■ 第6話「日本舞踊」

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・第5幕

玄関へ。
ひかり「こんにちは〜」
ほどなくさなえさんが応対に現れる。普通の鼠色の和服姿。
さなえ「あら、ひかりさん、いらっしゃい。それから、あなたはこのあいだの家庭訪問のときにいらっしゃった・・・」
美羽、笑みを浮かべ、礼儀正しそうに、
美羽「はい、加賀山美羽です。改めてよろしくお願いします」
さなえ「い〜え、こちらこそ。それから・・・」(奈緒を見る)
奈緒「はい!多幡奈緒です。はじめまして。今日はよろしくお願いします!」(体育会系的ノリの腹式呼吸挨拶)
さなえさん、奈緒の軍人みたいな場違いの挨拶に、却って微笑ましいものを感じたらしく、笑みを湛え、
さなえ「あらあらまた元気のいいお嬢さんですね。ゆとりさんに負けないくらい」
ひかり「あの、おばあちゃん、ゆとりさんは?」
さなえ「それが、ちょっと寝坊しちゃってねえ、今お顔を洗ってるところだから、さあさ、もう上がってちょうだい」
ひかり「いいんですか?」
さなえ「ええ、まずゆとりさんのお部屋に案内しますから、そこで待っててくださいな」
ひかり奈緒美羽、笑顔で頭を下げ
ひかりなおみ〜う「は〜い。お邪魔します」

・第5幕

ゆとりの部屋(ほのかの部屋)。3人が、立ったまま、めいめい部屋の違った方向を眺めている。

奈緒「お屋敷も広くてビックリしたけど、お部屋も超広〜い」
美羽、本棚の前から、
美羽「これ、見て見て!やっぱり難しそうな本がいっぱい」
奈緒、本棚前に寄って、
奈緒「ほんとだ〜」
奈緒、一冊手にとって、
奈緒「なにこれ?日本語じゃないじゃん。雪城先輩ってこんな本読んでたの?」
美羽、我が事のように自慢げに、
美羽「あったりまえじゃん。今パリにいるんだよ」
ひかり、奈緒美羽の会話を微笑みながら見ていたが、ほのかの話題になったちょうどそのとき、机の上に、ほのかの写真を発見。黙って近づく。
ひかり<ほのかさん・・・>(感慨深そうに)

ゆとり、部屋に入って来る。
ゆとり「おまちど〜」(まだ寒い季節だが、ゆとりだけは短パンルック)
奈緒、両手に分厚い書物を持ちながら振り向き、呆れた表情で笑って、
奈緒「おまちどーじゃないでしょ。寝坊したんだって?」
ゆとり「あれ、なんで奈緒もいるの?」
奈緒「アタシだって一応生科部ですから。イ・チ・オ・ウ」(美羽を横目で見ながら)
ゆとり「でも、今日何するかわかってんの?」
奈緒「ひかりと美羽から聞いてるよ。雪城先輩のおばあちゃんが昔日本舞踊の先生してたから、それを教えてもらって、生科部の活動に取り入れたらいいんじゃないかって話になったんでしょ?」
ゆとり「まあそうだけど。・・・でも、もともとはさなえおばあちゃんから日本舞踊の先生してたって話を聞いた私が、ひかりを誘っただけなんだけどね。ひかり、なんかそういうの似合ってそうだから」
ゆとり、そう言って、笑顔でひかりを見る。
ひかり、映る。ちょっと恥ずかしそう。
ゆとり、次に、美羽のほうへ向いて、
ゆとり「そしたら、美羽も生科部でやりたいって言い出したんだよね」
美羽「うん、出来るかどうかわかんないから、一年生の子達にはまだ言ってないんだけどね。今日は視察ってところかな」
ゆとり「まあ美羽は生科部の部長だからいいとして、奈緒はどう見ても日舞ってイメージじゃないよね〜」(最後はイタズラっぽく笑う)
奈緒、<あんまりじゃん>といった顔で、
奈緒「あ、ヒドイその言い方。美羽といいゆとりといい、なんか今日はアタシに辛く当たるよねえ」
ひかり「でも・・・」
ゆとり、バッとひかりのほうへ向く。
ゆとり「え?」
ひかり「奈緒は運動神経がいいし、踊りのセンスも、私なんかよりずっとあるんじゃないかな」
奈緒、間髪入れず、
奈緒「さっすがひかり、ナイスフォロー!一を聞いて十を知るってのはひかりのことだよね」
美羽、アレッという顔になり、
美羽「ん?な〜お、珍しく難しそうな言葉使うね。どこで覚えたの?」
奈緒、エッヘン顔で、
奈緒「失礼ね。運動神経が良い人は、本当は頭も切れるんだよ」
そのとき向こうのほうから、さなえさんの声が。
さなえ「ゆとりさん、準備が出来ましたから、みなさんを連れて来てくれますか?」
ゆとり「あ、は〜い。じゃ、みんな、こっち」
一同、さなえさんのいる部屋へ向かう。

