■ 第9話「百人一首カルタ取材」

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父「いや、そんなに難しいことじゃないと思うよ」
奈緒美羽ゆとり、奈緒の父のほうへ視線を向ける。
父「僕の雑誌の連載特集のメッセージも、実はそれと同じで、どんな遊びも昔から受け継がれて来たものだから、今の人はそのことを昔の人に感謝しなくちゃいけないってことなんだ」
茶和子&小波美「感謝?」
父、一番に反応した茶和子&小波美のほうへ向いて、
父「そう、感謝。でも、今、昔ながらの遊びは、時代の流れの中でどんどん失われつつあるよね?」
茶和子&小波美、こっくり頷く。
父「だから、僕たちがそれを守って、さらに未来の子供たちにも教えて行く、それがその遊びを伝えてくれた過去の人たちへの恩返しになるんじゃないかな」
茶和子&小波美、わかったといった表情で、
茶和子&小波美「なるほどー」
父、全員に向かって、
父「オーケー、じゃあ、インタビューの続きはまた後にして、さっそくみんなにカルタをしてもらおうか。迫真の写真をいっぱい撮りたいから、みんな本気出してね」
全員「はいっ!」

・第9幕

競技開始。
初め、ひかりの独擅場にならないよう、ひかりにハンデを持たせようということで、ひかりが読み手も兼ねて競技に参加するという変則ルールにしていた。ところが、意外にも、ゆとりが素早い反応でボンボン札を取って行く。
ひかり「やまがはに風のかけたるしがらみは〜ながれもあへぬ紅葉なりけり〜」
ひかり、下の句のころには、もう読み札から目を離して、宙で諳んじながら、床の取り札を探している。でも、さすがにひかりも、読みながらでは、すぐには取り札を発見できない。
結局、彼女は最後まで詠み終える。と、そのとたん、
ゆとり「はい」(押さえ手で)
ゆとりの脇に置かれた札がもう10枚ほど。
周囲はみな「はあ・・・」と驚いている。
奈緒が一番に口を開く。
奈緒「ゆとり、どっかで秘密特訓してたの?」
ゆとり、素直に笑んで、
ゆとり「へへ、実はそう」
ここで美羽、はっとして、
美羽「あっ!雪城先輩のおばあちゃんだ!おばあちゃんに特訓してもらったんでしょ?」
ひかりも合点が行ったといった表情で、
ひかり「ああ、そうか」
ゆとり「ううん。さなえおばあちゃんからは、古い百人一首を借りただけ。後は独りで覚えたんだー」
美羽、苦笑しながら、
美羽「ゆとりは負けず嫌いだからね」
ゆとり、否定するどころか、笑顔で素直に頷く。
ゆとり「そう。特に、ひかりには負けたくないもん」(ひかりのほうへ向かってニッコリ笑って)
ひかり「え・・・?」
ひかり、戸惑いの表情。
奈緒の父、意外な展開をむしろ喜ぶように、
父「でも困ったなあ。これじゃ早瀬さんが札を取ってる写真ばかりになっちゃうな。(ひかりのほうへ向き直って)九条さん、普通に参加してくれない?」
ひかり「え?」
ゆとり「ひかり、カモ〜ン」(手招きポーズ)
奈緒「そうだよ。そのほうが絶対面白いって」
小波美「じゃあ、私が読む役しまーす」
小波美、そう言うと、ささっと立ってひかりの前へ進み、
小波美「はい、九条先輩」
小波美、笑顔で手を差し伸べて、ひかりの持っている読み札を渡すように要求。
ひかり、しばらくどうすべきか迷うように、
ひかり「え、え?」

・第10幕

結局ひかり、参加。ちょうどゆとりと向き合う位置に座っている。
小波美、札を持ち、場を仕切れるのが嬉しいといった感じで、
小波美「じゃあ行きますねえ〜。いにしへのっ・ならのっ・・・」
でも、読み方は下手である。
ひかり「はい」(押さえ手で優しく。畳を叩く音も立たないほど)
ゆとりの、ちょっと意表を突かれたような表情が映る。
ゆとり「・・・」
ひかり「いにしへのならの都の八重桜(ここまで宙で諳んじて、それから、取った札に目を落として下の句を詠み上げる)、けふ九重ににほひぬるかな〜」
余韻を揺曳させるように朗詠し終えると、取り札の印刷部分を小波美の示してニッコリ。
ひかり「うふ」
小波美、留めた髪を揺らして驚きのリアクション。
小波美「スゴイ!当たりですう!」
奈緒の父も、カメラを手にしながら、
父「おお・・」
奈緒自身も呆気に取られた表情で、ポツリ、
奈緒「やっぱ違うわ」
他方、ゆとりは、一気に対抗意識むき出しの表情になり、取り札を睨むように凝視。
ゆとり「ンッ」
小波美「花さそふあらしの庭の雪・・・」
ひかり「は・・・」
ひかりが、はいと言って手を伸ばそうとしたときである。
ゆとりが、
ゆとり「そりゃ!」
ゆとり、払い手で、ひかりよりも先にその札を張り飛ばす。狭い茶室に、バシッと畳を叩いた音が響き渡った。
ゆとりが払い手を使ったのは、これが初めてである。ひかりは、ビビって手を少し引っ込めた。
美羽、ゆとりの乱暴な所作に驚いて、
美羽「わっ、なに、今の? あんな取り方ってアリ?」
父「うん、今のは『払い手』といって、全国レベルのカルタ競技会なんかでは、みんなその技を使ってるね」
奈緒は、楽しそうな笑顔を浮かべ、
奈緒「すごい! 本格的なんじゃん。(父のほうへ向いて)お父さん、よかったね。これで迫力映像が撮れるよ」
父も、満足そうに笑みを浮かべながら、
父「お父さんの仕事の心配はいいから、ほら、お前も早く一枚くらい取ってみろ」
奈緒「が〜ん。ショックな言い方するジャンジャン」
奈緒のおどけに一同、笑う。
一同「ははは」

