・ 目次 / 第3話「家庭訪問」 (前のページ/次のページ) ・
桃組教室。
桜井先生が入って来る。奈緒、日直で掛け声。
*桜井先生は、小太りの愛想のいい中年おばさんといった感じ。身長は150cm台。ひかりとどっこいどっこい。
*ついでながら、ひかりとゆとりの身長は、若干ひかりのほうが高い。ひかりと奈緒はほぼ同じ。ゆとりは、美羽よりはずっと高い。そういった4人の身長関係。
奈緒「起立! 気をつけ(ゆとり映る)、礼(ひかり映る)、着席」
桜井「はい、今朝のホームルームでは、今日の放課後先生が家庭訪問に伺わせていただく順番のひとたちに、最後の確認を取りたいと思います。まず加賀山さん」
美羽「は〜い!」(元気よく笑顔で)
美羽の真後ろの席を占めるゆとりが映る。
よく見ると、こっくりこっくり居眠りしている。
ひかり、回想
<ゆとりさんが、ほのかさんのおばあちゃんと一緒に暮らすことになった。おばあちゃん、ほのかさんがパリに行ったあと、独り暮らしで寂しそうだったから、ゆとりさんを大歓迎してくれて、本当によかった。でも、ゆとりさんにはちゃんとおうちもあるし、ご両親もいるらしいんだけど、どうしても思い出せないみたい。おばあちゃんは、時の流れに身を任せて、ゆっくり思い出せばいいって言ってくれてるけど、あのナラクーダのひとたちがセインフとスワンフを襲って来るのをゆとりさんとわたしでプリキュアになって守って行かなくちゃいけないし、のんびりしてもいられない。やっと普通の中学生として楽しく暮らせると思ってたんだけどな>
桜井「九条さん」
ひかり、気づかず、物思い。
桜井「九条さん」
ゆとり、トロンとした寝ぼけまなこで、
ゆとり「mん?」
とひかりのほうを見る。
ひかりは、先生に呼ばれていることにやっと気づいて、あわてて返事。
ひかり「あ、はいっ!」
桜井「九条さんの保護者の、えっと、(紙を見ながら)、従姉妹の藤田さんは、今日予定通りの時刻におうちにいらっしゃいますね」
ひかり「え、ええ。ただ、おうちというか・・・」(バツ悪そうにはにかむ)
桜井「え?」
ひかり「いえ・・・」(顔を俯け、目線を下げる)
ゆとり、これですっかり目が覚めて、
ゆとり「ひかり・・・?」(どうしたんだろ?という感じで)
ミ〜ルキーウェ〜〜〜〜〜イ!
プリッキュア、プリッキュアァ♪♪
プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ!
プ〜リティーでえ、キュ〜アキュッアァ、ふ〜たりはッ〜 プリッキュアアアアア!!
二度あるこーとは、三度目〜もー、ぶっちゃけありえるう!
セーラーふーくのふたーりーは〜むちゃくちゃなかよしぃ
お互い〜じーかーんを〜 飛び越えるーたびぃ
キラリィ、かがやァ、くよねえええ〜〜〜〜〜〜〜、ウイッ!
Your Pace, My Pace 進んでーるから つまづいたってIN じゃない?
災い転じて福とな〜すでしょ トラブルだってットラベル!
と〜きーのー流れ〜 泳いでおーもい切り〜
もっとグングンッ!
プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ、プーリキュッアッ!
プ〜リティーでえ、キュ〜アキュッアァ、ふ〜たりはッ〜 プリッキュアアアアア!!
プリッキュア、プリッキュアァ♪♪
ミ〜ルキーウェ〜〜〜〜〜イ!
ミルキ〜コミューン!
