・ 目次 / 第2話「居場所作り」・1 (前のページ/次のページ) ・
前回からの続き。学校の帰り道。ひかりとゆとりのふたりが並んで歩く。
ひかり「本当ですか?」
ゆとり「うん、気がついたらここにいて、バスケ部の練習に参加してたの」
ひかり「はあ」
ゆとり「それに、みんなアタシのこと知ってるし。早瀬ゆとりって名前だって」
ひかり「そうでしたね」
ひかり、奈緒美羽が、ゆとりをクラスメートとして扱っていたシーンを回想する。
ゆとり、ひかりの前にバッと立ちふさがるように、立ち止まって、
ゆとり「でも、アタシは誰も知らないんだよ。ここがどこだかも」
ひかり「・・・」(じっとゆとりの目を見つめる。ウルウルしている)
ゆとり「だって、アタシあそこであなたと会うまで全然違うところに住んでたんだから」(前回の、ミルキーウェイシップ上での出来事回想)
ひかり「じゃあ、どこに住んでたんですか?」
ゆとり、カバンを肩にかけて、また前へ歩き出し、
ゆとり「それがわかれば苦労しないのよね。すっぽり記憶がなくなちゃっててね」(ゆとり、カラカラと笑う)
ひかり、2歩ほど後ろを歩きながら、ちょっと戸惑う。
スワンフがゆとりのバッグから顔を出す。
スワンフ「たぶんゆとりは、全然違うところからワープして来たのスワン」
*スワンフの形態。ホワイト基調で、ところどころにオレンジのブチがある。ゆうやけの従者なので。耳は猫耳が垂れている感じ。
透き通った羽衣を身にまとっている。
最大の特徴は、翼を持っていること。ただ、普段は畳んでいて、目立たない。
ゆとり「ワープ?」
スワンフ「あいつらがとわびとの庭を襲って、時の流れをゆがめたのが原因なのスワン」
ひかり「あのひとのこと?」(前回戦ったリバーサス回想)
スワンフ「そうなのスワン。やつらは時の破壊者なのスワン」
セインフもひかりのバッグから顔を出す。
セインフ「やつらにとわびとの庭を襲われたから、僕たちはミルキーウェイシップに乗って、どこかに一時避難することにしたんだセイン」
*セインフの形態。ルミナスと同系の薄黄色に、ところどころ真っ赤のブチ。あけぼのの従者なので。耳は猫耳で、こちらはいつもピンと立っている。また、頭に少し毛が生えていて、ぼっちゃんのように見える。翼もあり。
スワンフ「でも、避難しようとした場所がぜんぶやつらに乗っ取られてて、仕方なく船を進めて、このときびとの庭まで辿り着いたのスワン」
ひかり「じゃあ、あの船はこの近くに?」
スワンフ「そうなのスワン。だけどミルキーウェイシップは、ふつうのひとには見えないのスワン」
ゆとり「え、でもアタシ見えたし、乗ってたよ」
セインフ「それはキミが時の主・シスター・シーズンから、伝説の戦士に選ばれたことを意味してるセイン」
ゆとり「え~、アタシが伝説の戦士~?まじぃ?」(ほのか張りの太い眉を顰め、疑い深く)
セインフ「きみとひかりは、ミルキーウェイシップを無事とわびとの庭に戻すまで、僕たちを、時の破壊者から守る使命を課されたんだセイン」
ひかり「え・・・」(ゆとりをじっと見ている)
ゆとり「ちょっとあなたたち、もっと分かりやすく説明してよ。何がなんだかわかんないよ。あっ、それより、アタシ、今どこに向かってるの?帰るおうちもわかんないのに~!」
ミ~ルキーウェ~~イ! プリッキュア、プリッキュア・・・(歌詞はもちろん未定)
ひかりの部屋。ひかり、ゆとりを部屋に招き入れる。
ひかり「どうぞ。狭いですけど」(眉を下げて謙虚に)
ゆとり「ううん、キレイなお部屋じゃない。でも何にもないね(失礼なことを言っているという自覚なくさわやかに)」
ひかり「え、ええ(苦笑い)。(気を取り直して)あの、コーヒーと紅茶、どっちがいいですか?」
ゆとり「(嬉々として)アタシ、断然紅茶」
ひかり「はい、わかりました。沸かして来ますから、ここで待っててもらえますか」
ゆとり「オーケー」(白い歯を覗かせてスマイル)
ゆとり、部屋を見回す。本当に何もないが、唯一勉強机の上に、本(詩集)が何冊か立てかけてある。
ゆとり、それを見つけ、徐ろに一冊手に取ってみる。
ゆとり「へえ、詩集か。ロマンチック」
このとき、部屋を覗く者あり。
ゆとり、ハッと気づいて、顔を合わせる。
それは、ひかりの弟のひかるだった。ひかるは、普通の白いTシャツとジーンズだ。
ゆとり、詩集をもとの場所へ戻しながら、
ゆとり「あ、キミ、弟さん?」
ひかる「こんにちは」(かなりぶっきらぼうに)
ゆとり「こんにちはっ」(にっこり、お姉さんのように優しく)
しかし、そのときゆとりのポケットからスワンフが顔を出す。
スワンフ「この子・・・」(不思議そうに)
ひかる、スワンフを覗き込み、
ひかる「あ、なにこれ? ペット?」
ゆとり「あ、ああ、なんでもないよ」(あせって隠そうとする)
すると背後から、ひかりの声が。
ひかり「ひかるちゃん、お客さんが来てるから入っちゃだめよ」
ひかり、紅茶セットの載ったお盆を持って、部屋に入って、ひかるとスワンフが顔を見合わせているのを見て、
ひかり「あっ!」(ビックリ!)
