・ 目次 / 第2話「居場所作り」・3 (前のページ/次のページ) ・
ひかりの話を聞き終わって、なぎさが開口一番。
なぎさ「この子の住むうち?」(ゆとりをちらっと見て)
ひかり「はい、わたしのところだと狭すぎて。それに来週から家庭訪問が始まるので、それまでになんとかしないと・・・」
なぎさ、ゆとりのほうへ向き直り、珍しく落ち着いた口調で、
なぎさ「えっと、ゆとりって言ったよね。ゆとりは、ご両親の手がかりとかないの?」
ゆとり「ちゃんといましたよ。でも、なぜか思い出せないんです」
なぎさ「へえ。寂しくないの?」
ゆとり「今のところ別に。どっちかっていうと旅先にいるみたいで楽しいくらい」(笑顔で)
なぎさ、呆れて、
なぎさ「はあぁ、アタシ以上にお気楽な性格だね」
ゆとり、頭かきかき、
ゆとり「えへへ」
なぎさ「でも、いつまでもひかりの部屋に居候させてもらうわけにはいかないでしょ」
ゆとり「あ、そうか」(思ってもみなかったといった意外顔)
なぎさ、ゆとりの顔をじっと見つめて、眉をピクピクさせ、
なぎさ「う~ん、あっ! いいこと思いついた。ほのかんちだ!」
ひかり、キョトン顔で、
ひかり「ほのか・・・さん?」
なぎさ、楽しそうに、
なぎさ「うん、なんかこの子の顔見てたら、ほのかのこと、思い出しちゃった」
ゆとり「mm?」
ゆとり「なんで?」といった怪訝な表情で、太い眉をピクつかせる。
3人でほのかのうちへ向かう。なぎさの右にひかり、左にゆとり。
なぎさ「ほのかはね、わたしの大親友で、プリキュアのパートナーでもあったんだよ」
ゆとり「え、プリキュアの?」
なぎさ「うん、でも、わたしたちがプリキュアの使命を終えて、中学卒業した後、ほのかは、ご両親の住むパリに行っちゃったの」
ゆとり「へえ。パリ、ですか」
ひかり「でも、なぎささんは、ほのかさんと、今でも連絡を取り合ってるんでしょ?」
なぎさ「もちろん。今はパソコンでメールも出来るしね。夏休みには一時帰国するって言ってるし、そんなに寂しくはないよ」
ひかり「へえ。そうなんだ」
なぎさ、思案顔で、
なぎさ「でも、ほのかんちのおばあちゃんが独りきりになって寂しそう。アタシもときどき遊びに行くんだけど」
ゆとり「そのおばあちゃんも一緒にパリに行けばよかったのに」
なぎさ「うん、でもやっぱり自分のおうちがいいんだって。それにそこ、すっごい広いおうちでさ、やっぱり誰か番するひとがいないとね」
そのとき急に、ひかりのポシェットの中で、セインフが騒ぎ出す。
セインフ「ひかり! 気をつけるセイン。ナラクーダの気配セイン!!」
ひかり「ナラクーダ? それはなに?」
スワンフが、ゆとりのポシェットから顔を出す。
スワンフ「あのときミルキーウェイシップの上で戦った人たちなのスワン」
なぎさ「ミルクセイキ?なにそれ?」
たちまちすごい爆風が吹き、3人が視界を遮られる。
3人「キャアアア!」
髪や短ネクタイやスカートが揺れる。
なぎさ、腕で顔をガードしながら、
なぎさ「何が起こってるの!!」
やがて爆風が収まり、3人が前を見ていると、そこに黒服のリバーサスが仁王の如く立っている。
リバーサス「また会ったな」
3人「ん!」
3人、警戒して身構える。
対するリバーサスは余裕綽々の表情で、手を指し伸ばし、
リバーサス「シスター・シーズンの居所を言うか、その時の従者どもを渡すかすれば、見逃してやってもいいぞ」
セインフ「ひかり、変身するんだセイン!」
スワンフ「ゆとりもスワン」
ふたり、顔を見合わせて、
ひかり「ええ!」
ゆとり「オッケ!」
変身。
ひかり&ゆとり「ツーショット・ハーモニック・レイディエーション!!」
* お互いのコミューン(バンダイ販促的名称は「ミルキーコミューン」(笑))をお互いに向けて或るボタンを押す(ツーショット)。