ナラクーダ幽霊船甲板。
キャプテン・ニヒルーザが立って、真っ暗な空間洋上を見晴るかす。
手を後ろで組み、片手に無時計を握り締めている(以後、ほぼ必ず手には無時計あり)
その後ろに、リバーサスが控える。
ニヒルーザ「わかるか、リバーサス、この美しさが」
リバーサス「はい、キャプテン・ニヒルーザ」
死んだような暗く不気味な海が映る中で、
ニヒルーザ「ナラクーダの虚無の海だ。この静けさ。波一つなく、生き物一匹棲まない。朝も昼も夜もなく、季節の変化もない。あるのは無限に広がる虚無のみ」
ニヒルーザの独眼アイパッチ・ガイコツマスク顔がアップで映る。
ニヒルーザ「我輩はな、この虚無を宇宙の隅々にまで広げ、最高に美しい完璧な世界を実現したいのだ」
リバーサス「はい」(瞬きするように目線を下げて頷きに代える)
ニヒルーザ、手に持つ無時計を一層強く握り締める。
すると、無時計の秒針(普通の時計の逆周り)のスピードがグンと上がる。
そしてニヒルーザ、急に忌々しげに(ガイコツ顔だが、目玉はあるので、感情の変化はわかる)
ニヒルーザ「それをあのシスター・シーズンは・・・ちっ!」
リバーサス「ん? キャプテン・ニヒルーザは、シスター・シーズンに会ったことがあるのですか?」
ニヒルーザ「いや、見たことはない。噂だけだ」
リバーサス「ほう」
ニヒルーザ「噂では、我輩とシスター・シーズンは、まるで正反対の美的感覚の持ち主ということだった。我輩が、虚無一色のカンバスこそ美の極致だと考えるのに対して、シスター・シーズンは、世界を、色とりどりに描いて行くことに究極の美を求めていると聞いた」
リバーサス「・・・」(無表情ながら集中して話を聞く顔アップ)
ニヒルーザ「だが、そのときは我輩に利があると思っていた。世界に虚無のカンバスを広げるのは、変化に満ちた世界を作るより遥かに容易いからだ」
リバーサス「確かにそうでございますです、はい」
ニヒルーザ「ところが思わぬ邪魔が入った」
リバーサス「?」(「ん」という感じで若干顔を上げ、ニヒルーザの次の語を待つ)
ニヒルーザ「光の園のクイーンが、シスター・シーズンに協力を申し出たのだ」
リバーサス「ほう」
ニヒルーザ「クイーンの放つ無尽蔵の光がとわびとの庭に注がれ、シスター・シーズンは、その輝きを、或いは強め、或いは弱めることで、朝昼夜や春夏秋冬のような時間の変化を持つ世界を容易く生むことが出来たのだ」
リバーサス「それがときびとの庭・・・」
ニヒルーザ「そうだ。それ以来、我輩は、安息の場所をどんどん失って行った。これ以上シスター・シーズンの活動が広がれば、やがてはこの最後の虚無の砦・ナラクーダさえも、ときの変化に支配され、色とりどりの光り輝く世界へと塗り替えられてしまうだろう」
リバーサス「そうなる前に、シスター・シーズンの能力を封じ込める必要がありますね」
ニヒルーザ「そのとおり。そして、変化に満ちたいまいましい世界を真っ黒のカンバスに塗りつぶし、ナラクーダの虚無を、全世界へと押し広げて行く。これが我輩の描く『世界無』の夢なのだ」
リバーサス「はい、おっしゃるとおり、『世界無』実現はわれらナラクーダの悲願です。ただ・・・」
ニヒルーザ「ん?」(顔半分、後ろを向く)
リバーサス「身を隠したシスター・シーズンの居所がいまだわからぬ上、もうひとつ厄介な問題が・・・」
ニヒルーザの無時計の秒針がアップで映る。
さきほどのスピーディーな動きが、ゆっくりした普通のペースに戻る。
ニヒルーザ「なんだ?」
リバーサス「プリキュアとか申すふたり組が、時の従者らを守っており、これを切り崩すのがなかなか難しく・・・」