そのとき、ひかりの深緑プリーツスカートのポケットからセインフも顔を出す。
ひかる「あ、お姉ちゃんも、ペット飼ってる」
ひかり、大いに焦って、
ひかり「ひかるちゃんね、今お姉ちゃん忙しいから、お部屋に戻って遊んでてね」
そう言って、ひかるを部屋から追い出そうとする。
ひかる「お姉ちゃん、ぼくのも・・・」
ひかり「いい子だから。また絵本読んであげるから、ね」(にっこり)
ひかり、かなり強引にひかるを説き伏せ、バタンと戸を閉めて、フウッと一息つく。
ゆとり「弟さんに、これ見つかって、まずくない?」(スワンフ・セインフを示しながら)
ひかり「え、ええ」(汗と苦笑い)
セインフ「あの子なら、大丈夫だと思うセイン」
ゆとり「え、どうして?」
スワンフ「なんだかわからないけど、ふたりと同じ感じがするのスワン」
ゆとり「え? ねえ、どういうこと?(ひかりに向かって)」
ひかり「さ、さあ・・・」(スワンフたちの言いたいことを理解していながら、すっとぼけるように)
ゆとり「ふ~ん?」(不審気に。でもそれ以上問わない)
場面飛んで、正座したひかり、紅茶をテーブルに置く。その場で漉してみせる。
ひかり「どうぞ、召し上がれ」
それまでゆとりは、体を後ろへそらし、両足を前へ投げ出し、両手で支えるように座っていたが、ひかりが紅茶をテーブルに置くと、テーブルのほうへグッと上体を起こして、胡坐をかく。
ゆとり「あ、ありがと。アタシ紅茶大好き。」
一口飲む。
ゆとり「グッドテイスト!紅茶の漉し方すっごい上手だね」
ひかり「ふふ。ありがとうございます」
ゆとり、仕切り直しするような表情と声音になって、
ゆとり「えっと、ひかりだっけ?」
ひかりは、まだ自然に、自己紹介するつもりで、
ひかり「はい、九条ひかりです」
ゆとり「えっと、ひかりのご両親はいつ帰って来るの?」
ひかり「わたしのお父さんとお母さんはどこにいるか知りません。だから今は、従姉妹のアカネさんにお世話になってるんです」
ゆとり「え、あなたも両親のこと忘れちゃったの?・・・」
ひかり「忘れたというか・・・」(答えに窮して)
そこで、セインフ、ひかりの代弁をする。
セインフ「ひかりは、光の園のクイーンの生命だったセイン」
ゆとり「え、なに、それ?」
セインフ「もともとこのときびとの庭の住人じゃなかったということだセイン」
ゆとり「え、なんのこと? ひかり、ホント?」
ひかり「え、ええ、一応そう言われてますけど。わたしにもよくわからなくて」
セインフのほうへ向き直って、
ひかり「でも、セインフ、ときびとの庭って? ここは虹の園じゃないの?」
セインフ「ここは、光の園から見れば「虹の園」と呼ばれる世界セイン。でも、僕たちとわびとの庭の住人からは、「ときびとの庭」と呼ばれているセイン」
スワンフ「とわびとの庭は、光の流れを整えて<ときの源>を永遠に作り続ける世界、そして、このときびとの庭は、とわびとの庭で作られた<ときの源>をもとに、朝昼夜や四季折々の変化をし続ける、生きた時間の世界なのスワン」
ひかり「そうなんだ」
ゆとり「そうなんだって、ひかり、わかるの?すごーい。アタシ、わけわかんない」
ひかり「いえ、わたしもそんなにわかってるわけじゃ・・・」
ゆとり、少々呆れ顔になって、眉を垂らし、
ゆとり「もういいよ。それより、その従姉妹の・・・」
ひかり「アカネさん?」
ゆとり「そう、アカネさんはいつ戻るの」
ひかり「もうそろそろ戻ると思うんですけど」
ゆとり「そう・・・」
ゆとり、一瞬考えた後、訝しげな目でひかりを見て、
ゆとり「ねえ、どうでもいいけど、その丁寧口調やめにしない?」
ひかり「はあ」
ゆとり「わたしたち、同い歳だよね」
ひかり「え、確か・・・」
ゆとり「クラスメートでもあるらしいし」
ひかり「みたいですね」
ゆとり、ちょっといらいらした感じで、口をとんがらせ、眉間に皺を寄せて、
ゆとり「この町では、クラスメート同士で、そんなお話の仕方をするんでございますかあ?」
ひかり「え、でも・・・」(ひかり、どう答えてよいかわからず)
ゆとりも、ひかりが全然くだけてくれないので、気まずさを覚え、
ゆとり「ま、まあ、どっちでもいいんだけどさ・・・」
アカネさんが帰って来る、デラタコカフェのドアをバンと閉める音。
ひかり「あ、帰って来た」
ひかり、ほっとした表情で立ち上がり、ゆとりから逃げるように、窓の外を見に行く。
ゆとりは、腑に落ちないような表情で、ひかりの背中を見遣っている。
ゆとり「・・・」
・・・・
アカネさん、ひかりの部屋を開けながら、
アカネ「ひかり、玄関に誰かの靴置いてあったけど、友だち来てんの?」
ひかり「あ、アカネさん、おかえりなさい。ええ、こちら早瀬ゆとりさ・・・」
アカネ「なんだ、ゆとりだったんだ。いらっしゃい」
ひかりとゆとり、顔を見合わせて、
ひかり&ゆとり「え?」
アカネさんが、ゆとりを旧知のように言うのを不審がる。
第2話「居場所作り」!
著:ヒカルミの世界 / 絵:ヒカルミの世界・ラピー・shimizu_piecelot / 編:ライネス