■ 第5話「ショッピング」

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・第4幕

(前回までのあらすじ: スワンフがセインフに会いたがっているという口実のもとに、ゆとりは、ひかりを街に呼び出し、そのまま街案内を頼む。
ひかりの街案内がさっそく始まる)
街をウィンドウショッピングの諸シーン(軽快なBGMでワンシーンとしてつなげる)。
ファンシーグッズの店。
ゆとり、ストラップの備品など見て、無邪気に
ゆとり「か〜わいいい!」
ひかりは、ガラス細工の魚や動物に興味を示す。
ひかり「キレイ・・・」

ぬいぐるみの店。
ゆとり、テディベアみたなぬいぐるみを両手で持って、眺めて、
ゆとり「ほし〜い!」
と言ったあと、手にしたスワンフを見下ろして(註:ショッピング中、人目につかないところでは、ひかりとゆとりは、大体ずっとセインフ・スワンフを手に持って歩いている)、
ボソリ、
ゆとり「でも、この子がいるしなあ」
スワンフ、ちょっとふくれて、
「スワンフはぬいぐるみじゃないのスワン」
ゆとり「ああ、ゴメンゴメン。どっちも同じくらい可愛いから、つい、ね!」
スワンフ「え、可愛いのスワン?」(単純に喜ぶ)
ひかり、すぐそばでゆとりとスワンフの会話を微笑みながら聞いたあと、手元のセインフを見下ろして、
ひかり「ふふ。ねえ、セインフ。ゆとりさんが、スワンフのこと可愛いって」
しかしセインフはまだ落ち込んでいる。
セインフ「可愛くても、ただの友だちじゃしょうがないセイン」
ひかり「まだ言ってる」(ちょっと失笑気味に)
セインフ以外みんな「はははは」

帽子屋。
ゆとりが或る帽子を選んでいる。ひかりは、ゆとりに付き従っているだけで、自分から帽子に積極的に手を出すことはしない。
ゆとり、やがて赤と黄色のストライプのキャスケットを選ぶ。
ゆとり「ん〜、これかな」
ひかり「へえ、ゆとりさん、似合いそう」
ところがゆとり、それをすかさずひかりの頭にパカッとかぶせる。
ゆとり「やっ!」
ひかり「え?」(ゆとりのなすがままにされ、キョトンとして)
ゆとり「ひかりに似合いそうなの探してたんだよ」
ひかり「わたし?」
ゆとり「さ、さ、鏡の前行って」(せかすように両肩を押して)
ひかり「え、ええ?」
姿見の前。
キャスケット姿のひかり、鏡に映る。
ひかり「あっ・・・」(ひかり、自分の見違える姿に内心ドキッとしているよう)
ゆとり「やっぱ似合う!」
ひかり、恥ずかしがりながら、
ひかり「ど、どうも・・・」
そう言ってお辞儀したとたん、浅く被っていただけのキャスケットがポロッと頭から落ちかかる。
ひかり「ああッ〜!」
ひかり、落ちる帽子を取ろうとするも、お手玉するように、両手がバタバタする。
結局こぼして、下に落ちる・・・寸前、ゆとりがパシッと片手取り。
ゆとり「へへへ〜」(床に片膝つかせながら余裕の笑顔で)
ひかり、恐縮して、
ひかり「すみません!」
ゆとり「いいの、いいの、ひかりもそのうち慣れて来るって」
ゆとり、そう言うなり、今度は自分がキャスケットを被ってみせる。
スパッと頭に入り、すごく決まって見える。
ひかり、感心するように、
ひかり「はあ〜・・・」

古本屋。
ひかり、小説を黙々と立ち読み。
ゆとり、漫画を物色。しかし、ビニールに入っていて、開けない。
ゆとり「ちぇ〜、つまんないの〜」
と言って、本棚に返す。

・第5幕

ひかりとゆとり、往来を歩く。
前方、路上のちょっとした広場に人垣。
近づくと、大道芸人のショーが催されている。
ひかりとゆとりも足を止めて見物。
独りで5つの楽器を演奏する太っちょのミュージシャン。
次に、ピエロが顎に、ヤカンを乗せたスティックを乗せて平均台を渡る芸。
ひかりとゆとり、すごい芸を見るたびに、感嘆の声。
ひかり&ゆとり「わあ!」「すご〜い!」
ゆとり、ひかりのほうへ振り返って、
ゆとり「なんであんなことできるの〜?」
ひかり「ねえ」(笑顔で相槌)
さらに難易度の高い曲芸を見て、
ゆとり「アンビリーバブル!」
ひかり「ですね〜」etc.
最後に、唐傘に物を載せてグルグル回す芸人登場(染めの助・染め太郎みたいな風采)。
まずお手玉一個を回している。
ゆとり「あ、アタシ、これなら出来るかも!」
ひかり「でも、見た目よりずっと難しいんじゃないでしょうか」
ゆとり「そうかなあ・・・」(ゆとり、野心たっぷりの目で唐傘回し芸を凝視)

