■ 第9話「百人一首カルタ取材」

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・第5幕

学校、桃組の昼食時間。
奈緒美羽ひかりが席をくっつけて食べながら、
奈緒「でさあ、顧問の桜井先生に言ったら、大歓迎してくれて、ついでに、茶道部の畳の間を、今日だけ使えるようにしてくれたんだよ」
美羽「やった。あそこなら雰囲気でるよね」
ひかり「取材日の今日に間に合ってよかったね」
奈緒、嬉々として、大きく頷き、
奈緒「そうッ。お父さんも、撮影用にちょっとはそれらしく演出してほしいって言ってたし」
奈緒の話を黙って聞くひかりと美羽を映しながら、さらに奈緒が続ける。
奈緒「でさ、カルタしてるところもやっぱりそれらしい写真を撮りたいから、本気で競技してほしいんだって」
美羽、困り顔で、
美羽「え〜、でも真剣勝負なんかしたら、誰もひかりに勝てないよ」
ひかり「そんなこと・・・」
ひかりは、眉を下げて苦笑い。
でも、事実なので、謙遜しようにも、適切な言葉が出ない。
奈緒もちょっと顔を曇らせ、
奈緒「うん、確かにね。ひかりが札取ってる写真ばっかり撮っても、お父さん、困るかな」
そのとき、背後からその話を聞いていた者一名。
それはゆとりである。
そのゆとり、前触れもなく口を挿む。
ゆとり「だいじょうぶ。アタシが参加するから」
ひかり「ゆとりさん・・・」
ひかり、いったい何を言い出すのかといった意外顔で、しばしゆとりを見つめる。
美羽も驚いて、
美羽「ゆとり、生科部じゃないのに? まあそれはいいんだけどさ、ゆとりが参加したところで、どっちみち真剣勝負じゃひかりに勝てっこないよ」
ゆとり、自信に満ち満ちた口調で話を強引に進めて行く。
ゆとり「やってみなきゃわかんないじゃん。とにかく、今日の放課後、茶道部の畳の間に行けばいいんだよね?」
ゆとり、そう言うと、ひとり向こうへと歩いて行ってしまった。なおみ〜うは、狐につままれたような表情で、ゆとりの後ろ姿を見つめている。
ひかりも、向こうへ歩いて行くゆとりの後ろ姿を、何かもの言いたげに黙って見ていた。
ひかり「・・・」

・第6幕

校門前。
ちょうどそこに、一台の車到着。降りて来たのは、奈緒の父。
(奈緒父の外見:茶色のジャケットに白のワイシャツ。橙色のカーデガン風のベスト。ネクタイは締めているが、チョコレート色の分厚い生地のもので、一見して単なる会社員ではなく、業界人だと察せられる。容貌は、なぎさの父の頬髭が濃くなって、さらにワイルドになった感じか)
奈緒、門前に出迎える。その横には、桜井先生、美羽、ひかりも並んでいる。
奈緒「お父さん!」
奈緒、お父さん子らしく、急に喜色満面となる。
父「奈緒、来たよ」
父は、落ち着いて奈緒に対応。
桜井先生が、自己紹介を始める。
桜井「二年桃組の担任で、生活科学部の顧問も務めさせていただいております、桜井と申します。今日は、どうぞよろしくお願いいたします」(頭を下げて挨拶)
父も軽く頭を下げ、穏やかに、
父「多幡奈緒の父です。こちらこそ、このたびは取材の許可を出してくださって、どうもありがとうございます」
桜井「いいえ、あくまで主役は生徒たちですから」
そう言うと、桜井先生、ひかりたちを見る。
奈緒の父も彼女たちに視線を向け、まず美羽を発見するや、
父「美羽ちゃん、久しぶりだね」
なおみ〜うは小学校以来の付き合いなので、奈緒父と美羽も当然既知の関係であり、美羽、すでに打ち解けた様子で、
美羽「お久しぶりでーす」
父「それから、こちらが・・・?」(ひかりに視線を転じる)
ひかり、にこやかにお辞儀。
ひかり「九条ひかりです。はじめまして」
父、「九条ひかり」の名を聞くと、途端に笑んで、
父「ああ、キミが九条さんか。今回の百人一首を始めようって言い出した」
ひかり「ええ一応」(ちょっと恥ずかしそうに)
父「そうか。今日はよろしくね」
ひかり「はい、よろしくお願いします」(元気よく)
桜井先生、奈緒に向かって、
桜井「じゃあ、多幡(奈緒)さん、わたしは職員室に戻るから、後のことはよろしくね」
奈緒、活発な笑顔で、
奈緒「はいっ」

