・ 目次 / 第4話「バスケ初陣」 (前のページ/次のページ) ・
家庭科教室。
生科部の部活動中。ひかり・美羽・下級生A&B、制服(冬用深緑のセーラー服上下)に白のエプロンをし、同様に白の頭巾を被り、腕をまくって、テーブルの上で、おむすびをこさえている。
美羽「みんな、たかがおむすびだからって舐めちゃだめよ」(おむすびを握りながら)
下級生A&B「はい、加賀山先輩!」(笑顔で)
下級生A「へえ、九条先輩はおむすびも上手ですね」(覗き込むように)
ひかり、おむすびをニギニギしながら、恥ずかしそうに苦笑いして、
ひかり「そんなこと・・・。いつも自分でお弁当作ってるから慣れてるだけで」
美羽「あ、そうか。ひかり、ご両親と離れて暮らしてるもんね」
ひかり「離れてっていうか、うん・・・」(ちょっと決まり悪そうに)
美羽「アカネさんはいつもお店の準備で忙しそうだし、弟さんのぶんもひかりが作ってあげてるんでしょ」
ひかり「・・かな(苦笑い)。(すぐニッコリして)でもお弁当作るの楽しいよ」
下級生B「あ〜あ、わたしも早くそういうことが言えるようになりたいです」
美羽「あなたは、まずお料理中に、手より口を動かすのをやめる練習が先だよ」
下級生B「それ、加賀山先輩のことじゃないんですか?」
美羽「だよねー」
美羽、ハッとなって、
美羽「ん? だから、その一言多いのを直しなさいって言ってるの!」(最後は説教気味)
下級生B「すいませーん」(案外嫌がらず、ニコニコ素直に謝っている)
ひかり「ふふ」(ふたりのやり取りを見ながら、微笑む)
美羽「さて、出来た」
美羽、壁の時計を見上げて、
美羽「奈緒たちのバスケの試合にはまだだいぶ時間あるよね。今のうちに食べてもらって、絶対試合に勝ってもらいましょう」
ひかり「勝てたらいいね」
美羽、胸元で両手を合わせ(お祈りのポーズ)
美羽「大丈夫、我がベローネには、三島キャプテンを筆頭に、若きエース・奈緒もいるし、それから学院一の韋駄天・ゆとりもいるんだから」
ひかり、美羽には何も答えず微笑みながら、心の中でだけ、
ひかり<奈緒がんばって。そして、ゆとりさんも・・・>
ミ〜ルキーウェ〜〜〜〜〜イ!
プリッキュア、プリッキュアァ♪♪
プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ!
プ〜リティーでえ、キュ〜アキュッアァ、ふ〜たり〜はッ〜 プリッキュアアアアア!!
二度あるこーとは、三度目〜もー、ぶっちゃけありえるう!
セーラーふーくのふたーりーは〜むちゃくちゃなかよしぃ
お互い〜じーかーんを〜 飛び越えるーたびぃ
キラリィ、かがやァ、くよねえええ〜〜〜〜〜〜〜、ウイッ!
〜Your Pace, My Pace 進んでーるから つまづいたってIN じゃない?
災い転じて福とな〜すでしょ トラブルだってットラベル!
と〜きーのー流れ〜 泳いでおーもい切り〜
もっとグングンッ!
プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ!
プ〜リティーでえ、キュ〜アキュッアァ、ふ〜たり〜はッ〜 プリッキュアアアアア!!
プリッキュア、プリッキュアァ♪♪
ミ〜ルキーウェ〜〜〜〜〜イ!
ミルキ〜コミューン!
