・ 目次 / 第8話「百人一首」 (前のページ/次のページ) ・
ゆとり、リバーサスの余裕に多少ひるみ、
ゆとり「・・・そりゃ、弱いかもしれないけど」
しかし、ゆとり、思い直したように、再び語気を強め、
ゆとり「なんでそういう感性を犠牲にしてまで強くならなきゃいけないのよおっ!」
リバーサス「ふん。キャプテン・ニヒルーザの世界無計画は、深遠すぎて、所詮お前らのようなちっぽけな存在にはわからんのだ」
ゆとり「そんなのわかるわけないよおっ!」
リバーサス「愚かな・・・シスター・シーズンが、どうしてお前らを伝説の戦士に選んだのか、てんで謎だな」(身構えたひかりとゆとりを映しながら)
リバーサス、ムカツキーを見上げて、
リバーサス「ムカツキーよ。やつらを叩き潰し、シスター・シーズンを炙り出せ!」
ムカツキー「ムカツキー!」
セインフ「ひかり、変身するセイン」
スワンフ「ゆとりも急ぐのスワン」
ひかり&ゆとり「うん」
(変身バンク)
*お互いのコミューンをお互いに向けて或るボタンを押す(ツーショット)。
すると、互いのコミューンから光線が発射され(レイディエーション)、ひかりの光線はゆとりに光の輝きのパワーを、ゆとりの光線はひかりに光の速さのパワーを互いに送り、それぞれに不足するパワー素を補い合い、「ふたりはプリキュア」へと、互いを互いに高め合う(ハーモニック)のである。
ルミナス、シャイニールミナス風に両手を広げ、髪の毛をたなびかせながら、
キュアルミナス「とわに煌めく光輝の使者・キュアルミナスッ!」
ラピッド、ホワイトのバンダナをたなびかせ、胸の前に両腕を交叉させ、両こぶしグーで、ボクシングのガードのようなポーズを取り、
キュアラピッド「とわに駆け巡る光速の使者・キュアラピッドお!」
ふたりともそれぞれそのままのポーズで、並んで映し出され(ルミナスが右、ラピッドが左)、
ルミナス&ラピッド「ふたりはプリキュア!」
さらにラピッド、一回転して、胸のところでグッとしてた腕を突き出し、ビンと指差す(夏京の贋プリキュアの指の突き出し方参照)
ラピッド「時の流れを捻じ曲げるあなたッ!」
ルミナスは、シャイニールミナスのように広げていた両の手を、交叉させるように胸に柔らかく宛がい、うつむき加減になって両目を一瞬聖母のように閉じたあと、カッと見開いて正面を向き直り、毅然とした落ち着きのある、しかし優しい声音で、
ルミナス「素直な心にお戻りなさい!」
戦闘始まる。
ムカツキー、口から、百人一首の巨大化した札を吐き出し、手裏剣のようにプリキュアを攻める。ラピッドは蹴り上げ、ルミナスは、両手の平で真剣白羽取りのように受け止め、地面に大事そうに置いて行く。
ラピッド「たああ!」
ルミナス「はいっ、はいっ!」
やがてルミナス、受け止めた一枚を、両手から発した光の膜で保護する。
ルミナス自身、なぜ自分の体から光が発せられるのかわかっていない様子で、キョトンとしている。
おそらく、敵の武器を逆用する場合も、それを傷つけたくないという健気な意志が、彼女の潜在能力を引き出すのであろう。
ルミナス、等身大ほどもある大きな札が光の幕に覆われて十分に保護されたことを確認すると、ためらいなくそれをムカツキーに投げ返した。
ルミナス「はああっ!」
それは、激しく回転して速度を上げ、ムカツキー、よけることが出来ない。
ついにそれはムカツキーの体に当たり、ムカツキーふらつく。
ムカツキー「ムカツキ〜!」
その直後、ラピッドが、ルミナスの攻撃にヒントを得たように、足元に落ちていた札を咄嗟に拾い上げ、体をグルグル回転させて、砲丸のように勢いをつけて投げる。
ラピッド「(グルグル)やああッ!」
ラピッドのほうは、百人一首の札を乱暴に投げ返すことにためらいは全くない。
これが、すでにバランスを崩していたムカツキーにまた命中し、ついにムカツキー派手に顛倒。