・第11幕

もう札も少ない。読み手はいつの間にか茶和子に替わっている。茶和子の読み方は、たどたどしかった小波美と違って、しっかりしている。ただし、あまり感情がこもらず、坦々としている。
茶和子「瀬を早み・・・」
ゆとりとひかり、その時点で同時に反応。
ひかり「はいっ」
ゆとり「これは、わたしのおおお〜!!」
ひかりは、それまでと変らず、空気の振動も起こらないほど静かに手を差し出す。一方、ゆとりは、それまでにも増して激しく札を奪いにかかる。
奈緒の父、この決定的瞬間を撮影しようとカメラのシャッターを切った。
ところが、パシャという音とともにフラッシュが光ったところで、父の腕時計の秒針がピタッと止まり、ひかりとゆとりの手が札の上で重なりそうになった瞬間、札もろとも異次元世界へ連れて行かれ、その場から消えてしまう。

・第12幕

ひかりとゆとり、そのまま手を繋いで、奈落の底へ落ちて行く。
ひかり&ゆとり「キャアアアア!」

・第13幕

ふたりはバシャッと滝川に落ち込む。
ひかり&ゆとり「キャア!」
無力に溺れながら流されていると、前方に大きな岩が立ち塞がっていて、ふたりはぶつかりそうに。
ひかり&ゆとり「キャアアアア!」
そのとき、セインフとスワンフが同時に、
セインフ&スワンフ「変身セイン・スワン!!」
ひかゆとは、他に手段なく、セインフ・スワンフの指示に素直に従う。
ひかり&ゆとり「うんっ!」
ふたりは、急流の中で、懐からコミューンを出し、互いに向け合うと、
ひかり&ゆとり「ツーショット・ハーモニック・レイディエーション!!
すると、岩にぶつかる一歩前で、ふたりは光のバリアに包まれ、難を逃れつつ、変身を始めた。
変身が終わると、ふたりは3mくらいはありそうなその岩の上に飛び乗って、
ルミナス、シャイニールミナス風に両手を広げ、髪の毛をたなびかせながら、
キュアルミナス「とわに煌めく光輝の使者・キュアルミナスッ!
ラピッド、ホワイトのバンダナをたなびかせ、胸の前に両腕を交叉させ、両こぶしグーで、ボクシングのガードのようなポーズを取り、
キュアラピッド「とわに駆け巡る光速の使者・キュアラピッドお!
ふたりともそれぞれそのままのポーズで、並んで映し出され(ルミナスが右、ラピッドが左)、
ルミナス&ラピッド「ふたりはプリキュア!
さらにラピッド、一回転して、胸のところでグッとしていた腕を突き出し、ビンと指差す(夏京の贋プリキュアの指の突き出し方参照)
ラピッド「時の流れを捻じ曲げるあなたッ!
ルミナスは、シャイニールミナスのように広げていた両の手を、交叉させるように胸に柔らかく宛がい、うつむき加減になって両目を一瞬聖母のように閉じたあと、碧眼の瞳をカッと見開いて正面に向き直り、毅然とした落ち着きのある、しかし優しい声音で、
ルミナス「素直な心にお戻りなさい!
そこへ、待っていたようにリバーサス登場。
リバーサス、ニヒルに笑んで、
リバーサス「惜しかったな」
ラピッド「一体なんの真似?」
リバーサス「ふん、別に。退屈しのぎに、ちょっとした遊び心で、お前たちにリアルな百人一首の世界を体験させてやろうと思っただけだ」
ルミナス、珍しく少しムッとなって、
ルミナス「百人一首の? 百人一首の歌は、こんな恐ろしい世界を歌ってはいません!」
リバーサス「そうかな? じゃあこれは何だっ?」
リバーサスは、不敵な表情でそう言うや否や、百人一首がこのような恐るべき世界を歌っているという証拠を、突き出して見せるのであった。

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