・ 目次 / 第9話「百人一首カルタ取材」 (前のページ/次のページ) ・
リバーサス、ひかりとゆとりが最後に取りそこなった取り札をなぜか手にしていて、それを読み出す。
リバーサス「瀬を早み岩にせかるる滝川のわれてもすゑにあはむとぞおもふ」(ボソボソと棒読み)
この歌の聞いて、いの一番にラピッドが反応。
ラピッド「ああッ、それはわたしの歌だ!」
ルミナスは、キョトン顔で、ラピッドを視る。
ルミナス「え? ラピッドの歌?」
ラピッド、ルミナスに疑問を投げかけられ、こんな場面なのに、和んだ表情で、
ラピッド「ほら、わたしの名字、早瀬じゃん。それで瀬を早みって」
ルミナス「ああ、そうか。詩人なんですね」
ラピッドのシンプルなウィットに、ルミナスまでが思わず和んでしまって、にっこり。
ラピッド「いやあ」
と頭を掻いて照れるラピッド。
ふたりは一瞬目の前にリバーサスがいることをすっかり忘れて、和み合っているようだった。
蚊帳の外に置かれた格好のリバーサスは、内心意地になりながらも、表向きは、まだ切り札を握っているという余裕の表情を浮かべて、こう切り返すのだった。
リバーサス「ふん、ところが、お前らの好きなその歌の意味は、お前らふたりが、川に流されて岩にぶつかり、そのまま砕け散った後、虚無の世界・ナラクーダでまた会いましょうというものだろう。だから、望みどおりにしてやろうと思ったまでだ」
ラピッド、ギョッとした表情になって、ルミナスに、
ラピッド「ええ!? ねえ、ルミナス、あの歌そんな意味だったっけ?」
ルミナスは多少怒気を含んだ真顔で、リバーサスに、
ルミナス「違います。その歌はそんな意味じゃありません!」
リバーサス「ほう?」
ルミナス「時の流れはいつまでも続く。だから一度別れても、気持ちさえ通じ合っていれば、いつかまた会えるという意味です」
ラピッド、ほっと安堵のため息をつくと、リバーサスに対して、
ラピッド「ふう・・・まったくもう、昔の人の美意識を勝手に捻じ曲げないでよ!」
リバーサス、ニヒルに笑み、
リバーサス「ふん、また過去の遺物にこだわるか。こんなものに美などない。美とは、一切時の流れなき永遠の無・ナラクーダの世界にのみ存在する。たああ!」
こうしてリバーサスが話を打ち切り、プリキュアのふたりに飛び掛って行くことで、ようやく格闘が始まった。
リバーサスは、川の流れに逆らってその水面をバシャバシャッと素早く走って来る。
渓流の上で一進一退の攻防。
リバーサス、川面を走りながら、衝撃波を放つ。
リバーサス「はあっ!」
ルミナスは、巨岩の上でリバーサスの衝撃波をよけると、そのまま岩から飛び降りるが、渓流上で前転宙返りをする中で、水面を滑るように蹴る。
ルミナス「はい!」
すると、その水しぶきが、バシャッとリバーサスの顔面を襲い、リバーサス、顔をそむける。
リバーサス「むう」
その隙に、ラピッド、巨岩から一回転スピンして、リバーサスに向けてエルボー。
ラピッド「え〜い!」
リバーサスの胸にズンとヒット。
リバーサス「グアアア!」
リバーサス、後ろへ吹っ飛ばされ、岩石に直撃。
そのあいだに、ルミナスとラピッドは、わずかに出来た中州に着地。
一方リバーサス、すぐに立ち上がるも、下半身は渓流に浸かり、流されないよう岩にしがみつきながら、
リバーサス「おのれ〜」
フラフラになって立ち上がるリバーサスを見て、ルミナスとラピッド、互いに頷き合い、手を繋ぐ。
ルミナス&ラピッド「うん」
必殺技・プリキュア・アストラル・トルネードバンク
ルミナス「光る時、かける(×)」
ラピッド「走る時、イコール(=)」
ルミナス&ラピッド「プリキュア・アストラル・トルネードオオ!!」
超音波のような渦巻状の閃光がルミナス&ラピッドの全身から発せられ、原爆のようにゆっくりと広がって行く。
(トルネード解説:アストラル・トルネードは、時の流れの重みを原動力にしている。
時の流れに逆らうナラクーダの者たちには、最も効果的な斥力を持つ)
リバーサス、先ほどの巨岩を背に、これを食い止める。
リバーサス「時の流れなど押し返してくれる〜。うう、重圧が!」
下半身は急流の中にあるため、リバーサスは踏ん張りきれない。
リバーサス「くそっ! たあ」
リバーサス、宙に飛び立ち、そのまま撤退を余儀なくされる。
トルネードは、背後の岩にぶち当たり、一気に砕け散る。
戦いが終わると、無時間世界が消滅し、そのまま、ふたりは元の世界へ。
ちょうど、時刻も動き出し、奈緒父のカメラのフラッシュが光る中、ひかりとゆとりが、「われても・・・」の取り札に手を伸ばしているシーンに戻っている。
ひかりは静かに押さえ手でそれを取りに行く。一方ゆとりは、「ダアアアア!」と激しい掛け声とともに、払い手でそれをゲットしにかかる。
しかし、ひかりの手の伸びのほうが少しだけ進んでおり、このまま行けば、ゆとりは、札よりも、ひかりの手を払う格好になる。
そのときひかり、手を一瞬引っ込める。ゆとりもそれに気づく(スローモーション映像)。
ゆとり「あ・・・」
が、勢いは止められず、払い手をして札を床の間の方へ払い飛ばす。
「バチッ!」
すると、札は、床の間に置かれた菖蒲の花をかすめる。紫の花びらが一枚散る。
さらに、札は奥の掛け軸にバチッと当たって一瞬揺れる。掛け軸に描かれた二尾の鮎の魚体も揺れ、あたかも急流を泳いでいるように見えた(これらはすべてスローモーションで)。
ゆとりは、札の方向でなく、ひかりを見ていた。
ゆとり<ひかり・・・?>
一方ひかりは、ゆとりによって飛ばされた札が掛け軸に激しく当たって行くのを凝視していた。そして、それが床の間に落ちると、自らも視線を落として、物憂げに目を潤ませたのであった。
ひかり「・・・」