ニヒルーザ「・・・伝説の戦士だな」
リバーサス「さすが、キャプテン・ニヒルーザ、すでにご存知でしたか」
ニヒルーザ「おそらくシスター・シーズンの居所も、その者どものいる場所と無関係ではあるまい。ならば答えは簡単。まずはその者どもを始末することだ。行け、リバーサス。ぬかるな」
ニヒルーザ、無時計を握った手を突き出して、命令。
そのとき、時計の秒針は、ピタッと止まる。
この時計の秒針は、どうやらニヒルーザの虚無への意志を反映しているらしい。
リバーサス「はっ!」(軍人スタイルで敬礼)
第3話「家庭訪問!」(ひかゆとの声で)
ひかり、独りで下校。カバンを両手で提げ持って、物思いに耽る。
ひかり、アバンの回想
<桜井「九条さんの保護者の、えっと、(紙を見ながら)、従姉妹の藤田さんは、今日予定通りの時刻におうちにいらっしゃいますね」>
続いて、昨夜、アパートでのアカネさんとの対話回想。
アカネさん、バンダナをはずし、テーブルに座って、デラタコカフェの帳簿を広げ、電卓で売り上げを計算している。
そこへ「トン、トン」と控えめなノック音。
アカネ「あ? なに?」(電卓とにらめっこしながら)
ひかり、ドアの外から。
ひかり「アカネさん、ひかりですけど、入っていいですか?」
アカネ「いいよ。どうぞ」(電卓にらめっこ続く)
寝巻きのひかり入って来る
ひかり「あの、アカネさん、明日、、、あ・・・」(家庭訪問のことを言いかけて、ひかり、帳簿に気づく)
アカネさん、やっと顔を上げ、
アカネ「ん? ひかり、明日、どうしたの? なにかあるの?」
ひかり「い、いえ。あの、アカネさん、売り上げの計算ですか?」
アカネ「あ、ああ、これ? まあね。車改装したり、新メニューの材料費増えたりとかでだいぶ出費があったから、今一番苦しい時期なんだ〜」
ひかり、神妙な顔つきで、
ひかり「そうですよね・・・」
アカネさん、笑顔で、
アカネ「でも、ひかりもがんばってくれてるし、最近やっと売り上げが伸びて来て、もうちょっとで元が取れそうなんだよ。明日からもバリバリ働いて・・・あ、それで、明日、なんだっけ?」
ひかり、ドキッとして、
ひかり「え? いえ、明日、、、明日のお天気知りたくて」
アカネ「ああ、明日はえっと(傍らの新聞を手に取って)、午後から曇るけど雨は降らないって。なんとか持ってほしいよ。雨が降ったらカフェテリア出せないし、客足鈍るんだよね」
ひかり、にっこりして、
ひかり「天気予報、当たればいいですね」
回想終わり、ひかり路上を歩きながら、
ひかり<どうやって切り出そう、今日の家庭訪問のこと・・・>
加賀山家の外観。普通の二階建て住宅。「加賀山」の表札。
玄関のドアが開く。
私服の美羽が出て来る。その後、桜井先生と美羽の母親も(髪を頭の上で盛りまとめ、文教地区っぽくなかなかオシャレな婦人)。
桜井「では、加賀山さん、お邪魔しました。失礼いたします」
母「いえ、こちらこそ、わざわざお越しいただいてありがとうございます。今後とも、美羽のことを、よろしくお願いいたします」
桜井「はい。じゃあ、次は、早瀬さんのおうちなんだけど・・・」
手にした透明ファイルから紙の束を出して、パラパラめくりながら、
桜井「あった。これ・・・去年卒業した雪城ほのかさんのお宅に住まわせてもらってるってなってるんだけど、本当にここでいいのかしら?」
先生は、紙面に向かって独り言のようにつぶやいただけだが、
美羽が、これに敏感に反応。
美羽「え!! 雪城先輩の!? ゆとりが!?」