ナラクーダ。
幽霊船の船室内。船室内の計器類は、すべて時計タイプであり、いっせいに逆周り(左回り)している。
キャプテン・ニヒルーザとリバーサスが対峙。
ニヒルーザ、珍しく最初からリバーサスのほうを正面向いて、逆時計(前回まで「無時計」と言っていたが、名称変更)を、見せ示すようにグイグイ突き出しながら、厳しい叱責口調で、
ニヒルーザ「リバーサス! 12の季節の島のうち、早くも第一のむつきヶ島にミルキーウェイシップを着かせてしまったようだな・・・!」(バンダナマスクが蠢き、口が激しく動いているのが、容易に想像される)
リバーサス、黙祷するように頭を下げたまま、
リバーサス「は、申し訳ありません。プリキュアどもが意外と手を焼かせる上に、シスター・シーズンもどうやら、目に付かないところから、ミルキーウェイシップを操り、プリキュアをサポートしている様子でして・・・」
ニヒルーザ、逆時計を持った手を下げ、両腕を後ろへ回して、
ニヒルーザ「まあ残り11の島は、まだすべて我がナラクーダの手中にある。そんなに慌てることもあるまいがな」
リバーサス、顔を上げながら、少し安堵の笑みを浮かべる。
ニヒルーザ「ただし!」
リバーサスの顔、引きつる
リバーサス「いっ!」
ニヒルーザ「シスター・シーズンを侮るな。やつは時の創造者だ。時間の流れを自由自在に操り、何億光年もの距離を一瞬で駆け抜けることができる。本来なら、やつはいつでもとわびとの庭に帰れるはずなのだ」
リバーサス「では、なぜシスター・シーズンは、プリキュアどもと12の季節の島を巡りながら進もうとしているのでしょうか」
ニヒルーザ「どうしても12の季節の島を経巡らんと、とわびとの庭へ辿り着けんやつらがいるからだ」
リバーサス「それはいったい?」
ニヒルーザ「時の従者どもだ。時の従者は、時の流れに沿って動くことにより、朝昼夜、春夏秋冬の移り変わりを保つのがその役目なのだ」
リバーサス「つまり、シスター・シーズンは、プリキュアどもと行動をともにする時の従者二匹を守るため、わざと進み具合を合わせていると?」
ニヒルーザ「そう。時間の変化を紡ぎ出すために、時の主(あるじ)シスター・シーズンと時の従者どもは、常に一体でなければならぬ」
リバーサス「ではやはり、ときびとの庭にシスター・シーズンもいると」
ニヒルーザ、ここでクルッと踵を巡らしてリバーサスに背を向け、正面窓から暗い海を眺める感じで、
ニヒルーザ「おそらくな。リバーサス、世界無計画実現のためにまず何をすればよいか、理解できたかな?」
リバーサス、ビシッと直立し帽子に片手を当てて敬礼。
リバーサス「はっ、かしこまりました。キャプテン・ニヒルーザッ!」
第4話「バスケ初陣!」(ひかゆとの声)
肌色のバスケットタイプ弁当箱がアップで映る。
誰かが、それを提げて歩いている。まだ誰だかわからない。
やがて、生科部の全員がそれを持って歩いて行くシーンへとつながる。
ひかり、美羽らとおむすびを、バスケ部が練習している中庭に運ぶ途中。
エプロンや頭巾は、もうしていない。
美羽の両サイドに下級生AとBがいて、ひかりだけ後方。
美羽と後輩ふたりは楽しそうにおしゃべり(会話に参加していないひかりの意識を通じて聞いている感じなので、はっきりとは聞き取れない程度)。
下級生A「<<絶対勝てますよね>>」
美羽「<<大丈夫、わたしのおむすびを食べればね>>」
下級生B「<<おむすび食べるだけで勝てるんですか?>>」
美羽「<<も〜揚げ足取るんじゃないの!>>」
下級生B「<<すいませ〜ん>>」
ひかり、歩きながら前回の回想。
ひかり<セインフは、ミルキーウェイシップが時の航海を始めたっていうけど、わたしにはまだ何のことかよくわからない。とにかく、ナラクーダのひとたちと戦ったあとに見つけたシーズニーラピスをタイムフルオルゴールに入れたら、ミルキーウェイシップが進み出して、むつきヶ島に漂着した。その後わたしたちは、またこのときびとの庭に何もなかったかのように戻って来たけど、セインフとスワンフはこれで少しふるさとのとわびとの庭に近づけたの? あと11の季節の島があるっていうんだけど、ちゃんとうまく辿り着けるのかしら>
美羽「あ、やってる、やってるう」
ひかり、美羽の声にハッとなって、回想を打ち切る。
前方を見てみると、中庭のストリートバスケ用屋外バックボードで、選手らが順番にシュートを入れる練習をしている。
バスケのユニフォームは、ホワイトのタンクトップで、オレンジの縁取りのラインが入る。下の短パンも同じデザイン。胸にオレンジで「VERONE」と書かれ、その下にやはりオレンジで背番号(胸番号)がある。