一番後ろにいた奈緒、手にしていた分厚い本を本棚に差し込もうとするが、うまく入らない。
奈緒「あ、あれ?」
それを見ていた美羽に、
美羽「な〜お、なにしてんの。早く」
奈緒「う、うん!」
奈緒、やむなくその本をぞんざいにベッドの上に置いて、みんなの後を追って行った。
部屋に静寂が戻る。ベッドの上の書物、奈緒に投げ出され、再び或るページが開いている。それはことわざ辞典だった。そのページの項目の中に「一を聞いて十を知る」という項がある。それが拡大アップ。

● アイキャッチA

ひかりのポシェットから顔を出したセインフが、そのまま翼を広げてパタパタ飛び出し、ひかり、一瞬宙を見上げて驚いたあと、こちらへ振り向き、ニッコリ。

● CM

来てねデラタコカ〜フェへプリキュアメニューでたっぷり召し上がれイエイ!
いつも嬉しい帰り道♪
デラタコカフェダイナー!

● アイキャッチB

画面の向こうから翼を広げて飛んで来たスワンフ。ゆとり、俊足で追いつき、ステップジャンプして、スワンフの足をつかみ、宙に浮く。ゆとりにっこりサクセスのピース。その直後に、スワンフの足から手を滑らせ、落ちそうになり、慌てふためく表情。

● Bパート

・第6幕

日本舞踊の稽古部屋。
桧舞台がある。掛け軸。花も活けてある。
舞台を背に、白の着物に着替えたさなえさんが正座し、4人はさなえさんに対座するように並んで正座。
さなえ「今日は本当によく来てくださいました」
4人、元気に笑顔で、お辞儀。
4人「よろしくお願いしま〜す!」
さなえ「いいえ、こちらこそ。踊りからは離れてもうだいぶ経つけど、まさか今になってあなたたちに教えることになるとは思いませんでしたよ。最後に教えたのは、ほのかが小学生の頃ですからね」
美羽、鋭く反応。
美羽「え、雪城先輩も習ってたんですか!?」
さなえ「ええ。私のお弟子さんたちに混じって、たまにね」
美羽、感心するように目を丸くして、
美羽「へえ・・」
さなえ「うちの流派は、お江戸の頃から、若い女のひと向きに発達したものですからね。手振りといって、扇子より手を淑やかに振付けるのが多いので、お上品なんですよ」
美羽、目を輝かせ、
美羽「じゃあ、雪城先輩にピッタリだ!」
さなえ「でも、そのうち本を読むのが忙しくなって、自然にやめちゃいました」
美羽、ほのかのすることなら何でも肯定する構えで、そのエピソードを聞きほれるように、目を閉じ俯き加減に首を左右へ振りながら、<う〜ん>と唸る感じで、
美羽「さっすが雪城先輩・・・」
ひかり、あっさりした口調で、話に割り込む。
ひかり「ほのかさん、お上手でしたか?」
さなえ「そうねえ、悪くはなかったと思いますけど。ただ、ちょっと一所懸命になりすぎるところがあったかしらね」
ひかり「一所懸命になりすぎ・・・?」
さなえ「一日でも早く会得しなくちゃいけないって躍起になってね。でも、こういうのはのんびりやって行くほうがいいんですよ」
4人「へえ」
さなえ「さ、じゃあ始めましょうか」
4人、笑顔で、
4人「はいっ!」

