■ 第1話「出会い」・3

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・第6幕

ベローネ学院中等部。家庭科教室の表札。美羽がドアをガラッと開ける。
美羽「じゃ~ん!連れて来たよ」
向き合ってダベっていた下級生ふたりが、笑顔で振り向いて、
下級生A&B「あ、こんにちは」
美羽「紹介するよ。今日から生科部に入部することになった友だちの九条ひかり」(笑顔で手の平を差し伸べてひかりを示す)
ひかり「二年桃組の九条ひかりです。よろしくお願いします」(深々と頭を下げる)
* ベローネの長袖春用は、デザイン新調。
上着が深緑のセーラー服。真紅の短いネクタイつき。スカートも同系単色・プリーツミニ。靴下は白で脛中ほどまで。靴は前と同じでローファー。
下級生A&B「こちらこそ、よろしくお願いしま~す」(すごく元気よく)
美羽、ちょっと威張り顔になって、
美羽「あなたたち、ひかりには感謝しなよ」
ひかり「え?」(美羽に向き直って、不審顔)
美羽は、後輩ふたりを見つめ続けながら、先輩風に、
美羽「ひかりが入部してくれたお陰でやっと正式な部として認められて、この家庭科教室が自由に使えるようになったんだからね(両手を広げ、教室全体を見渡しながら)」
下級生A&B「はい、ありがとございます。九条先輩」(すごく元気よく、屈託ない笑顔で)
美羽、ひかりのほうへ向き直り、部長ヅラで、
美羽「ふたりとも一年だから、ひかりもさっそく先輩としてビシバシ指導してあげて」
ひかり「え、でもわたしのほうが入部遅いし、そういうわけにも行かないよ」
美羽、ちょっと自重気味になって、
美羽「まあ、基本は、みんな仲良く、だけどね」
下級生A&B「うん、うん」(頷く)
美羽、また強気になり、自己主張を押し通すように、
美羽「でも、先輩後輩のケジメはしっかりつけとかないとだめよ」
下級生A&B「はは・・・」(申し訳なさそうに苦笑する下級生A&Bが映る)
美羽「じゃあ、さっそく今日の課題に入ろ!」

みんなでホットケーキを作る。粉を水で混ぜ、円形のホットプレートで焼く。
出来上がったケーキの上にバターとジャムを添えて出来上がり。
長机にみんなで腰掛け、試食会が始まる。
美羽、ひかりの作ったホットケーキを覗き込みながら、
美羽「へえ、やっぱりひかりが一番上手だよねー。アカネさんに鍛えられてるだけのことはあるね」
ひかり「そんなことない。美羽のだって、うっ・・・」(ひかり、言葉に詰まる)
美羽のホットケーキは、形が歪んで、しかも焦げている。
美羽「(焦りながら)わ、わたしの得意分野は中華ですから」
ひかり「へえ」(純粋に感心して)
ひかりに感心され、気を取り直した美羽、自己弁明を始める。
美羽「今日はわざと苦手分野の洋菓子に挑んでバリエーション、増やそうと思ったんだけど・・・簡単にはいかないね」(初め虚勢を張り、最後は、ダメなのを認めるように苦笑い)
みんなで楽しく試食会風景。

美羽「というわけで、今日はこれでお終い」
全員「ごちそうさまでした~」(手を合わせて)
美羽「んじゃ、一年生は後片付けお願いね」
下級生A&B「はーい、加賀山先輩」
ひかり、下級生が皿や食器類を流しに運ぶのを心配げに見遣り、そちらに近づく。
そして下級生の横に並んで、積まれた食器を洗い出す。
下級生A「あ、先輩、これはわたしたちの仕事ですから」
ひかり「でも、みんなで協力したほうが早いし」
下級生B「でも・・・」(美羽のほうを気にして)
ひかり「それに、わたし、こういうの慣れてるんです」
ひかり、テキパキと皿を洗ってみせる。
下級生A&B「ああ・・・」
美羽「あー、ひかり、後片付けは後輩の仕事ってみんなで決めたんだよ」
ひかり「でも、わたしも新入りだから、同じようなものだし」(皿を洗いながら)
美羽「だめよ。二年生にはね、顧問の先生に報告に行ったりとか、もっと大切な仕事がいっぱいあるんだから」
ひかり「でも・・・」
美羽「いいから」
ひかりの腕を取って、後方へ引っ張って行く。
ひそひそと、
美羽「甘やかしちゃダメだよ。一年生はまだ遊び感覚だから、すぐ気を抜くし。最初が肝心なんだからね」
ひかり「え、ええ」
チャイムが鳴る。壁の時計が5時20分を指す。
美羽「あ、いけない。教室使っていいのは5時半までって顧問の先生に言われてるんだった」
ひかり「え?」
下級生A&Bの「キャハハ」「まじ~」という雑談の声が背後から聞こえ出す。
美羽「ちょっと、あなたたち、時間ないんだから私語はやめて早く・・・」(下級生のほうへ歩き出す)

そのとき、下級生の手から皿が滑り落ちる(スローモーション)。
ゆっくり床に落ち、ガチャンと割れる。
と同時に、宇宙空間(アバンで光の流れが出た場所の近く)にガチャンという音と共にひびが生じ、その隙間から一粒の光が飛び出して行く。
また、同時に、ひかりの背後でも、空間がガチャンと割れ、ひかりは異次元へと吸い込まれて行く。
ひかり「キャアアアア!」
美羽たちは、石像になったように静止状態。割れた皿も破片が宙で停まっている。時間がストップしたのだ。

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