・ 目次 / 第8話「百人一首」 (前のページ/次のページ) ・
タコカフェ。
アカネさん、鉄板でお好み焼きをひっくり返す。こんがり焼けたそれをトレーに入れ、ソースをかけて、後ろで控えているひかりに渡す。
アカネ「はい、お好み焼きのイカ玉一丁」
ひかり「はい」
ひかり、車から出て、客に渡しに行く。
ひかり「「お待たせしました」(車の中へ、外のひかりの声が聞こえて来る)
ひかり、車内に戻って来る。
アカネさん、鉄板に向かいながら、
アカネ「ご苦労さん」
ひかり、アカネさんに向かって、笑顔で、
ひかり「お好み焼きの人気も上々ですね」
アカネさん、ちょっとひかりのほうへ振り向いて、やはり笑んで、
アカネ「そうだね。これでメニューに潤いが出たっていうかさ」
ひかり、キョトンと、
ひかり「潤い・・・?」
アカネ「いろいろあったほうが、店の活気がお客さんに伝わりやすいんだよね。お好み焼きをメニューに加えたら、たこ焼きの売り上げもアップするから、不思議っちゃあ不思議だよ」
ひかり「へえ」
アカネさん、思い出したように腕時計を見て、
アカネ「あ、ひかり、そろそろ休憩に入っていいよ」
ひかり、爽やかな笑顔で、
ひかり「はい」
ひかり、調理台の上に置いていた百人一首の箱を抱えて、車外へ出る。
それを見ていたアカネさん、ちょっと呆れるように笑みながら、
アカネ「よっぽど好きなんだね。百人一首」
ミ〜ルキーウェ〜〜〜〜〜イ!
プリッキュア、プリッキュアァ♪♪
プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ!
プ〜リティーでえ、キュ〜アキュッアァ、ふ〜たり〜はッ〜プリッキュアアアアア!!
二度あるこーとは、三度目〜もー、ぶっちゃけありえるう!
セーラーふーくのふたーりーは〜むちゃくちゃなかよしぃ
お互い〜じーかーんを〜飛び越えるーたびぃ
キラリィ、かがやァ、くよねえええ〜〜〜〜〜〜〜、ウイッ!
Your PaceMy Pace 進んでーるからつまづいたってIN じゃない?
災い転じて福とな〜すでしょトラブルだってットラベル!
と〜きーのー流れ〜泳いでおーもい切り〜
もっとグングンッ!
プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ!(Be close step by step!)
プ〜リティーでえ、キュ〜アキュッアァ、ふ〜たり〜はッ〜プリッキュアアアアア!!
プリッキュア、プリッキュアァ♪♪
ミ〜ルキーウェ〜〜〜〜〜イ!
ウォッチコミューン
ひかり「明日は朝からお店のお手伝いなの」
セインフ「7時になったら起こしてあげようセイン」
セインフが目覚まし時計に変身。
ウォッチコミューン!
近くの公園ベンチ。
エプロン姿のひかり、座って休憩。箱を開け、百人一首の札を見ている。
セインフが顔を出す。
セインフ「ひかり、ここのとこずっと百人一首ばかり眺めてるセイン」
ひかり、クスッと笑って、
ひかり「うん、これを眺めてると心が落ち着くの」
セインフ「セインフも落ち着いた気持ちになりたいセイン。何か読んでくれセイン」
ひかり「じゃあ・・・これでも。よいしょ」(何枚か扇状に広げて、一枚抜き取る感じで)
ひかり「天の原ふりさけみれば春日なる〜三笠の山にいでし月かも〜」(朗詠:トップの動画参照)
セインフ「ふーん。どんな意味なんだセイン?」
ひかり「わたしにもはっきりとはわからないけど、今空に出てるお月さまは、ずっと昔に春日の三笠山っていうところで見たお月さまと同じお月さまだよねっていう意味みたい」
セインフ、がっかり顔で、
セインフ「そんなの当たり前だセイン」
ひかりは微笑を絶やさずに、
ひかり「そうね。でも、当たり前のことだけど、時が流れても変らないものがあるって思ったら、不思議な感じがするの」
セインフ「はあ・・・」
ひかり、空を見上げて、
ひかり「わたしが見る月と同じ月を、遥か昔の人たちも同じように見てたなんて」
ひかり、前回の回想。
前回のゆとりとの会話。