・第6幕

芸はすでに、Tシャツのスタッフを相方に、お手玉同時に3つ回し、そして瓶やヤカン回しにまで進んでいる。
芸人「はッ、やッ! もういっちょ、こんど〜は、そのへんのカドカドしたもん、行ってみましょかああ」(傘を回しながら、スタッフに指示する芸達者ぶり)
スタッフ「じゃあ・・・このCDラジカセでも・・・」(曲芸の伴奏BGMを流しているラジカセを取ろうとする)
芸人、傘の上でヤカンを回し、上をずっと見ながら、
芸人「ちょ、ちょっと待ったああ〜。ラジカセだめ、ラジカセは〜。傘破れちゃうよ〜」
スタッフ、空をわざとらしく見上げて
スタッフ「でも、今日は雨、降りそうもありませんけど?」
芸人、苦笑いして叫ぶ。
芸人「そ、そんな問題じゃなくってさ!」
芸人とスタッフ、曲芸しながらの掛け合い漫才まで披露して、群集を笑わせる。
ひかりとゆとりも笑っている。
ひかり&ゆとり「ははは、ははは」

● アイキャッチA

ひかりのポシェットから顔を出したセインフが、そのまま翼を広げてパタパタ飛び出し、
ひかり、一瞬宙を見上げて驚いたあと、こちらへ振り向き、ニッコリ。

● CM

来てねデラタコカ〜フェへ プリキュアメニューでたっぷり召し上がれ イエイ!
いつも嬉しい帰り道♪
デラタコカフェダイナー!

● アイキャッチB

画面の向こうから翼を広げて飛んで来たスワンフ。ゆとり、俊足で追いつき、ステップジャンプして、スワンフの足をつかみ、宙に浮く。ゆとりにっこりサクセスのピース。その直後に、スワンフの足から手を滑らせ、落ちそうになり、慌てふためく表情。

● Bパート

・第7幕

大道芸が終わり、片づけが始まっている。
見物客はみな帰ったが、ゆとりとひかりだけが残っている。
ゆとりが、やおら唐傘芸人風のおじさん(染めの助風)に近づいて声をかける。
芸人は、傘を畳んでいるところ。
ゆとり「あの〜」
芸人「ん? ああ、ずっと見てくれてたお嬢ちゃんだね」(柔和かつ穏やかに。芸中のボケキャラとはだいぶ雰囲気が違う)
ゆとり、快活な笑顔で、
ゆとり「ええ。すごく楽しくてずっと見てたら、アタシもしてみたくなっちゃって」
芸人、物を段ボール箱に仕舞いながら、ゆとりの顔を見ずに、
芸人「そうかい・・・」
ゆとり「アタシにちょっとさせてもらえますか?」
芸人、再びゆとりの顔を見上げ、穏やかに、
芸人「ん? う〜ん、興味を持ってくれるのは嬉しいけど、これはそんなすぐに出来る芸じゃないんだよ」
ゆとり、変らず前向きな笑顔で、
ゆとり「でも、やってみたいんです」
芸人、ゆとりの屈託のなさに好感を覚えたか、やっとくだけて、
芸人「ははは。好奇心旺盛だね。じゃあちょっとだけやってみるかい」
そう言って、ちょうど仕舞いかけていた唐傘をゆとりに差し出す。
ゆとり「あ、ありがとうございます」(唐傘を広げながら)
芸人「ほれ」
芸人、今度は懐からお手玉を一個取り出して、ひょいとひかりに下手投げで渡す。
ひかり驚く。
ひかり「えっ!」
ひかり、「アワワ」と文字通りお手玉しながら、辛うじてそれをつかみ、キョトン顔で、
ひかり「わ、わたしもですか?」
芸人「ふたりは友だちなんだろ?」
ゆとり&ひかり「え・・」(『友だち』という言葉がひっかかった感じ)
芸人「こういうのは息の合った仲良し同士でするのが一番いいんだ」
ひかりとゆとり、黙って顔を見合わせる。
ひかり&ゆとり「仲良し・・・」

・第8幕

曲芸開始。
ひかりとゆとり、広場で対峙。
ひかりがお手玉を投げて、ゆとりが傘を回す。
ひかり「はいっ!」
ゆとり「えいッ!」
でも全然無理。
ひかり「行きますう!」
ゆとり「ああ〜」
何度やっても、お手玉はあさってのほうへ弾き出される。

