僕は選ばれし勇者、ミップルは希望の姫君メポ。光の園を守って行かなくちゃならないメポ」
なぎさ「ポルンとルルンはどうするんだろ・・・」
ミップルが語る。
ミップル「わたしたちと一緒に帰るつもりミポ」
ほのか「そう・・・でもひかりさんは、それでいいのかしら」
ミップル「もちろん、お別れしたくないミポ。でも、特にルルンは、ひかりがもうクイーンになれない代わりに、光の園でクイーンの跡を継ぐのが務めミポ」
ほのか、ハッと合点したように、
ほのか「あ・・・」
今度はメップルが語を継ぐ。
メップル「でも、ルルンはポルンと一緒じゃないといやだって駄々を捏ねるから、ひかりが、ポルンも一緒に帰すことに決めたメポ」
なぎさ、寂しい表情の中にも、ちょっと感心したような驚きの反応を浮かべ、
なぎさ「へええ、ひかりは、こういうとき強いね・・・」
そのときほのかが、ガサッと土手の上に急に立ち上がった。
ほのか「わたしも決めたわ!」
なぎさ、ほのかを見上げ、
なぎさ「ほのかぁ・・・?」
ほのか「わたし、両親のもとへ行くわ」
なぎさ「えっ!」
ほのか「みんな前に進まなきゃいけないのよ。メップルもミップルもポルンも、そしてあの幼いルルンでさえ、みんなの未来を守るために大きな決断をしたのよ。わたしだけが、いつまでも立ち止まってちゃいけないんだわ」
ほのか、キリッとした眉毛で、河原の向こうを見晴るかす。空を見上げているようでもある。
なぎさ「あ・・・」
なぎさも、一瞬目を潤ませたあと、フッと笑顔になり、スクッと立ち上がる。
そして、ほのかに、
なぎさ「ほのかっ、行っといで」
ほのか「え・・・」
ほのかも、なぎさを見て、しばらく無表情だったが、やがて笑みを浮かべ、
ほのか「うんっ!」