ソックス、白くるぶし上。選手によっては、膝サポーターあり。
ちょうど奈緒が打ち終わったところ。
次、ゆとりの順番。
ゆとり、すごいダッシュとジャンプ力で相手を躱(かわ)し、華麗にシュートを決める。
打ち終わって、こちらを向き、ひかりたちが来たのに気づく。
真剣なまなざしから、相好を崩したスポーティーな笑顔に。
ゆとり「あ、ヤッホー!」(片手を口に添え、もう一方の手を振る)
奈緒、ゆとりに釣られてこちらを振り向き、笑顔で、
奈緒「美羽! ひかり!」
美羽も、まだやや遠くから手を振りながら声をかける。
美羽「約束どおり、お弁当作って来たわよー!」
誰かの膝の上にバスケットの弁当箱が載っているシーン、アップ。
すぐに、当事者がその蓋をパカッと開けると、3色くらいのおむすびセット。
奈緒「うわ、おいしそう。全部食べちゃっていいの?」
膝の主は奈緒だった。
奈緒の左右サイドにひかりと美羽がいて、3人は中庭の或る縁石(ブロック)を椅子にして腰掛けている。
ひかり「どうぞ、お好きなだけ」(優しい笑顔)
奈緒「じゃあ、あたしはこれとこれとこれ」(三色のおむすびを一個ずつ、ぜんぶで三つ取る)
ゆとり「じゃあ、アタシはこれとこれとこれと、それから・・・」(奈緒に対抗意識丸出しで、4つ取ろうとしている)
ゆとりは、3人の横(ひかりの側)に、少し離れて腰掛けて、そこから手を伸ばして来た。
4人の前へ、立ったのが三島由紀子先輩。
三島(先輩)「ちょっと」
4人、見上げる。
三島「まだ練習は終わってないんだよ。食べ過ぎておなか痛くなったら練習に差し支えが出るし、ひとり2個までね。あとは試合の後にしな」
奈緒「は〜い」(奈緒、素直にひとつだけバスケットに返す)
ゆとり、奈緒の行動を見て、自分の手にした4つのおむすびを見つめ、不承不承にふたつだけバスケットに戻す。
ゆとり「・・・」
食べ始める。
奈緒「あ、中にタコ入ってる。これ作ったのひかりでしょ?」
ひかり「うん、アカネさんにお店用のタコを少し分けてもらって作ってみたんだけど、おむすびにタコってちょっとヘンだったかな」
奈緒「ううん、そんなことない。とっても美味しいよ」
ひかり、ニッコリして、
ひかり「奈緒はたこ焼きが好きだもんね」
奈緒、ニッコリ大きくうなずいて、
奈緒「うん!」
美羽、笑顔ながら急かすように、
美羽「な〜お、アタシが作ったおむすびも食べてみて」
奈緒「ん、あ、これ?」(パクつく)
奈緒、顔を思い切り顰め、
奈緒「酸っぱ!あたしが梅干苦手だって知ってて作ったっしょ」
美羽、すっとぼけた表情で、からかうように、
美羽「あれ、そうだったっけ?・・・って知ってたけど」
奈緒「ああ〜いやがらせ?」
ひかり「でも梅干は体にいいから」(サラッと諭すように言い切る)
美羽、ひかりに援護され、威張るように、
美羽「そう。アタシは奈緒のためを思って作ったんだから、ちゃんと残さず食べて、好き嫌いを早く克服しようね」
奈緒、美羽ににこやかに説き伏せられると反抗できず、嫌な顔をしながら、
奈緒「わかりました」
ぶっきらぼうにそう答えた後、無造作におむすびをパクつく。
奈緒「うえ〜(また酸っぱそうに顔をしかめる)」
ひかりと美羽、楽しそうに「ふふふ」と微笑む。
ゆとり、奈緒美羽ひかりの仲よさそうな会話を黙って横目で見ている。少し羨ましそう。
手にした梅干入りおむすびを、じっと見つめたあと、梅干なんか気にしないといった風情で一気に頬張ってみる。
でも、やはり酸っぱさに顔をしかめ、
ゆとり「うわッ、ホント酸っぱいや」
バスケの対戦相手・文武ヶ丘(モブがおか)中学チームが到着。
なかなか不敵な面々。
まだ制服姿。いかにもモブキャラっぽい地味な紺色ブレザー上下。
黒の手提げバッグに「文武ヶ丘」と書かれている。
三島「あ、文武ヶ丘中のみなさんですね」
文武ヶ丘主将「ええ」
三島「ベローネ学院女子バスケ部主将の三島です」(お辞儀して挨拶)
文武ヶ丘主将「文武ヶ丘の岡野です。今日はよろしく」(お礼返し)
三島「じゃあ、体育館にご案内しますね」
三島キャプテン、文武ヶ丘の選手たちを体育館へ連れて行く。
美羽「へえ、なんか落ち着いてて強そう」
ひかり「奈緒、大丈夫?」
奈緒「文武中(モブチュー)っていったらバスケの名門だからね。手ごわいのは確かだよ」
そのとき急にゆとりが立ち上がり、
ゆとり「名門? 関係ないよ」
ひかり&奈緒&美羽「えっ?」
ゆとり「どんな相手だろうと、わたしは絶対に負けない。勝ってみせる」(強い意志を示す)
奈緒美羽が呆気に取られて見上げている。
ひかりもやや意外な顔で
ひかり「ゆとりさん・・・」