今度は、ゆとりが球を投げて、ひかりが唐傘回し。
ゆとり「ほいッ」
ひかり「はいぃ! あああ」
ひかりはもっとひどい失敗の連続。そもそも傘をまともに回せない。
何度やっても進歩がないので、ひかり、ヘナヘナ顔に。
ひかり「へああ・・・」
ゆとり、ひかりの失態と意外な変顔を見て、ケラケラ笑う。
ゆとり「あははははっ」

・第9幕

やがてゆとり、諦めて、傘を畳み、芸人に返す。
ゆとり「ありがとうございました。やっぱりダメでした」(汗を拭き吹き、さっぱりした笑顔で)
芸人「ははは。そりゃそうさね。俺だって今の芸の域に達するのに30年かかってるんだよ」
ひかり&ゆとり「30年!?」
芸人「いやいや、驚くこたあない。あのピエロとか、楽器弾きもみんなそのくらいは稽古して来た仲間さね」(休憩中のピエロや楽器弾きが映る)
ひかり「でも、途中でいやになったりしませんでした?」
芸人「そりゃあ何度もあるさ。でもね、何事も時間をかけて辛抱強く続けるってことが大切なんだよ。それに、今日始めて明日にはもう出来るようになったら、面白くないだろ?究めるのに時間がかかる難しい芸だからこそ、やり甲斐があるってもんじゃないか」
ひかり&ゆとり「はあ」(ポカン顔で)
芸人「もちろん、なかなか上達しないときは、焦ったりしたよ」
芸人が昔、芸でしくじったときの様子が映る。
芸人「芸暦10年目くらいの頃かな、本番でえらいしくじっちゃってさ、俺はこの10年何して来たんだろうなんて思って、虚しい気分になっちゃったよ」(落ち込んでいる彼の回想シーン)
芸人「(今の彼の顔アップに戻って)でもね、そこでやめたら、それまでの10年が本当に無駄になっちまう。そうならないためには、前に進むしかないんだな。前に進むから、過去の積み重ねが未来に繋がるのさ」
ゆとり「芸って深いんですね」
芸人「いやいや、芸事だけじゃないよ。何でもある程度気長に根気良く、時の流れに身を任せて、一瞬一瞬、一日一日と仲良く付き合って行かなきゃあ、答えは出ないんじゃないかな」
ひかりとゆとり、「はあ」と嘆息しながら聞きほれている。

・第10幕

ひかりとゆとり、お礼を言って芸人に別れを告げる。
ひかり&ゆとり「ありがとうございました」
芸人「おお、またいつでも遊びに来な。ほれ、これあげるよ」
芸人、そう言って、懐のお手玉を一個、ひかりに投げ渡す。
今度は、ひかり、両手で上手にパシッと受け取る。
ひかり「これは・・・?」
芸人、ほがらかに、
芸人「よく見てみな。ところどころ、縫い合わせた跡があるだろ?」
ゆとり、ひかりの手の中のお手玉を覗き込んで、
ゆとり「あ、ホントだ。ボロボロだ」
芸人「そのお手玉との付き合いは、さすがに30年とは行かないが、もう相当な長さになるからね。愛着もあるし、破れても捨てずに、カミサンに頼んで縫ってもらってるんだよ」
ひかり「へえ・・・」
ひかり、感心してお手玉をまじまじと見ている。
芸人「いわば俺の修行した時間が、その中にぎっしり詰まってるって感じだ。記念に一個あげるよ」
ひかり「え、でもそんな大切なものを・・・」
芸人、笑って、
芸人「あはは、でも、キミらにゃ、ゴミみたいにしか見えないだろ?」
ひかり「いえ、そんな・・・」
芸人「いいって、いいって。本当なら捨てるようなものなんだから。でも、そのうちキミらにも、そのお手玉の重みがわかるようになるよ・・・いや、なってほしい、だな」
ひかり「このお手玉の重み・・・?」(両手で支えながら)

・第11幕

ひかりとゆとり、送迎バンに乗って帰って行く芸人一座を見送る。
普通のワイシャツに着替えた例の唐傘芸人、助手席の窓から、
芸人「じゃあな」
ひかり、淑やかに頭を下げる。
ゆとりは、手を振りながら、
ゆとり「さよ〜なら〜!」
ひかりとゆとりは、向こうへ遠のいて行くバンを、見えなくなるまでしばらく見送り、やがて、
ふたり顔を見合わせて微笑むと、こちらへ向き直り、ゆっくりと歩み出すのだった。

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