・第7幕

さなえさん、4人に扇子を渡す。
ゆとり、自分に渡された墨絵の扇子を見て、
ゆとり「シックな扇子〜」
ゆとり、ひかりが扇子を開くのを覗くように見る。鶯が一羽飛んでいる。
ひかり、感動する。
ひかり「わあ!」
ゆとり、お姉さんのように笑んで、
ゆとり「ひかりのは可愛いね。似合ってるよ」
ひかり、無邪気にその扇子を胸に当てて、
ひかり「ありがとうございますう」

・第8幕

さなえ「まず、わたしの振り付けに合わせて、舞い踊る練習からね」
さなえさん、そう言うと、扇子を操りながらスローに踊って行く。
4人も、さなえさんをジッと見ながら、ぎこちなく舞踊を試みる。
それぞれ適度に合わせ、適度に間違える感じ。

さなえ「じゃあ、曲を流しますから、今覚えた振り付けを基本に、自由に踊ってみてごらんなさい」

CDカセットのスイッチを入れる。古典舞踊なので、清元のような音楽が流れる。非常にスロー。
美羽、奈緒、ゆとりの順番に、桧舞台に上がり、カセットの曲に合わせて、踊ってみる。
美羽は、蝶々みたいに扇子を持つ手と、持たない手を同時にヒラヒラパタパタさせる。
奈緒、噴き出して、
奈緒「プウッ!み〜う、それじゃあ、幼稚園のお遊戯ジャンジャン!」
美羽、踊りをやめ、
美羽「なによ〜、手振り多めの流派だって雪城のおばあちゃんが言うから、そのとおりにしてみただけだよ。(さなえさんに向かって)これでいいんですよねえ、おばあちゃん」
さなえさん、微笑んで、
さなえ「ほほ。ええ、そうですよ」
奈緒「でもさあ、美羽の場合、手振りっていうよか、手招きって感じじゃん?」(奈緒、招き猫のポーズで、手首をクイクイッと上下させる)
美羽、不興な顔で、
美羽「じゃあ奈緒も踊ってみなさいよお!」
と憤り、ふて腐れて舞台から降りる。

奈緒、踊る。奈緒は、曲に合わせて扇子を多彩に動かそうとするのはいいが、一つ一つの動きが乱暴すぎて、扇子で空を斬ったり突き刺したりする感じ。
奈緒「はあッ、ふんッ!たああ!」
ゆとり、ポカンと口を開け、呆れながら、
ゆとり「それ、剣劇じゃない?」
それを聞いたさなえさんも、失笑を禁じえず、噴き出してしまう。
さなえ「プふッ!確かに剣劇なら一流かも・・・」
奈緒、踊る気をなくし、
奈緒「ええ〜やだなあ・・・おばあさんまで〜」
さなえさん、まだクックックと笑いながら、
さなえ「あ、ごめんなさい」

次、ゆとりが踊る。胸を張ってかなり大きく弧を描くように扇子を動かし、扇子を握る手をたまに腰に宛がったり、その腰まで振ったりして、軽やかにダンシング。楽しそうに笑いながら、
ゆとり「イエイ!はああ〜い!(まるでチアリーダーがポンポンを振っているみたい)
なおみ〜う、呆気に取られて見ている。
なおみ〜う「ああ?」
曲が終わって、ゆとりが汗を拭いながら舞台から降りて来る。
ゆとり「いやあ、いい汗かいた」
なおみ〜う、呆然として、
なおみ〜う「お、お疲れさま・・・」
さなえさん、人知れず袖で失笑の顔を覆い隠す。
さなえ「クックックッ・・・」

最後にひかり、舞台に立つ。

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