すると、互いのコミューンから光線が発射され(レイディエーション)、ひかりの光線はゆとりに光の輝きのパワーを、ゆとりの光線はひかりに光の速さのパワーを互いに送り合い、それぞれに不足するパワー素を補い合い、「ふたりはプリキュア」へと、互いに互いを高め合う(ハーモニック)のである。
ルミナス、向かって右側(先代ならキュアブラックの立ち位置)に立ち、シャイニールミナス風に両手を広げ、髪の毛をたなびかせながら(両鬢の三つ編みは前方へゆらゆらとたなびく)、優雅に、
キュアルミナス「とわに煌めく光輝の使者・キュアルミナス!」
ラピッド、向かって左側(先代ならキュアホワイトの立ち位置)に立ち、グリーンのバンダナを旗のようにたなびかせ、胸の前に両腕を交叉させ、両こぶしグーで、ボクシングのガードのようなポーズを取り、力強く、
キュアラピッド「とわに駆け巡る光速の使者・キュアラピッド!」
ルミナス&ラピッド「ふたりはプリキュア!」
さらにラピッド、すばやく一回転して、胸のところでグッとしていた腕を突き出し、ビンッと指差す(夏京の贋プリキュアの指さし方参照)
ラピッド「時の流れを捻じ曲げるあなた!」
ルミナスは、シャイニールミナスのように広げていた両の手を、交叉させるように胸に柔らかく宛がい、うつむき加減に目を瞑ったかと思うと、カッと碧眼の目を見開き、
ルミナス「素直な心にお戻りなさい」
なぎさ「あ、あんたたち。ほんとに?」
なぎさ、キョトン顔でプリキュアになったふたりの前に出て来て、交互に指差す。
ポーズを決めたまま、ルミナスもラピッドもちょっとバツが悪そうにはにかむ。
ルミナス&ラピッド「あ、あはは、いえ、まあ・・・」
そこへリバーサスが突進して来る。
リバーサス「ドアアアアア!」
なぎさ、振り向く。
なぎさ「アアア!」
ルミナス・ラピッドが、なぎさを護るため、一歩前にザッと進み出る。
ルミナス&ラピッド「ンッ!」
格闘。
リバーサスの激しいパンチの雨を、ルミナス、柔軟に飛んで跳ねてよけ、
ルミナス「はあっ!」
パンチを空振りさせて前のめりになったリバーサスの肩に手をかけ、
大車輪で跳び箱を跳ぶように背中を超え、
越えしなに、両手でポンと肩を叩くと、その勢いでリバーサスは、壁にドーンと激突。
リバーサス「グウウウ!」
ラピッド「タアアア!」
そこへラピッドが韋駄天のような俊足で駆け込み、立ち上がったリバーサスの胸元へ、ブーンとラリアット。
リバーサス「ウオオオオ!」
リバーサス、再び壁に激突。
リバーサス、胸を押さえながら、怒って、ついにムカツキーを召喚にかかる。
リバーサス「おのれ~、ムカツキーよ!」
上空から、トルネードが吹き、咆哮が聞こえる。
ムカツキー「ムカツキー!!」
ムカツキー、プリキュアに襲い掛かるかと見せかけて、プリキュアからそれると、プリキュアの背後で戦いを見ていたなぎさの腕時計に取り憑いて行く。
ラピッド「あ!」
ルミナス「なぎささん!」
なぎさ「わああ、ど、どういうこと。ありえな~い!」
なぎさの腕時計がムクムクと肥大し、
時計ムカツキーとなって、なぎさの腕を離れ、正面に仁王立ちする。
ムカツキー「ムッカツキー!」
なぎさ、ムカツキーを見ながら怖がりもせず、
なぎさ「ああ! わたしの腕時計、高校の入学祝いにお父さんが買ってくれたものなのに~。(リバーサスに向かって)ちょっと、あんた、わたしの腕時計になんてことしてくれるのよ!?」
リバーサス、腕組みしてニヒルに笑い、
リバーサス「ふん。時計を返してほしくば、ムカツキーを倒すことだな」
リバーサス、組んでいた腕の片方をブンと前に突き出し、なぎさを指差すと、
リバーサス「ムカツキー、かまわんから、やつもひねり潰してしまえ(なぎさを倒すよう指示)」
ムカツキー「ムカツキー!」