・第7幕

茶道部の和室。
先頭の奈緒が戸を開けて、中を覗いてみると、すでにゆとりが座って待っている。
ゆとりは、一応場に合わせて慣れぬ正座をしている。
ひかり「あっ、ゆとりさん」
美羽「ゆとり、早いね」
ゆとり「まあね。奈緒と一緒にバスケ部休んだし、ここでカルタ始めるのを待つ以外に、することないんだもん」
美羽、ちょっとキョロキョロしながら、
美羽「一年生たちは?」(伝法茶和子&松間小波美のこと)
ゆとり「一年生のふたりは今、活け花の水を入れに行ってるから、もうすぐ戻って来ると思うよ」
美羽「へえ、活け花で演出かあ。あの子達も結構気が利くじゃん。部活の成果が出て来たかな」
美羽は、部長として、自分のことのように満足げな笑みを浮かべて喜んでいた。

● アイキャッチA

ひかりのポシェットから顔を出したセインフが、そのまま翼を広げてパタパタ飛び出し、
ひかり、一瞬宙を見上げて驚いたあと、こちらへ振り向き、ニッコリ。

● CM

来てねデラタコカ〜フェへ プリキュアメニューでたっぷり召し上がれ イエイ!
いつも嬉しい帰り道♪
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● アイキャッチB

画面の向こうから翼を広げて飛んで来たスワンフ。ゆとり、俊足で追いつき、ステップジャンプして、スワンフの足をつかみ、宙に浮く。ゆとりにっこりサクセスのピース。その直後に、スワンフの足から手を滑らせ、落ちそうになり、慌てふためく表情。

● Bパート

・第8幕

いきなり活け花アップ(一年生ふたりが戻り、準備万端整ったことを表現)。
活け花は、紫の、たぶん菖蒲(あやめ)。床の間に置かれ、その後ろには、山水画の掛け軸も飾られている。滝を登る鮎の如き魚二尾が描かれている。
取り札も並べ終えて、全員(ひかりゆとり奈緒美羽茶和子小波美)それを囲んで左右に座る。
奈緒父は、上座に鎮座し、さっそくその場を仕切る者のように、
父「みんな、今日は、僕の仕事のためにこんな特別の場を設けてくれて、本当にありがとう。もう奈緒から聞いてるとは思うけど、僕が出してるミニコミ誌で(そう言って、バックナンバーの一冊を取り出し、みんなに示す)、今<昔ながらの伝統的遊び>の特集をしていて、今回は、百人一首を学校の部活動に取り入れてる中学生の様子とインタビューっていうので記事にさせてもらいたいんです」
その話の最中、そのミニコミ誌のバックナンバーを一冊みんなに回し読みさせている。
そのバックナンバーの特集記事のページでは、竹とんぼを作る小学生の写真記事が掲載されている。
ひかりに回って来て、それを見る。
ひかり「へえ・・・」
そのとき、奈緒の父、不意にひかりに声をかける。
父「じゃあ、九条さん」
ひかり、慌てて、顔を上げる。
ひかり「あ、はい?」
父「まず、ちょっとインタビューさせてもらえる?」
父、そう言いながら、脇にすでに置いていた携帯型カセットをONにして、遠くからマイクを向けて来た。
ひかり、さすがにちょっと緊張の面持ちで、
ひかり「ええ・・・」
他方、小波美は、まったく緊張していない様子で、
小波美「緊張しちゃう〜」(むしろ、ワクワクしている感じ)
茶和子も、穏やかに小波美に同調。
茶和子「ね〜っ」
美羽、部長然と叱責顔で、
美羽「しーっ!」
茶和子&小波美「あ・・・」
ふたりとも、奈緒父のほうをちらっと見ると、恐縮して下を俯く。
奈緒父、マイクをひかりのほうへ差し向けながら、ちょっと形式ばった口説で、
父「九条さんは、どうして百人一首に興味を持ったのかな」
ひかり、義理を果たさなければといった真摯な構えで、最初は苦労して言葉をひねり出すが、徐々に興に乗って来て、滑らかに語り出す。
ひかり「え? それは・・・えっと、わたし・・・知らないことが多すぎて、とても不安だったから、本を読んでいろんなことを学ぼうと思ったんです。そしたら、わたしたちの言葉も知識も、たいていわたしたちが生まれるよりずっと前の大昔の人たちから受け継いだものだってことがわかって来て、本を読むと、自分の生きている短い時間を超えて、もっと長くて豊かな時の流れに乗れるような気がして来たんです。百人一首も、そんな気持ちで楽しめたらなと思って、それで・・・」
ひかりが長々と話している最中、ひかりの話を感心しながら聞く他のみんなの顔が順々に映ったり、ひかりの声が吹き込まれて行くカセットのマイク、あるいは、テープが回っているシーンもワンカットずつ挿入)
美羽「へえ、ひかり、そんな難しいこと考えてたんだ?」
奈緒「ひかりの心は海よりも深いんジャンね」
なおみ〜う、単純に、ひかりの発言に感心している。
その一方で、ゆとりは、瞠目してひかりを見つめていた。
ゆとり「・・・」

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