ムカツキー「ムッカツキ〜!」
リバーサス、ムカツキーの不甲斐なさに苛立って舌を打ち鳴らし、自ら戦闘に加わる。
リバーサス「ダアアア!」
リバーサス、超マッハのスピードでふたりを襲って来る。
ルミナス・ラピッドは、逃げるよりも、足元に落ちていた等身大の札をそれぞれ一枚両手で抱えて盾にして、リバーサスの激しい攻勢を凌ぐ。
ルミナスは、和泉式部のような女官の絵札、ラピッドは、右大臣実朝のような貴人の絵札を偶然拾い上げており、その絵札側を表にして、リバーサスのパンチや蹴りを防ぐ。この絵札は非常に頑丈で、リバーサスに殴られ、バチバチと音はさせるが、決して壊れない。リバーサスも、攻めあぐねる。
やがてL&Rのふたりは、見計らったように、同時に絵札を突き出す。
ルミナス&ラピッド「やあ!」(女官と貴人の絵、アップ)
リバーサス、女官と貴人の顔に圧倒されて、あとじさり。
リバーサス「ううっ!なんだ!?」
リバーサスがひるんだ隙に、ルミナス、札の陰から飛び立つ。
ルミナス「はああ」
リバーサス「んん!?」(見上げるリバーサス)
ルミナス、得意の跳び箱式前転ジャンプで、リバーサスの両肩に手を宛がって背後へ回り込み、風車のように前転宙返りしながらキック。
ルミナス「はあ!」
リバーサス「うっ!」
リバーサス前のめりになる。
そこへ、前方にいたラピッドが、おあつらえ向きのラリアットを仕掛ける。
ラピッド「とりゃアアア!」
リバーサス「ウオオオ!」
リバーサスは、激しく背中から地面を滑るように顛倒した。
跳んでいたルミナスが、ラピッドの横にスタッと降り立ったところで、
スワンフ「今なのスワン」
セインフ「決め技を出すセイン!」
ルミナスとラピッド、互いに頷き合って、手を繋ぐ。
必殺技・プリキュア・アストラル・トルネード。
ルミナス「光る時、かける(×)」
ラピッド「走る時イコール(=)」
ルミナス&ラピッド「プリキュア・アストラル・トルネードオオ!!」
超音波のような渦巻状の閃光がルミナス&ラピッドの全身から発せられ、原爆のようにゆっくりと広がって行く。
(トルネード解説:アストラル・トルネードは、時の流れの重みを原動力にしている。時の流れに逆らうナラクーダの者たちには、最も効果的な斥力を持つ)
リバーサス「むッ!?はあ!」
リバーサス、すかさず立ち上がって、それを避ける。
代わりに、背後でようやくゆっくり立ち上がった百人一首箱ムカツキーに直撃。
ムカツキー「ムカツキッイイー!!」
大破。
リバーサス「ムム〜、だあ!」
リバーサスは、いまいましげな表情を浮かべたあと、ほうほうの体で去って行くった。
戦後、
ルミナスとラピッドが笑顔で目を合わせる。
と、そのたき、空からハラハラと百人一首の札がたくさん落ちて来る。元の大きさに戻っている。
ラピッド「あ、これ、百人一首の札?」
ルミナス「たいへん!拾わなきゃ」
すでに変身が解けたひかりとゆとり、それを一枚一枚拾って行く。
ゆとり、或る札を手にして、しゃがんだまま、じっと見つめている。
ゆとり「・・・」
ゆとり、雪城家の木戸を開いて入る。
忠太郎、喜んでお出迎え。
忠太郎「ワン!」
ゆとり、じゃれつく忠太郎を、笑顔であやしながら、
ゆとり「忠太郎、ただいま」
室内。
ゆとり、さなえさんとふたり。ゆとりは、もう普段着に着替え終えている。
さなえ「百人一首?」
ゆとり「うん、こないだひかりに貸してあげたでしょ。アタシもしてみたくなったんだけど、その前にまず歌を覚えなくちゃと思って。ここにある百人一首はあれだけですか?」
さなえ「そうね。あれはほのかのために買ったものだけど、確か私が若い頃に使ってた古〜いのがあったかもしれませんね」
さなえさん、それをどこかから探して持って来る。
さなえ「はい。もう色褪せちゃってキレイじゃありませんけど、なんとか字は読めるんじゃないかしら」