ムカツキー、なぎさに対して、腕時計のアームバンドを大量に噴き出し、攻撃。
輪っか状になって、ビュンビュン飛んで来る。
なぎさ、さすが初代プリキュア、今も高校ラクロス部所属だけあって、左右に飛び跳ね、なんとかそれらをよける。
なぎさ「ワアアア!」
ただし、いっぱいいっぱいだ。一本の輪ッかが、なぎさの胸のネクタイにシャッと触れ、一部擦り切れさす。
なぎさ「あっ!」
ルミナス「ああ、なぎささん」(手で口を押さえて)
リバーサス「ははは、どうだ。そんなに腕時計がほしければ、まだまだいくらでもくれてやるぞ」
なぎさ、壁を背にして追い詰められる。
なぎさ「くっ!」
ムカツキー「ムカツキー!!」
ルミナス、愛する先輩なぎさの危機を見て、思わぬ積極的な態度で、ラピッドに声をかける。
ルミナス「ラピッド!」(手を繋ぐように目で指示)
ラピッドもそれを察して、「イェア!」と叫び、パチッと手を繋ぐ。
必殺技・プリキュア・アストラル・トルネード発進。
ルミナス「光る時、かける(×)」
ラピッド「走る時、イコール(=)」
ルミナス&ラピッド「プリキュア・アストラル・トルネードオオ!!」
超音波のような渦巻状の閃光がルミナス&ラピッドの全身から発せられ、原爆のようにゆっくりと広がって行く。
アストラル・トルネードは、時の流れの重みを原動力にしている。
時の流れに逆らうナラクーダの者たちには、最も効果的な斥力を持つ。
リバーサス、それを受け止めるも、所詮の時の流れには逆らえず、
リバーサス「ムムム~、ちぇ!」(堪えきれず退場)
そして、その後ろにいた時計ムカツキーを、トルネードがさらに襲う。
ムカツキー「ムカツキー!」
ムカツキー、ドンッと派手に胸で受け止める。
ルミナス・ラピッド、ムカツキー、どっちも踏ん張る。
ラピッド「もう・・・ちょい!」
ルミナス「です・・・ね!」
ルミナス&ラピッド、汗を流しながら、
ルミナス&ラピッド「はっ!」
ドオンという破裂音とともに、ムカツキー大破。
空中に舞った小さな腕時計を、なぎさがジャンピングキャッチ!
なぎさ「やああ!」
なぎさがスタッと降りて、大切な時計の無事に安堵している横を、大量のオチツキーが通り過ぎて行く。
オチツキー「オチツキ~ヤ~、オチツキ~ヤ~、オチツキ~ヤ~」
なぎさと、向こう側のルミナス・ラピッドは、しばしキョトンとオチツキーの群れを見ている。
*オチツキーの外貌・・・柱時計の振り子型で、左右に揺れながら、宙を横へ徐々に進む。
オチツキーの群れが去って、なぎさは我に返ると、ルミナス&ラピッドのもとへ駆け寄り、
なぎさ「やったー! あんたたち、すごいジャン。カッコいいよ」
ルミナス、はにかんで、
ルミナス「いえ・・・なぎささんとほのかさんに比べたら全然です」
なぎさ、両手を握り締め、
なぎさ「ううん、そんなことない。これなら、またあいつらが現れても、あんたたちに任せて、アタシは安心して高校の勉強に専念できるよ~!」
最後は、ギャルピースで決め。
ラピッド「先輩は、あんまり勉強するってタイプには見えませんけどね」
なぎさ「あ~、あんた、口悪いねー。そんなとこまでアタシを見習わなくてもいいんだよ」
ラピッド「ていうか、アタシも勉強苦手だから」(頭を掻いて)
なぎさ「なんだ。じゃあ、同病相憧れるってやつだね」
ラピッド「それそれ」(ニッと白い歯を見せて笑って大きく頷く)
ルミナス「ふふ・・」
なぎさ「あ、ルミナス、なにがおかしいの」
ルミナス「いえ、もし、ここにほのかさんがいれば、『なぎさったら、それを言うなら<同病相憐れむ>でしょ』って言って訂正してくれるかなって思って・・・」
なぎさ「え、違ってたんだ?」
ラピッド「やっぱアタシと同類だ。アタシもわかんなかった」
3人「はははは・ふふふ」
戦いの緊張感から解放され、やっと3人に笑顔が戻ったのである。