ゆとり「こうやってひっくり返せば時は動くけど(砂時計をひっくり返して見せる)、でも中身は変らないでしょ。毎日新しい朝は来るけど変らない光(ひかり)。あたしはこの先どんどん変って行ってしまうかもしれないけど・・・あなたは変らないでいてね。はい、生きた化石さん」
ひかり、バッグから、ゆとりにもらった砂時計を取り出す。
目の前にかざし、ひっくり返す。砂がチョロチョロ落ちて行く。そのアップのシーン。
第8話「百人一首」!(ひかゆとの声で)
学校。
生科部の活動中。美羽、自慢の中華料理、チャーハンを中華なべで器用にひっくり返しながら炒めている。
小波美「加賀山先輩、すご〜い!」
茶和子「さすが部長、輝いてます」
美羽、自信満々の笑みを浮かべ、
美羽「前から中華がアタシの得意分野だって言ってたでしょ?アタシもツボにはまれば、ひかりにだって負けないくらい料理の達人なのよ」
ひかり「そんな。わたしは作れるものが限られてるから、料理全般では美羽には全然かなわないよ」
美羽「でも、ひかりにもいずれはチャーハン作れるようになってもらうからね。ヨッと」
美羽、チャーハンを宙高く上げ、上手にひっくり返して、また炒めながら、
美羽「生科部の方針として、全員が課題をクリアーするまで次の課題には移れないってことにしてますから」
小波美「あれ、でも加賀山先輩、こないだホットケーキ焦がしてましたよね」
美羽「いっ!」(ヤバッという感じ)
小波美「あのあと『クリアー』したとこ見てませんけど?」
美羽「また〜あ。松間さん、あなたは一言多いんだからあ。黙って先輩の模範演技を見て、貪欲にコツを盗(ぬっす)みなさあ〜い」(強引に誤魔化すように)
小波美、素直に、
小波美「はーい、すみません」
美羽、チャーハンが入ったままの中華なべをひかりに差し向け、
美羽「はい、じゃあ、ひかりもやってみて」
ひかり、ちょっとどきまぎして、
ひかり「えッ・・・」
美羽、有無を言わせず、ひかりに杓文字(しゃもじ)と中華なべを持たせる。
美羽「んっ」
ひかり「は、はい・・・」
はしっこで比較的大人しく見ていた茶和子が、俄然快活な声で、
茶和子「九条先輩、がんばってくださいっ」
ひかり「ええ(やや苦笑)」
ひかり、眉をキリッとさせて、真剣な面持ちで鍋に向き合い、チャーハンをひっくり返そうとする。
ひかり「よい、しょ」
ひかり、実践。しかし、中華なべが重く、細腕のひかりの力では安定しない。
ひかり「ああ〜あ」
料理終わって、みんなで試食会。
4人は、団居(まどい)状に椅子を並べて座り、チャーハンの入った皿を膝の上に乗っけて食べるかたち。
小波美、蓮華で一口食べて、驚いたような声で、
小波美「お〜いしっ!」
*「蓮華」などというものは、流石のベローネ家庭科室にも置いていない。たぶん、美羽が人数分持参したと思われる。生科部は、単なる料理に満足するだけでなく、そのライフスタイルにもこだわるために、家庭科部あるいは家政科部ではなく、生活科学部という自負ずべき部名を帯びているのである・・・というのが命名者・加賀山美羽の生科哲学であるらしい。
茶和子も食べてみる。
茶和子「うん、ホントにおいしい。加賀山先輩、ナイスッ」
美羽「いやあ、ははは」(頭をさすりながら)
ひかりは、蓮華でチャーハンをつついているだけだったが、やおら顔を上げて、
ひかり「美羽、小柄なのに、なんであんな重たい中華なべを平気で持てるの?わたしなんか、今もこのへんが痛いのに(腕をさすりながら)」
美羽「コツがあるんだよ。腕で支えるんじゃなくて、腰と膝で支えるように持つの」
美羽、腰と膝をポンと叩いて、優しく説明。
ひかり「腰と膝で?」
美羽「うん。わたしのお母さん、栄養士でさ、それで、小学生のころからミッチリ仕込まれちゃってね」
ひかり「それで中華料理が得意なんだ」
美羽、ちょっと困り顔になって、
美羽「でも、甘いものは体によくないとかいって、お料理メニューからはずされてたの。だからホットケーキとか苦手なんだ」
ひかり「へえ・・」(ひたすら感心した様子で)
美羽「ところでひかり、なんか提案があるって言ってたよね」
ひかり「うん」
美羽「なに?」