ゆとり、箱を開けて、札を何枚か見てみる。
ゆとり「ううん、すごくキレイですよ!」
ゆとり、すっかりウキウキしたような笑顔になり、さなえさんのほうへ向き直って、
ゆとり「さなえおばあちゃん、ありがとうっ!」
さなえさん、笑顔で、
さなえ「いいえ。それから、これ」
さなえさん、そう言って、或る本を差し出す。
ゆとり「ん?」
ゆとりは、すぐには手を出さないで、さなえさんの手元のその本をジッと見ている。
さなえ「現代語訳つき解説書。昔の人の言葉は難しいでしょ?」
ゆとり「あ、それあったらすごく助かります」
ゆとり、合点が行ったような笑顔になり、両手でそれを受け取る。
その夜、ゆとりの部屋。
ゆとり、ベッドに寝転びながら、黙々と百人一首の句を覚えている。
しかしゆとり、ふとカルタから目を離し、天井を見つめながら、昼のことを思い出している。
ゆとり「めぐり逢ひて・・・」
ひかり「はい」(押さえ手で優しげに取る)
ゆとり「え?もう?」
ひかり「(取り札を読む)雲隠れにし夜半の月かな」
ゆとり「めぐり逢ひて見し・や・そ・れ共分ぬまに雲隠れにし夜半の月かな。正解。すご〜い」
ゆとり、現代語訳の本を手に取って、その歌の意味を調べる。
ゆとり「めぐり逢ひて、めぐり逢ひて・・・と。あ、これか。紫式部?男の人?女の人?なになに?『やっと逢えたと思ったら、相手のこともよくわからないうちに、すぐに別れないといけない、時の流れの儚さを、雲に隠れる月に喩えた歌』。そういう意味なんだ?ふ〜ん・・・」
ゆとり、もう百人一首の勉強を切り上げたらしく、
障子戸を開けて、縁側に出る。
もの思わしげに空を見上げる。
スワンフ、ゆとりの不思議なムードに感づいて、懐のウォッチコミューンから顔を出す。
スワンフ「ゆとり、何見てるのスワン?」
ゆとり、スワンフを見下ろし、その目を数秒見つめたあと、フッと笑んで、
ゆとり「うん・・・月・・」
そう言って、ゆとり、再び月のある方を見上げる。
夜空が映る。満月が浩々として、隠す雲もなし。
ひかりの部屋。
ひかり、ちょうど今、何かの本を読み終えて、それを本立てに戻すと、ガラス窓を開けてベランダに出る。
もの思わしげに月を見上げる。
セインフ、ひかりの不思議なムードに感づいて、懐のウォッチコミューンから顔を出す。
セインフ「ひかりは月を見るのが好きセインか?」
ひかり、セインフを見下ろし、その目を数秒見た後、フッと笑んで、
ひかり「うん・・・好き・・」
そう言って、ひかり、再び、月のあるほうを見上げる。
夜空が映る。満月が浩々として、隠す雲もなし。
タイムフルオルゴール!
12個のシーズニーラピスを、それぞれ決められたラピスホールに入れたら、
12曲のプリティーなメロディーが聴ける。
タイムフルオルゴール!
DATTE 待ってらんないじゃん!
ゆとり「奈緒のお父さんが発行人をしてる地域情報誌で、『昔ながらの伝統的遊び』の連載特集やってるんだって?」
ひかり「ええ、それで今度、生科部の百人一首が取り上げられることになって、カルタ大会をしてもらえないかって・・・」
ゆとり「へえ。で、優勝者への賞品は?」
ひかり「そんなのないです。部活の一環ですから」
ゆとり「なんだつまんないのー。ひかりのことだから、この百人一首をそのままお持ち帰り、とか言うのかと思ったのに」
ひかり「あ、それ、ぜひほしいです!」
ゆとり「はあ・・・?」
ひかり&ゆとり「ふたりはプリキュア・ミルキーウェイ 第9話「百人一首カルタ取材」」
ひかり「ゆとりさんは、どんな賞品がほしいですか?」
ゆとり「そうだなあ・・って、アタシも出るの!?」
ひかり「いえ、もしもの話ですけど・・・」
ゆとり「『もしも』ねえ。ふふ」
ひかり「え?」
またみてね!
著:ヒカルミの世界 / 絵:ヒカルミの世界・ラピー・shimizu_piecelot / 編:ライネス